実成績と無関係に「上達した」と伝えた群、翌日のパット誤差は33.42cm対41.94cm
GOLF DNA編集部🇧🇷

3行まとめ
- 初心者28人を対象にしたパット実験では、実際の成績と無関係に「前より10〜20%良くなった」と伝えた群は、練習中に差がなかった一方、翌日の保持テストで平均誤差33.42cm。
- 対照群は41.94cmだった。
- ただし直接追試は確認できず、熟練者や長期学習への一般化も未確定だ。
「前より上達している」と言われるだけで、翌日のパットは変わるのか。
2019年に発表された実験では、パット経験のない大学生28人を14人ずつ2群に分け、1.5メートル先の2センチ四方の目標へボールを止める課題を行った。カップインを競うのではなく、人工芝の上で目標中心からの誤差を測る実験だ。練習は50球だった。
一方の群には、実際の成績とは無関係に「前のブロックより良くなった」という情報が与えられた。第2ブロック後から順に、10%、15%、15%、20%改善したと伝えられた。
興味深いのは、練習中には差が出なかったことだ。群そのものの差も、練習の進行に伴う群ごとの差も統計的に有意ではなかった。
ところが翌日、追加のフィードバックなしで10球を打つ保持テストでは結果が分かれた。
「上達した」と伝えられた群の目標からの平均誤差は33.42センチ。対照群は41.94センチで、差は統計的に有意だった。練習中には見えなかった差が、翌日のテストで現れた形だ。
「うまくなった感覚」が効いたのか
練習後の満足度にも差があった。「上達した」と伝えられた群は10点満点で平均7.57、対照群は5.92だった。楽しさや緊張には有意な群間差が確認されていない。
ここから、「自分は上達している」という感覚や成功への期待が、翌日の運動学習に影響した可能性は考えられる。
ただ、満足度が高まったことが翌日の誤差を小さくした、とまでこの実験は証明していない。満足度と保持成績の両方に差が出たことは確認できても、その間の因果までは確定していない。
そして、この研究を「人は褒めれば必ず上達する」「実力以上に良い結果を伝えればいい」と読み替えるのも早い。
28人の実験から、どこまで広げていいのか
2024年に公表されたゴルフの運動学習研究の系統レビューは、52件の無作為化比較試験を整理している。そのうち43件がパッティング、41件が初心者を対象としており、29件は検出力不足と評価された。
つまり、ゴルフの運動学習研究そのものが、短いパットと初心者へかなり偏っている。
今回の28人実験もその範囲に入る。熟練者、競技ラウンド、数週間以上の長期保持で同じ効果が出るかは確認されていない。
さらに、成功への期待を高める介入や練習条件を広く扱った後年のメタ分析では、研究全体の平均的な検出力は約6%と推定され、報告の偏りを補正した効果は小さく、不確実で、ゼロの可能性も残ると整理された。
これは2019年のパット実験が誤りだったことを意味しない。ただ、「成功期待を高めれば安定して運動学習が良くなる」と一般化するには、証拠はまだ弱い。
2026年9月までの調査では、同じように実成績と無関係な時間比較フィードバックを使ったゴルフの独立した直接追試も確認できていない。
この実験が示したのは「練習中の出来」だけではない
この研究で最も面白いのは、練習中の成績差ではなく、翌日に差が出たことだ。
50球の練習中には、2群の成績に有意差はなかった。それでも翌日の保持テストでは、平均誤差が33.42センチ対41.94センチに分かれた。
少なくともこの28人の実験では、「自分は前より良くなっている」と伝えられたことと、翌日の保持成績の改善が同時に起きた。
一方で、同じ効果が熟練者や実戦でも再現するか、長く続くか、そして虚偽の情報を実際の指導へ使うことが有効かどうかは別問題だ。虚偽フィードバックを指導法として推奨できる証拠ではない。
それでも、練習の意味を考える材料にはなる。学習を見るとき、その場で何球入ったかだけでなく、本人が「自分は前進している」と感じているか、そして翌日にも動きが残っているか。この実験は、その二つを分けて見る必要性を示した。
出典:frontiersin.org(2) / tandfonline.com
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