パットの素振りは本番のコピーではない 1.2mでは同距離が最も正確、7.2mではそうならなかった
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年研究ではプロ・上級アマの練習ストロークは実打をそのまま再現していなかった。
- ところが2020年、1.2m用と7.2m用の練習動作を入れ替えると直後の実打速度が同方向に変化。
- 短い1.2mでは同距離練習が最も正確だった一方、7.2mでは同じ結果にならなかった。
パットの前に素振りをするなら、本番と同じ振り幅、同じ速さを再現した方がいい。そう考えるのは自然だ。
ところが、2019年と2020年に行われた二つの研究をつなぐと、少し違う姿が見えてくる。練習ストロークは実打のコピーではない。それでも、直前に速く振ったか、遅く振ったかは、次の実打速度を同じ方向へ動かした。
しかも短い1.2mでは「本番と同じ距離向けの素振り」が最も正確だった一方、7.2mではそうならなかった。
プロでも、素振りと実打は同じ動きではなかった
2019年の研究は、プロ10人と競技レベルのアマチュア10人を対象にした。アマの平均ハンデは5.0。0.9mから3.0mまで0.3m刻みの8距離で、それぞれ10球、計80球を打たせ、モーションキャプチャーで練習ストロークと実打を比べた。
参加者には距離そのものを数字では知らせず、人工芝上で測定した。
結果は「上手い人ほど、本番そっくりの素振りをする」という単純なものではなかった。練習ストロークと実打の関係は3つの戦略、5つのタイプに分類され、距離が長くなるほど練習ストロークも増える型が10人、逆に減る型が3人、明確な戦略を示さない型が7人だった。
プロと高水準アマの間にも、分類の明瞭な技能差は確認されなかった。
つまり、少なくともこの20人では、練習ストロークは実打を寸分違わず再現するための予行演習ではなかった。
では、素振りの速さは本番に影響しないのか
2020年の実験は、そこを意図的に崩して確かめた。
対象はツアープロ10人とアマチュア11人。アマの平均ハンデは14.5だった。実打距離は1.2mと7.2mで、条件は三つある。
一つ目は、実打と同じ距離を想定して練習ストロークをする「同距離」。二つ目は、1.2mを打つ前に7.2m向け、7.2mを打つ前に1.2m向けの練習ストロークをする「別距離」。三つ目は、練習ストロークをしない条件だ。
6つの組み合わせを各10回、計60球で比較した。
まず分かったのは、ここでも練習ストロークの速度は実打そのもののコピーではなかったことだ。1.2mでも7.2mでも、練習ストロークのインパクト速度は実打より低かった。
それでも、直前の練習ストロークを速くすると、その後の実打も速い側へ動き、遅くすると実打も遅い側へ動いた。プロでもアマでも同じ方向の影響が見られた。
「素振りは本番と同じではない」と「素振りが本番へ影響する」は、両立していた。
1.2mでは、同じ距離向けの素振りが最も正確だった
短い1.2mでは、結果が比較的分かりやすかった。
目標までの前後方向の平均的なずれ(CE)は、実打と同じ1.2mを想定して練習した条件が、7.2m向けの練習をした条件、練習しなかった条件より小さかった。プロ、アマともに、この前後方向の指標では同距離練習が最も正確だった。左右方向の誤差には条件差が確認されなかった。
短い距離では、直前に作った速度感覚と実際に必要な速度がそろうことが、結果にも表れた。
ただし、この結果を「本番と同じ素振りをすれば必ず入る」と広げることはできない。研究が見ているのは、この実験条件での方向・距離誤差であり、長期的なカップイン率やラウンドスコアではない。
7.2mでは「同距離が最良」にならなかった
長い7.2mでは様子が変わった。
前後方向のCEには条件差があったが、同距離練習が常に最良とはならなかった。むしろ別距離、つまり1.2m向けの遅い練習ストロークをした条件は、練習なしより前後方向のCEが小さかった。
プロでは、この別距離条件でショートする傾向も増え、個人差も大きかった。
ここが、この研究を単純な素振り推奨にできない理由だ。短いパットでは距離を合わせた練習が有利だったが、長いパットまで同じ規則では説明できなかった。
「2、3回素振りすればいい」という研究でもない
実験では、素振り回数を研究者が固定していない。参加者が自分で決め、平均は2.68±0.71回だった。解析に使ったのは最後の練習ストロークだ。
だから、この数字を根拠に「毎回2〜3回が正解」とは言えない。
環境にも限界がある。人工芝で、視野を35cmに制限し、距離を数字では知らせない条件だった。対象人数も21人と小さい。天然芝、傾斜、風、試合のプレッシャーがある実戦で同じ反応が出るかは直接確かめていない。
素振りは「コピー」より、直前の速度基準なのかもしれない
二つの研究を並べると、練習ストロークの役割は少し違って見える。
2019年研究では、プロや上級アマでも素振りは実打をそのまま再現していなかった。2020年研究では、その再現していないはずの素振りの速さを変えると、直後の実打速度が同じ方向へ動いた。
少なくとも、この実験では素振りは「本番を正確にコピーする動作」というより、次に振る速度を直前にセットする基準として働き得る結果だった。
ただし、その基準を実打と同じに合わせれば常に最も正確になるわけでもない。1.2mでは前後方向のCEで有利だったが、7.2mでは同じ答えにならなかった。
パット前の素振りに一つの正解回数や振り幅を求めるより、「直前にどんな速さを身体へ入れたかが、次の一打を動かし得る」と理解する方が、今回の2研究には忠実だ。
出典:tandfonline.com / frontiersin.org
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