ザック・ジョンソンは素振りが球に当たっても無罰だった ティー、グリーン、一般エリアで罰が変わる理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2019年マスターズで、ザック・ジョンソンの素振りがティーアップした球に当たった。
- それでも無罰だったのは、素振りが「1打」ではなかっただけでなく、球がインプレーか、どこにあるかで規則が変わるからだ。
- ティーイングエリア、パッティンググリーン、一般エリアなどで処置が分かれる仕組みを現行規則から整理する。
2019年マスターズ第2ラウンド。13番のティーイングエリアで、ザック・ジョンソンの素振りがティーアップした自分の球に当たった。
見た目だけなら「空振りではなく、球を打ってしまった」ようにも見える。だがジョンソンは球をもう一度ティーアップし、罰なしでプレーを続けた。
なぜ無罰なのか。
答えは「素振りだから」だけではない。ゴルフ規則では、同じように自分の球を偶然動かしても、球を打つ意図があったか、球がインプレーだったか、そして球がどこにあったかで処置が変わる。
まず、素振りが球に当たっても「1打」とは限らない
現在のゴルフ規則でいうストロークは、球を打つためにクラブを前方へ動かす行為だ。
つまり、球を打つ意図のない素振りが偶然球に当たっても、それ自体はストロークにはならない。ジョンソンのケースでも、素振りだったため「1打した」とは数えられなかった。
ただし、ここで話は終わらない。
ストロークに数えないことと、球を動かしたことへの罰がないことは別問題だからだ。次に見る必要があるのが、その球がインプレーだったか、そしてどこにあったかである。
ティーショット前なら、球はまだインプレーではない
ホールを始めるとき、ティーイングエリアに置いた球は、ストロークされるまではインプレーではない。
規則6.2bでは、ストローク前に球がティーから落ちたり、プレーヤーが偶然動かしたりしても罰はなく、同じ球または別の球をティーイングエリア内からプレーできる。
2019年マスターズのジョンソンは、まさにこの場面だった。素振りが球に当たってもストロークではなく、しかもホール開始前で球はまだインプレーではなかったため、無罰で再ティーできた。
ここで「ティーにある球ならいつでも無罰」と覚えるのは危ない。
規則がいうティーイングエリアは、そのホールで定められた自分のティーイングエリアを指す。また、一度ストロークした後など、すでにインプレーの球が自分のティーイングエリア内にある場合にも規則6.2b(6)という特別な許可があり、無罰で球を動かして同エリア内からプレーできる。
つまり、ティー周辺だから無条件に無罰なのではなく、規則6.2bが明示的に認めている場面だから無罰になる。
グリーン上では、インプレーの球でも偶然なら無罰
パッティンググリーンでは事情が違う。
すでにインプレーの球でも、プレーヤーや相手、用具などが偶然その球を動かした場合、現在の規則13.1dでは罰はない。球は元の位置へリプレースする。
この扱いは昔から現在と同じだったわけではない。
2017年1月1日から、委員会が採用すれば、パッティンググリーン上で偶然球やボールマーカーを動かしても無罰にできるローカルルールが導入された。その後、2019年の規則改正で一般ルールとして無罰化された。
米国ゴルフ協会とR&Aは、2019年の大幅な規則見直しで、偶発的な球の移動などに対する罰を減らし、規則をより一貫し、簡潔で、理解しやすくする方向を示している。
ジョンソンのマスターズでの出来事は2019年4月なので、この改正より後だ。したがって、あの事件をきっかけに規則が変わったわけではない。むしろ、新旧どちらでもティーイングエリアでの結論は同じだったと米国ゴルフ協会は説明している。
一般エリアなどでは、原則1罰打になる
では、フェアウェイやラフなどの一般エリア、バンカー、ペナルティーエリアで、インプレーの自分の球を素振りで偶然動かしたらどうなるのか。
基本は規則9.4だ。
プレーヤーがインプレーで止まっている自分の球を動かした場合、原則として1罰打を受け、球を元の位置へリプレースする。
同じ「素振りが球に当たった」という出来事でも、ティーショット前なら無罰、グリーン上の偶発的移動も無罰、一般エリアなどでは原則1罰打となり得る。
違いを生むのは、素振りそのものではなく、球の状態と場所に適用される規則だ。
「グリーン外なら必ず1罰打」でもない
規則9.4にも例外がある。
規則が球の持ち上げや移動を認めている場合、捜索・識別中に偶然動かした場合、パッティンググリーン上で偶然動かした場合、規則を適用するための合理的な行為中に偶然動かした場合などは、罰がつかないことがある。
そのため、「ティーなら無罰」「グリーンなら無罰」「それ以外なら必ず1罰打」と場所だけで暗記すると、別のケースで間違える。
判断の順番は三つに分けると分かりやすい。
まず、そのクラブの動きに球を打つ意図があり、ストロークに当たるのか。次に、球はすでにインプレーなのか。最後に、その場所や行為に無罰の特例があるのか。
この順番で見れば、2019年マスターズの一見不思議な無罰処置も、現在の一般エリアでの1罰打も、別々の珍ルールではなく同じ規則体系の中で説明できる。
2026年9月時点でも、R&A、米国ゴルフ協会、日本ゴルフ協会が案内する現行規則ではこの基本構造が維持されている。
「素振りで球を動かしたら何打?」への答えは、ゼロか1罰打かを先に覚えることではない。まず、その球がどの状態で、どこにあったのかを見ることから始まる。
出典:USGA(2・3・4・5・6・7・8) / The R&A(2) / JGA
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