ヘッドスピードは2.6mph上昇、球速は有意に増えず 重さの異なる3本を振る直前ウォームアップ実験
GOLF DNA編集部🇳🇿

3行まとめ
- ハンデ3未満の競技ゴルファー12人で、重さの異なる練習用クラブを振った直後の最初の5球はドライバーのヘッドスピードが平均2.6mph上がったが、球速は有意に増えず、スマッシュファクターは1.42から1.39へ低下した。
- 次のセット以降は、ほぼすべての変化が研究上の「意味のある大きさ」と「統計的な有意差」を同時には満たさなくなった。
- 直前に速く振ることと、その日の飛距離増を分けて読む。
重さの異なる練習用クラブを振った直後、ドライバーのヘッドスピードは上がった。ところが、ボールの速度は有意には増えなかった。
低ハンデの競技ゴルファー12人を対象にした実験では、重さの異なる練習用クラブによるウォームアップ後の最初の5球で、ヘッドスピードが対照条件より平均2.6mph高くなった。一方、球速の差は小さく、統計的に意味のある増加ではなかった。
「速く振れた」ことと「ボールを速く飛ばせた」ことは、同じではなかった。
ハンデ3未満の12人で、直前の効果だけを比較
研究に参加したのは、ハンデ3.0未満の競技ゴルファー12人。男性7人、女性5人で、平均ハンデは0.6だった。
参加者は自分のドライバーを使い、通常の対照条件と、重さの異なる練習用クラブを使う条件を無作為の順番で比較した。
重さの異なる練習用クラブの条件では、男女別に設定された3本を使って計27回振った。その90秒後に自分のドライバーで5球を打ち、これを最初のセットとした。測定は合計5セット、各5球。セット間には休憩に加え、約6分かけて400m歩く時間も入っていた。
つまり、この実験が見ているのは何週間も続ける練習の効果ではない。ラウンド前などに重さの異なる練習用クラブを振った直後、通常のドライバーがどう変わるかという短時間の効果だ。
最初の5球だけ、ヘッドスピードは100.2から102.8mphへ
最初の5球では、対照条件の平均ヘッドスピードが100.2mphだったのに対し、重さの異なる練習用クラブ後は102.8mph。差は2.6mphだった。
ここだけを見ると、ウォームアップは成功したように見える。
しかし、同じ5球の平均球速は141.6mphから142.2mphへの変化にとどまり、有意な増加は確認されなかった。
ヘッドが速く動いた分が、そのままボールの速度へ移ったわけではない。
スマッシュファクターは1.42から1.39へ低下
その差は、スマッシュファクターにも表れた。ヘッドスピードに対してどれだけ球速が出たかを見る比率は、対照条件の1.42から、重さの異なる練習用クラブ後は1.39へ下がった。
差の大きさを示す効果量はd=-0.82、p=0.009。研究では大きな負の変化として報告されている。
ただし、「なぜ球速へ変換できなかったのか」まではこの実験では特定していない。打点、フェース向き、クラブ軌道を測って原因を切り分けた研究ではないからだ。
著者は重さの異なる練習用クラブへの事前経験の不足を可能性の一つとして論じているが、それが原因だと証明したわけではない。打点がずれた、フェースが開いた、といった理由をこの結果だけから決めることはできない。
次のセット以降、ほぼすべてが実用的な差ではなくなった
もう一つ重要なのが、効果の長さだ。
最初のセットで見られた変化のほぼすべては、その後のセットでは、研究が事前に定めた「意味のある大きさ」と「統計的な有意差」を同時には満たさなくなった。
実験では各セットの間に400mを約6分かけて歩いている。ラウンド中の移動を完全に再現したものではないが、「直後に速くなった状態」が長時間そのまま残った結果ではなかった。
著者らも、1番ティーでヘッドスピードが上がる可能性はある一方、その後の実用的な効果は小さいと結論づけている。
つまり、この12人では「最初に少し速く振れる」と「その日のラウンドを通して飛距離が伸びる」の間に距離があった。
長期のオーバースピード練習を否定する研究ではない
ここは切り分けが必要だ。
今回の研究は、重さの異なる練習用クラブを何週間も継続して振る長期トレーニングを評価していない。測ったのは、直前ウォームアップによる急性効果だけだ。
ドライバーの方向性や散らばりも評価していない。参加者も12人と少なく、全員がハンデ3未満の高技能者だった。一般のアマチュアが同じ反応をするかも、この実験だけでは分からない。
したがって、この結果を「重さの異なる練習用クラブの練習には意味がない」と広げることはできない。逆に、「直前に振ればその日の飛距離が伸びる」とも言えない。
この試験で確認できたのは、もっと限定された現象だ。
重さの異なる練習用クラブを振った直後の最初の5球では、ヘッドスピードは平均2.6mph上がった。しかし球速は有意に増えず、スマッシュファクターは下がった。そして、その変化のほぼすべては次のセット以降、研究上の「意味のある大きさ」と「統計的な有意差」を同時には満たさなくなった。
ラウンド前に「今日は速く振れる」と感じても、それだけで「今日は飛ぶ」とは決まらない。ヘッドスピードと球速は、分けて見たほうがいい。
出典:tandfonline.com / pubmed.ncbi.nlm.nih.gov / researchcommons.waikato.ac.nz
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