「この距離だけ妙に寄る」は気のせいか 上級者10人、50球ずつで見えた得意距離
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 上級男性10人が、自分の「得意距離」を含む5距離へ各10球ずつ打つ実験が行われた。
- 散らばりは10人中7人で予測より小さかったが、95%区間まで含めて明確に良かったのは1人。
- 得意距離は思い込みとも万能とも言えない。
「80ヤードなら何となく寄る」「このウェッジは90ヤードだけ自信がある」。
ゴルファーには、そんな“得意距離”がある。
ただ、それは本当に特別なのか。単にその距離を打つのが好きで、そう思い込んでいるだけなのか。
2026年1月に公開された研究は、そこをかなり変わった方法で確かめた。結論から言えば、**得意距離らしい現象は一部の上級者に見えた。でも、全員ではなかった。**
10人に「あなたの得意距離」を申告してもらった
実験に参加したのは右打ちの熟練男性10人。PGAプロ3人、アマチュア7人で、平均ハンデは2.1だった。
まず各自に、高ロフトのクラブでグリーンを狙うときの「好みのピッチ距離」を申告してもらう。使うウェッジも自分のものだ。
その得意距離を中心に、原則10ヤード刻みで5つの距離を設定。各距離10球、合計50球を打った。
条件はかなり人工的だ。人工芝から約4.5m先の室内ネットへ打ち、ウォームアップ後は飛んだ距離や左右のズレを教えない。球の結果はSkyTrakで測定した。
狙いは、「いつもの景色が見えるから得意」という要素をなるべく消し、距離ごとの打ち分けそのものを見ることだった。
4つの距離から「本来ならこのくらい散る」を予測した
この研究が面白いのは、得意距離の成績を単純に他の距離と比べなかったことだ。
一般に、遠くへ打つほどショットのばらつきは大きくなりやすい。そこで研究者は、各人について**得意ではない4距離の成績だけ**から回帰直線を作り、「得意距離なら本来このくらい散るはず」という予測値を出した。
そして実際の10球が、その予測よりどれだけまとまったかを比べた。
球の散らばりを楕円の面積で見ると、10人中7人は得意距離で予測より小さくまとまった。5人は予測より10%以上小さかった。
ここだけ見れば、「やっぱり得意距離はある」と言いたくなる。
でも、そこで終わらない。
明確に“特別”だったのは1人。逆に悪かった人もいた
予測には誤差がある。
その誤差を含めた95%区間まで使って判定すると、楕円面積で**明確に予測より良かったのは10人中1人だけ**だった。
しかも2人は、得意距離なのに予測より明確に散らばった。
別のばらつき指標では10人中8人が良い方向を示し、3人が95%区間の外まで改善した。つまり「得意距離らしさ」は測り方によっても少し変わる。
研究者の整理も慎重で、精度――つまり球がまとまること――には部分的な証拠がある一方、狙った場所へどれだけ近づいたかという正確性では、証拠はさらに弱かったとしている。
**まとまることと、ピンに近いことは同じではない。**
ゴルフでは、この違いがかなり重要だ。
「得意距離を作れば寄る」とまでは言えない
では、毎日80ヤードだけ打ち込めば“必殺距離”が作れるのか。
この研究から、そこまでは言えない。
参加者は男性上級者10人だけ。実験は1回の室内ネット打ちで、実際のグリーン、風、ライ、ピン位置といった情報はない。本人がその得意距離を普段どれだけ練習していたかも測っていない。
さらに、4つの距離から直線で予測する方法は、そもそも距離とばらつきの関係がきれいな直線にならない人では不安定になる。
だから「誰にでも得意距離がある」も、「得意距離はただの思い込み」も、この10人からは言えない。
それでも、アマチュアにはかなり面白い使い方がある
この研究から持ち帰れる実用的な発想は、もっと単純だ。
**自分の得意距離を信じる前に、測ってみる。**
たとえば60、70、80、90、100ヤードを各10球ずつ打ち、平均距離だけでなく散らばりを見る。
出典:journals.sagepub.com / doi.org
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