ナイスショットでも強制打ち直し 電線に当たると「選べない」ゴルフの珍ルール
GOLF DNA編集部🇮🇹

3行まとめ
- 2020年イタリアンオープンでは、電線が2・4・5・12番でプレーに関与した。
- Matt Wallaceは好ショットが電線に当たり強制再打、それでもバーディー。
- 一方Laurie Canterは再打を池へ入れた。
ゴルフには「ナイスショットなのに、なかったことになる」場面がある。しかも、ミスショットでも同じだ。
原因は電線だ。R&AのモデルローカルルールE-11が採用されているホールで、指定された恒久的な電線などに球が当たったことが分かれば、そのストロークはやり直しになる。良い結果でも、悪い結果でも、選べない。
この妙なルールが実際に大仕事をしたのが、2020年のイタリアンオープンだった。
4ホールで電線がプレーに入った
会場はイタリア北部、ガルダ湖近くのChervò Golf Club。DP World Tourの大会前説明では、電線が2番、4番、5番、12番でプレーに関わる可能性があり、E-11が採用された。
初日のMatt Wallaceは、見た目にはかなり良いショットを打った。ところが球は電線に接触。ナイスショットは消え、打ち直しになった。それでもWallaceはバーディーを取った。
一方、土曜日のLaurie Canterは4番で電線に当てて再打。2球目は左へ曲がり、水へ入った。同じ大会ではLee Westwoodも電線に当て、本人はプロ27年で初めての経験だと振り返っている。
同じ強制再打でも、結果は正反対だった。
なぜ「良ければそのまま、悪ければ打ち直し」ではないのか
現行E-11で重要なのは、再打を任意にするローカルルールをR&Aが認めていないことだ。
「電線に当たったけれどフェアウェイだから、このまま行く」も、「池へ行ったから打ち直す」もできない。当たったなら、決められた手順で打ち直す。
R&Aの本文は、これを直接「公平性のため」とは説明していない。目的として書かれているのは、恒久的な頭上電線がホールの合理的なプレーを妨げる場合に使えるルールだということだ。
ただ、結果を見てから得な方を選ぶ余地を消しているのは、規則の構造そのものだ。人工物に当たった偶然の結果を採用するかどうかを、プレーヤーの判断に委ねない。
電線があれば自動で打ち直し、ではない
E-11は全コースへ自動適用される規則ではない。委員会が採用するモデルローカルルールで、対象となる電線や塔、支線、支柱、適用ホールを指定する。
R&Aは、ホールのプレーを妨げない電線やOB区域にある電線には、通常このローカルルールを使うべきではないとしている。
普段のラウンドで球が電線に当たったからといって、勝手に打ち直してはいけない。まずそのコースのローカルルールを確認する必要がある。
打ち直す場所にも決まりがある
再打はRule 14.6に従う。
ティーイングエリアからなら、そのエリア内のどこからでも打ち直せて、ティーアップもできる。ジェネラルエリア、ペナルティーエリア、バンカーからなら、前の場所を基準に1クラブレングス以内で、同じエリアかつホールに近づかない場所へドロップする。グリーン上なら前の場所へ置く。
「だいたいこの辺でもう一球」ではない。
2023年に、無視したときの処理は変わった
E-11は2023年規則で細部が変わっている。
2019年規則では、再打しなかった場合は元のストロークが数えられず、誤所からのプレーとして扱われた。現行規則では、再打しなければ元のストロークは数えられ、一般の罰を受ける一方、誤所からプレーした扱いにはならない。
処理の細部は変わっても、核心は同じだ。電線に当たったとき、プレーヤーは結果を見て選べない。
ナイスショットもミスショットも、同じように消える
ゴルフは普通、木に当たってフェアウェイへ戻ればラッキー、跳ねてOBへ行けばアンラッキーというゲームだ。
しかし委員会がE-11を採用した電線だけは別だ。
Wallaceはやり直してバーディー。Canterはやり直して池。
同じルールが正反対の結末を作った。
電線に当たった瞬間に問われるのは、球がどこへ行ったかではない。「このストロークは最初から存在しなかったものとして、もう一度同じ挑戦をする」。
ゴルフには、そんなリセットボタンまで用意されている。
出典:The R&A(2・3・4) / DP World Tour(2・3)
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3行まとめ
- OBや紛失球で暫定球を打っていないとき、2019年からは委員会が採用すれば2罰打で前方の救済エリアから続けられる。
- 罰を軽くする制度ではなく、打ち直し相当の打数を保ちながら逆戻りを省く仕組みだ。
- 通常、OBや紛失球では「ストロークと距離」の罰を受ける。