87分録音して分かった ゴルフ場の「静けさ」は無音ではなく、自然音が主役だった
GOLF DNA編集部🇵🇱

3行まとめ
- ポーランドの9ホールで、36人への質問と87分間の連続録音を組み合わせた研究が行われた。
- 63%が音環境を好意的に評価し、聞かれた音は自然音が50%超。
- ゴルフ場の「静けさ」は無音ではなかった。
ゴルフ場で「静かだな」と感じるとき、本当に音が少ないのだろうか。
ポーランドのゴルフ場で行われた研究を見ると、少し違う。そこでは無音だったのではない。風が鳴り、鳥がさえずり、池ではカエルが鳴き、ときどきクラブがボールを打つ音が入る。
研究者が調べたのは、音の少なさではなく「何の音が主役か」だった。
36人に聞き、9ホールを87分録った
対象はポーランド南東部のTwo Ponds Golf Course。2023年4〜7月、プレー後の36人に対面で質問した。女性17人、男性19人だった。
研究者はクラブハウスから9ホールを回って戻る通常の動線をたどり、87分間の連続バイノーラル録音も行った。さらに航空写真と現地調査で、池や樹木、草地、道路などの景観も確認した。
大規模実験ではないが、「ゴルフ場の音」を感想だけでなく、実際の録音と景観から同時に見た点が面白い。
「静か」なのに、音はかなりある
回答者が挙げた音は、自然音が50%超、ゴルフ由来が26%超、周辺環境由来が23%超だった。
録音では風がほぼ全体を通して続き、鳥、カエル、昆虫なども確認された。36人のうち63%は音環境を好意的に評価し、邪魔だと感じた人は13%だった。
つまり、このコースの静けさは「何も聞こえない静寂」ではない。聞こえてくる音の中心が自然側に寄っていた。
芝刈り機と飛行機は、一瞬で景色を変える
もちろん、すべてが心地よい音だったわけではない。航空機、芝刈り機、車などは、自然音の中へ突然入る強い音として受け取られた。
芝刈り機はプレーを邪魔しにくい場所や時間へ動かす運用も紹介されている。それでも風や鳥が中心の環境では、機械音は目立つ。
池を残す。樹木を残す。草地を必要以上に刈り込まない。作業時間をずらす。こうしたコース管理が、プレーヤーの耳に入る音の構成まで変える可能性がある。
ただし「ゴルフ場は癒やす」とまでは言えない
ここは線を引く必要がある。
この研究は、ゴルフ場に行くとストレスが下がることを実証したものではない。心拍やストレスホルモンを測っておらず、都市公園や森林との対照実験でもない。
録音も87分の1回だけで、研究者自身が、校正された音圧測定や周波数分析、独立した生物多様性調査がないことを限界として挙げている。対象も1コース、回答者36人だ。
したがって「ゴルフ場は都市公園より癒やされる」「自然音が多いから健康になる」とは言えない。著者たちも「音の避難所」という考え方は、確定ではなく可能性として扱っている。
コース評価に「耳」があってもいい
ゴルフ場では、グリーンの速さ、フェアウェイの硬さ、景観、混雑はよく語られる。
だが3〜5時間そこにいるなら、耳に入る環境も体験の一部だ。
鳥や風が主役なのか。道路音が続くのか。芝刈り機がプレー中に追いかけてくるのか。
今回の研究だけで優劣は決められない。それでも「良いゴルフ場」を考える物差しに音環境を加える発想には価値がある。
静かなゴルフ場とは、音のない場所ではない。気持ちのいい音が、邪魔な音より前に聞こえてくる場所なのかもしれない。
出典:mdpi.com / rdb.ur.edu.pl
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