コラムツアー・選手
初日60の 首位が 「残り1球」に 予備球を くれた ライバルが 2日後に 優勝
バッグには予備球がある。それなのに、競技で使えるのは今の1球だけ。2023年の米国男子下部、米国男子・下部(コーンフェリーツアー)のNV5インビテーショナルで、初日「60」の首位ライアン・マコーミックがそんな窮地に陥った。
原因はボールの年式だった。7月28日朝、ホテルでパット練習に使った2019年モデルのタイトリストPro V1をバッグへ戻した。普段の予備球は2023年モデル。第2ラウンドのスタートで、よりによって旧型を取り出し、最初の一打を打ってしまった。
11番グリーンで印刷された矢印の違いに気づく。大会には一球ルールがあり、ラウンド中は同じ銘柄・モデルを使う必要があった。同じPro V1という名前でも、別モデルには自由に替えられない。
探していたのは球ではなく、同じモデル
続く12番のティーショットは深い草へ。球は見つかったが、もう一度失えばどうするか。キャディーは13番の池でレーキを使い、同型の球を探そうとするほど切迫していた。
競技関係者が会場を回って見つけたのが、練習場にいたトレース・クロウ。同じ2019年モデルをまだ使っており、予備球を提供した。運営担当者のダロン・スタイルズも協力。マコーミックは「69」で回り、首位タイを保った。結局この日は、1球も失わなかったという。
ここでいう一球ルールは、同じ物理的な1球を使い続ける規則ではない。規則上認められた取り替えなら同一モデルを使えるが、ホール中に理由なく交換してよいという意味ではない。すべてのラウンドへ自動適用される規則でもない。競技委員会が採用するローカルルールだ。また、球を失った瞬間に自動失格になるわけではなく、同型を確保して規則に従って続けられるかが問題になる。
最終組で再会した2人
クロウは第3日に「63」を記録し、マコーミックを1打上回る首位へ。2人は最終日の最終組で一緒にプレーした。
7月30日、クロウは通算25アンダーでパトリック・フィッシュバーンと並び、プレーオフ2ホール目のパーで初優勝。マコーミックは1打差の単独3位だった。
予備球を渡したことが優勝を呼んだ、とまで言う必要はない。助けられた側も最後まで競り合い、助けた側が自分のプレーで勝った。古い球が一本の物語をつないだ4日間だった。
3行まとめ
- 初日60で首位に立ったライアン・マコーミックが、翌日、競技で使えるボールが1球しかないと気づいた。
- 同じ銘柄でも年式が違い、一球ルールでバッグの予備球へ替えられなかった。
- 同型球を提供したトレース・クロウは、2日後にツアー初優勝を飾った。
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