ゴルフの 「意図的練習」って、 ただ 球数を 打つのと 何が 違う?
技能学習・意図的練習
まず答え
意図的練習は、改善したい能力を具体的に決め、少し難しい課題を設定し、結果のフィードバックを受けて修正を繰り返す練習です。単に長時間や大量に打つこととは違います。上達には有効な考え方ですが、練習量だけで上達度や熟達をすべて説明できるわけではありません。
詳しい解説
意図的練習(Deliberate Practice)は、ただ反復する練習とは区別されます。Ericssonらが1993年に示した枠組みでは、目的は「今できることを繰り返す」ことではなく、現在の能力を伸ばすために設計された課題へ集中して取り組むことです。
重要なのは、①改善したい能力が具体的、②課題の難しさが現在の能力に合っている、③結果について情報のあるフィードバックが得られる、④その結果を使って修正し、再試行する、という流れです。球数や練習時間そのものは条件ではありません。
ゴルフなら、例えば「パットを100球打つ」だけでは意図的練習とは限りません。「1.5mでスタート方向のズレを測る」「10mの距離感で停止位置のばらつきを記録する」のように、対象を絞って結果を記録し、失敗の原因を確認して次の試行を変える方が意図的練習に近づきます。ショット練習でも、打点、出球、曲がり幅など観測する項目を決めれば、単なる打ち放しとの差が明確になります。
ゴルフを対象にした小規模な研究では、エリートを目指す若年ゴルファーへ13週間の意図的練習型パッティング介入を行い、介入期間中のパッティング成績が改善しました。ただし対象者数が少ない単一事例型の研究なので、「この方法なら誰でも同じだけ上達する」とまでは言えません。
また、その後の再検証やスポーツ研究では、意図的練習は技能向上に重要でも、蓄積時間だけで個人差やエリート選手同士の差をすべて説明するわけではないことも示されています。したがって「1万時間やれば必ず一流になる」という意味ではありません。
実践では、練習時間を増やす前に「何を改善するか」「どう測るか」「失敗したら次の1球をどう変えるか」を決めることが要点です。