3Dスイング解析の 「左右傾斜 (ラテラルティルト)」って 何?
セットアップ・3D解析/左右傾斜
まず答え
左右傾斜は、胸郭や骨盤が正面から見て左右どちらへ傾いているかを表す3D姿勢指標です。右肩が低い・腰が傾くといった見た目に近い概念ですが、実際の解析では胸郭と骨盤を別々に測るため、肩の高さだけでは同じ意味になりません。
詳しい解説
3Dスイング解析では、身体の向きを一つの角度だけで表さず、前後傾、左右傾、回旋に分けて測ります。左右傾斜はそのうち、胸郭や骨盤が身体の左右方向へどれだけ傾いているかを見る成分です。英語論文では lateral tilt などと表現されます。
Horanらは熟練ゴルファーのダウンスイングを3D解析し、胸郭と骨盤の左右傾斜を回旋や前後傾とは別の変数として測定しました。インパクト付近では男女で胸郭・骨盤の左右傾斜に差がみられ、同じ『回っている』ように見えるスイングでも、左右への傾き方が別に変化していることが示されています。
この指標は、単純な『右肩が低い』『左腰が高い』という見た目とは少し違います。肩の高さは腕や肩甲帯の位置にも影響されますが、3D解析の胸郭左右傾斜は胸郭セグメント全体の向きとして計算されます。骨盤左右傾斜も、骨盤セグメントの向きを独立して測ります。そのため、胸郭と骨盤が同じ方向へ同じ量だけ傾くとは限りません。
また、左右傾斜にはスイング中の変化があります。Evansらの計測でも、胸郭と骨盤はダウンスイング中に前後傾・左右傾・回旋を同時に変化させています。つまり『アドレスで右肩を何度下げる』『インパクトまで同じ傾きを保つ』のように、一つの角度を固定する考え方では実際の3D運動を表しきれません。
実用上は、左右傾斜を見るときに①胸郭か骨盤か、②どの時点か、③どちら向きを正とする機器か、④基準座標は何かを確認します。別の計測機器や研究の数値を比べる場合も、定義が同じとは限らないため、角度だけを横並びにしない方が安全です。