女性ゴルファーを増やす「署名」が約1500団体へ R&Aが広げたのはイベントではなく約束だった
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2018年に始まったR&AのWomen in Golf Charterは、2019年に英国政府、2021年にAcushnet、2023年にUAE全22クラブへ広がった。
- 特徴は「賛同」だけでなく、参加・雇用・昇進などについて具体的な約束を持たせること。
- 2026年9月24日時点のR&A専用ページは署名を「約1500団体」と案内。
女性ゴルファーを増やそう――。そう聞くと、女性向けコンペや初心者体験会を思い浮かべるかもしれない。だがR&Aが2018年5月に始めた「Women in Golf Charter」は、少し違う。中心にあるのはイベントではなく、「あなたの組織は何を変えるのか」を約束させる仕組みだ。
2019年9月、英国政府が政府として世界で初めて署名した。この時点で署名は125の競技団体・関連組織。Charterは、女性や女子のプレー参加を増やすだけでなく、ゴルフ業界で働く・ボランティアをする機会を広げることも目的にしていた。
メーカーも「自分たちの宿題」を書く
2021年にはTitleistとFootJoyの親会社Acushnetが、R&Aの発表上で初の世界的ゴルフブランドとして署名した。面白いのは、単にロゴを並べて賛同を示したのではないことだ。
Acushnetが掲げた約束には、女性の採用機会を増やすこと、社内での定着・昇進を支えること、女性ゴルファーへの理解を深めるイベントを行うことなどが並ぶ。つまり「女性ゴルフを応援します」で終わらず、自社の採用、組織、商品との接点まで宿題にした。
2023年には「国の全クラブ」が署名
さらに2023年、UAEでは国内22のゴルフクラブすべてが署名した。R&Aは、国内の全ゴルフクラブがCharterに加わった世界初の国だとしている。この時点で署名は75カ国・1300団体超に広がっていた。
ここで仕組みが見えてくる。政府、メーカー、ゴルフ場に同じ施策を押しつけているわけではない。署名者は「意味があり、具体的な約束」を持ち、既存施策を伸ばすか、新しい取り組みを作る。UAEのクラブでは、女性会員への導線づくりや職員教育、定期的な進捗確認など、それぞれの現場へ落とし込まれた。
署名は約1500団体へ。でも「署名=成功」ではない
2026年9月24日時点で、R&AのWomen in Golf Charter専用ページは世界の署名規模を「約1500団体」と案内している。関連するリーダー育成プログラムについても、R&Aは46カ国の女性300人が参加・恩恵を受けたとしている。
ただし、ここは分けて考えたい。署名団体が増えたことと、それによって女性のゴルフ人口や業界就業者が何人増えたかは同じ話ではない。今回確認した資料だけで「Charterのおかげで参加率がこれだけ上がった」と因果関係までは言えない。R&Aの現行ページ同士でも署名数の表記には「約1500」と「1300超」が混在しており、厳密なリアルタイム総数として扱うのも危険だ。
それでも、この仕組みにはゴルフ業界らしくない面白さがある。
女性向けの企画を一度開催して終わるのではなく、クラブなら入会や継続、企業なら採用や昇進、競技団体なら参加目標というように、それぞれが「次に何を変えるか」を言葉にする。そして後から進捗を見られる形にする。
日本のゴルフ場やメーカーに置き換えるなら、レディースデーを増やすこと自体よりも、「女性がどこで入りにくく、どこで続けにくいのか」を一つずつ決めて潰す方が、このCharterの考え方に近い。
約1500という数字より興味深いのは、署名の数そのものではない。ゴルフ界の「応援しています」を、「では何を変えますか」に変えたことだ。
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