10チームから約60チームへ ゴルフ場を「同窓会の場」にしたゴルフ甲子園
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2020年の査読ケース研究が追った「ゴルフ甲子園」は、高校野球部OBの対抗戦として第1回10チームから第6回58チーム、その後の予選会も約60チームへ増えた。
- 旧友や元ライバルとの再会、参加者に合わせた運営変更から、ゴルフ場に「行く理由」をどう作ったのかを見る。
- 企画の成り立ちは2005年。
ゴルフ場に行く理由は、ゴルフそのものだけとは限らない。
2020年に発行された査読論文には、ゴルフ場を「同窓会の場」として使う発想から育った「ゴルフ甲子園」の事例が紹介されている。舞台は、よみうりカントリークラブ。高校野球部OBごとにチームを作り、かつての仲間やライバルとゴルフで再会する企画だった。
第1回は10チームだった
企画の成り立ちは2005年。ゴルフ場を同窓会の場として使い、高校野球部OB単位の対抗戦を行う発想から始まった。
最初から大盛況だったわけではない。論文によると、第1回の参加は10チームだった。
それが回を重ね、第6回の予選会では58チームまで増え、その後も論文掲載時点では予選会が60チーム前後で推移していた。
10チームから約60チームへ。この数字だけを見ると「何がそんなに刺さったのか」が気になる。
参加者が語ったのは、スコアより昔の仲間だった
論文では、第13回決勝大会の参加者へのインタビューも行っている。
そこで複数確認されたのは、高校野球をしていた当時の体験を話すこと、普段は会う機会が少ない旧友と再会すること、当時の対戦相手と再び交流することに価値を感じる発言だった。
ただし、これは参加者への質的インタビューだ。全参加者の動機を割合で示した統計ではないし、「再会が参加者増加の原因だった」と因果まで証明したものでもない。
それでも、この企画が単なるゴルフ競技としてだけ受け取られていなかったことは分かる。高校野球の記憶や人間関係が、ゴルフ場へ行く理由の一部になっていた。
企画を固定せず、参加者に合わせて変えた
もう一つ興味深いのが、運営を固定しなかったことだ。
論文では、参加者の要望や参加状況に合わせて、年齢別のティーインググラウンド、女性用ティーインググラウンド、組み合わせ方法、予選開催日などを変更したことが整理されている。参加者が増えた後には幹事会を作り、ゴルフ場側と相談しながら運営方法も変えていった。
つまり、最初に完成形を作って客を当てはめたのではなく、参加者の状態を見ながら企画側も変わっている。
ゴルフ以外の「行く理由」を載せる
この事例から編集部が面白いと感じるのは、ゴルフ場が新しい遊びをゼロから発明したわけではない点だ。
高校野球部という、すでに存在していた所属意識、思い出、旧友、ライバル関係をゴルフに載せ替えた。ゴルフは目的そのものでもあるが、人が再び集まるための舞台にもなった。
これは「同窓会企画ならどのゴルフ場でも6倍に増える」という話ではない。単一のケース研究で、他の地域や別のコミュニティへ同じ効果が出るかは確認されていない。
むしろ残る問いは、ゴルフ場が「プレーする場所」以外に、どんな既存コミュニティの再会場所になれるかだろう。会社、大学、地域、競技経験など、人がすでに持っている関係性の中に、まだゴルフへ接続されていないものがあるかもしれない。
なお、この論文は2020年発行の歴史的なケース研究であり、2026年現在のゴルフ甲子園の開催状況や参加チーム数を示す資料ではない。現在のイベント紹介ではなく、「人がゴルフ場へ行く理由をどう作ったか」という事例として読むのが適切だ。
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