355ポンドが45ポンド セントアンドリュースは、なぜ「安売り」したのか
GOLF DNA編集部🇬🇧

3行まとめ
- 世界的に需要の強いオールドコースで、2026年のThe Drive当選者は通常355ポンドのところ45ポンドでプレーした。
- 前年716人だった割引枠は、2026年に1,984人分(496ティータイム)へ約2.77倍に拡大した。
- 狙いは空席処分ではなく参加機会の拡大。
世界的に需要の強いセントアンドリュースのオールドコースで、通常355ポンドのグリーンフィーが45ポンドになる。
しかも、売れ残りを埋める直前セールではない。スコットランド在住者向けの無料抽選で、あらかじめ確保した枠を大幅割引で提供する「The Drive」という仕組みだ。
2026年夏には実際に当選者が45ポンドでオールドコースをプレーしたことを、St Andrews Links自身も報告している。
355ポンドのコースを45ポンドにした
2026年のThe Driveでは、7月3日にオールドコースの一日分をスコットランド在住者向けに確保し、224人分を無料抽選で割り当てる計画が組まれた。
当選者の料金は45ポンド。通常料金は355ポンドだった。
約87%引きである。
普通なら、これだけ需要の強い商品は値上げしたくなる。だがSt Andrews Links Trustが選んだのは、一部の枠だけを逆方向へ動かすことだった。
始まりは716人だった
The Driveが始まったのは2025年。
初年度は5月から10月にかけて179ティータイム、つまり716人分を、オールド、キャッスル、ジュビリー、エデンの4コースで用意した。
料金は通常のハイシーズン料金から87.5%引き。オールドコースは340ポンドから42.50ポンドになった。
安くしたから人気が出た、というより、もともとの需要が大きかった。初年度は2段階の募集で2万2000件を超える応募があったと運営側は説明している。
目的は「安売り」ではなく、入れる人を増やすこと
St Andrews Links Trustが公式に掲げている目的は、ゴルフへの参加とアクセスを広げることだ。
ここで重要なのは、すべての料金を下げたわけではないことだ。
The Driveのティータイムは、既存の一般来場者向け・商業向けの配分から出されている。Links Ticketholderに割り当てられた優先枠には影響させない、と運営側は説明している。
つまり、通常価格そのものを崩すのではなく、限られた時間枠の使い道を変えた。
高需要の資産でも、「全部を最大価格で売る」以外の運営方法があるわけだ。
1年で約2.77倍に広がった
初年度の結果を受け、2026年は規模を大きくした。
用意されたのは6コースで496ティータイム、1,984人分。2025年の179ティータイム、716人分と比べると約2.77倍になる。
オールドコースだけでなく、キャッスル、ジュビリー、クレイグタウン、エデン、ストラスティラムにも対象が広がった。
「一度だけの話題作り」で終わらず、翌年に枠を増やした点が、この企画の面白いところだ。
ただし、儲かったかどうかは分からない
ここから「大幅値引きで結果的に利益が増えた」とまでは言えない。
The Drive単体の収益、通常販売なら得られたはずの売上、長期的な集客効果などは、確認できる公開資料では示されていない。
したがって、これは値引き成功事例というより、**希少なティータイムを誰に配るかという設計の事例**として見る方が正確だ。
セントアンドリュースほどの名門になると、価値は「いくらで売れるか」だけでは決まらない。
誰がその場所に入れるのか。
The Driveが動かしたのは、価格よりも、その入口だった。
出典:standrews.com / linkedin.com / Golf Business News(2)
関連記事
聖地の石張りはなぜすぐ消えたのか
3行まとめ
- セントアンドリュースのスウィルカン・ブリッジ手前に設けられた石張りは、芝の摩耗を防ぐ合理策だった。
- ところが運営側は完成後の見た目と関係者の意見を受けて撤去。
- 2026年も芝の姿が続く。