同じ「12度」なのに別物 ウェッジ選びでバウンス角だけ見てはいけない理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 同じ58度・バウンス12度でも、SM11にはDとKという別のソール形状がある。
- 現行のフィッティングは、入射角や打点だけでなく、実際に打つフルショット・ピッチ・フェースを開くショットまで見る。
- 数字だけで選ぶより、「自分がどんな地面から、どんな球を打つか」を先に決める方がウェッジ選びの本質に近い。
ウェッジを買うとき、まず見るのはロフト。その次にバウンス角。ここまでは普通だ。
ところが2026年のTitleist Vokey SM11の仕様表を見ると、58度には「58.12D」と「58.12K」が並んでいる。60度にも同じ組み合わせがある。ロフトも12度というバウンス表記も同じ。それでも、メーカーが想定している使い方は同じではない。
同じ「58度・12度」が2本ある
SM11のDグラインドは、比較的スティープに入るプレーヤー向けの高バウンス系として設計され、フェースを開いたときの使いやすさも意識されている。一方のKグラインドは、幅広のフルソールと強めの丸みを持たせ、特に12Kは軟らかい砂や芝での許容性を狙った形だ。
つまり「12度」は重要な情報ではあるが、ソール全体の形を一つの数字で表しているわけではない。幅、丸み、削り方が変われば、地面に当たったときの動きも変わる。同じ12度だから同じウェッジ、とは言えない。
フィッティングで見ているのは「何度」より「どう使うか」
Titleistが現在使っているウェッジ用のフィッティング仕組みも、その考え方に近い。
メーカー説明では、専用アプリは弾道計測器と組み合わせ、入射角やインパクト時のシャフトの傾きなどを使う。しかも打つのはフルショットだけではない。ピッチショットや、フェースを開くグリーン周りのショットも含める。SM11発表時には、15スイングで推奨を出す設計と説明されている。
英国のWoburn Performance Centreを取材したGolfMagicの記事でも、TrackMan、仮想コース、専用アプリを使いながら、実際にプレーヤーが選びそうなショットを打たせ、入射や打点を見てグラインドを絞っていた。
ここで面白いのは、フィッティングが「あなたはスティープだから12度」と一発で終わらないことだ。
フルショットとチップで、同じ人でもクラブの入り方は変わる
取材に登場したTitleistのフィッター、John Paulは、フルショットではスティープでも、チップでは浅く入るプレーヤーがいると説明している。そのため、セット全体を「自分は中バウンス派」と一括りにすると、必要な使い分けを失うことがあるという。
これはフィッターの経験に基づく見解で、特定グラインドが何打スコアを縮めるかを示した比較試験ではない。ただ、ウェッジだけは同じゴルファーが同じ振り方を繰り返すクラブではない、という点は選び方を考えるヒントになる。
100ヤード前後を普通に打つ。30ヤードを低く運ぶ。深いバンカーから出す。フェースを開いて高さを出す。1本のウェッジでも、仕事はかなり違う。
「コースごとに2セット買え」という話でもない
同じ取材では、リンクスでは合うのにパークランドでは合わない場合、プレー比率によっては別のウェッジ構成が合理的になることもある、とフィッターが話している。
ただし本人も「常に2セット買うべき」とは言っていない。
先にやるべきなのは、ウェッジを増やすことではなく、自分が実際に何を打っているかを把握することだ。フルショット中心なのか、グリーン周りでフェースを開くのか。硬い地面が多いのか、軟らかい砂で苦労するのか。そこが決まらなければ、グラインドの選択肢だけ増えても迷いやすい。
ミスを全部スイングのせいにする前に
ザックリやトップが出れば、普通はまず打ち方を疑う。それ自体は間違っていない。
ただ、地面と最初にぶつかるクラブである以上、ソール形状との相性も無視できない。逆に、合わないショットをすべて「グラインドのせい」にするのも乱暴だ。技術、ライ、地面の硬さ、フェースの開き方、ソール形状が一緒に結果を作る。
ウェッジ選びで刻印されたバウンス角を見るのは入口。その次にソール形状を見る。そして最後は、自分が実際に打つショットと地面で試す。
同じ「12度」が2本ある理由は、ウェッジが数字だけでは選び切れないクラブだからだ。
出典:Titleist(2・3・4・5) / GolfMagic
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