35ヤード伸ばしたのに難しくならない オーガスタ13番が取り戻した「迷う2打目」
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2023年、オーガスタ13番は510ヤードから545ヤードへ延長された。
- ところが平均スコアは2022年4.852、2025年4.828で、単純には難化していない。
- 変わったのはドライバー使用率と2打目の判断。
マスターズの13番「アザレア」は、世界でもっとも有名なパー5のひとつだ。
2023年、その13番は一気に35ヤード伸びた。510ヤードから545ヤードへ。
普通に考えれば、「飛びすぎるプロを苦しめるために長くした」と見える。ところが、その後の数字を見ると話は少し違う。
延長前の2022年、13番の平均スコアは4.852。延長後は2023年が4.736、2024年が4.758、2025年も4.828だった。
少なくとも平均スコアだけなら、35ヤード伸びた13番は明確に難しくなっていない。
では、何のための35ヤードだったのか。
狙いは「難化」ではなく、ドライバーを戻すこと
2023年のマスターズ前、オーガスタ・ナショナル会長のフレッド・リドリーは変更理由をかなり明確に説明している。
狙いは、13番でドライバーを使う場面を増やし、元の設計が持っていた「リスクとリワード」を戻すことだった。
当時リドリーが思い描いていた2打目も分かりやすい。8番アイアンではなく、3番・4番アイアン、あるいはハイブリッドでグリーンを狙う場面を見たい、と話していた。
つまり、伸ばしたかったのはスコアではない。
**2打目を打つ前の迷いだった。**
35ヤード伸びたのに、むしろ攻める選手が増えた
さらに面白いのが、その後だ。
2026年のマスターズ前会見でリドリーは、延長前に13番でドライバーを使っていた選手はフィールドのおよそ60%だったのに対し、現在は約90%になったと説明した。
長くしたら、ドライバーを持つ選手が増えた。
しかもリドリーによれば、以前ならフェアウェイを突き抜けて木まで届いていたようなドライブが、ティーを後ろへ下げたことでフェアウェイ内に残るようになった。その結果、選手には240〜250ヤードほど残る。
そこからグリーンを狙うのか。刻むのか。
13番の本題が、もう一度そこへ戻った。
2025年の会見でもリドリーは、距離を伸ばした後に「実際にはグリーンを狙う選手が増えた」と説明している。
長くすれば安全策が増える、とは限らなかった。
平均値だけでは、ホールの面白さは見えない
平均スコアを見ると、この改修は不思議に映る。
2022年は4.852。2023年は4.736、2024年は4.758。2025年は4.828。
年ごとに天候やピン位置、コース状態が違うので、この差を35ヤードだけの効果とは言えない。それでも、「伸ばしたから平均スコアが大きく悪化した」という形にはなっていない。
一方で2024年には、13番でイーグルが8個出た。同時にダブルボギー以上も7個出ている。2022〜2024年の3年間を比べると、どちらもこの年が最多だった。
鳥も飛ぶ。大叩きも出る。
平均すると4点台後半でも、その中身はずいぶん荒れている。
これが13番の狙いだった、と考えると分かりやすい。
「難しいホール」と「迷わせるホール」は違う
ゴルフ場を難しくするだけなら、方法はいくらでもある。
距離を伸ばす。ラフを深くする。グリーンを硬くする。
でも、13番でオーガスタが戻そうとしたものは少し違った。
良いティーショットを打った選手に、もう一度問いを渡す。
**「届く。でも、本当に行くのか?」**
届かないなら迷わない。短いアイアンで届くなら、やはり迷いにくい。
240〜250ヤード残るからこそ、イーグルもあるし、クリークもある。
出典:Golf Channel / Golf Digest / GOLF.com / espn.com
関連記事
フェアウェイが広いのに、なぜ考えさせられる? タイガー・ウッズ初の完成コース
3行まとめ
- タイガー・ウッズ初の完成設計コース「El Cardonal」は、広い着地エリア、グリーンへの開いた入口、戦略的な選択肢を掲げた。
- 5セットのティーとバックティー7,363ヤードを備え、狭さだけに頼らず判断を求めるコース設計の考え方を読む。
- 開場前日の公式発表で、設計の特徴として挙げられたのは、広い着地エリア、グリーン周辺への開いた入口、そして戦略的な選択肢だった。