冬のボールは本当に飛ばない 4℃から46℃まで120球打つと「熱すぎ」も不利だった
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 4℃・18℃・32℃・46℃に24時間置いたボールを、ハンデ0.0の男性1人が計120球ドライバーで打った研究では、18℃・32℃群が4℃・46℃群より初速とキャリーで上回った。
- 温度群間の差の範囲はボール初速0.6〜0.7m/s、キャリー約3.2〜4.3ヤード。
- ただし現行規則では、性能を変える目的で加熱したボールを打つと失格。
冬の朝、車のトランクから冷え切ったボールを取り出して、「今日は寒いから飛ばない」と思ったことはないだろうか。
寒い日の飛距離低下というと、まず浮かぶのは空気だ。冷たい空気は密度が高く、ボールへの抵抗も増える。だが、変わっているのは空気だけではない。**ボールそのものの温度**も、飛びに影響する。
しかも面白いのは、「温かければ温かいほど飛ぶ」わけでもなかったことだ。
「空気」ではなく「ボール」を冷やした
2018年にオンライン公開されたゴルフボール温度の研究では、ボールを4℃、18℃、32℃、46℃の4群に分け、それぞれ24時間、温度管理された環境に置いた。
各群30球、合計120球。打ったのはハンデ0.0の男性ゴルファー1人で、室内練習場を使った盲検・無作為化試験だった。ドップラーレーダーでクラブヘッド速度、打ち出し角、スピン量、ボール初速、キャリーを計測している。
ここがポイントだ。屋外で「寒い日と暑い日」を比べたのではない。空気や風といった条件をできるだけ切り離し、ボール温度の違いを見ようとした実験だった。
18℃と32℃が、4℃と46℃を上回った
結果は単純な右肩上がりではなかった。
18℃と32℃のボールは、4℃と46℃のボールよりボール初速とキャリーが大きかった。論文抄録が示す温度群間の差の範囲は、ボール初速で0.6〜0.7m/s、キャリーで2.9〜3.9m。ゴルフの距離に直すと、キャリーで約3.2〜4.3ヤードになる。
ただし、この数字を「4℃なら必ず4.3ヤード落ちる」と読むのは間違いだ。抄録は、どの温度ペアが差の上限・下限だったかまでは示していない。
それでも一つははっきりしている。**冷えすぎた4℃だけでなく、46℃まで上げたボールも中間温度の群に負けた。**
冬に「ボールを温めれば飛ぶ」という発想は半分正しくても、「熱くすればするほど得」という話ではない。
冬ゴルフの「飛ばない」は二重に起きる
現在のTitleistの技術解説も、寒い日の距離低下を二つに分けて説明している。
一つは冷たい空気。空気密度が上がるため、飛球への抵抗が増える。もう一つは冷えたボールで、内部材料の弾性が低下し、クラブフェースからの初速が落ちる可能性があるという。逆に、過度な高温も性能を悪化させ得るとしている。
同社が勧めているのは、ボールを一年を通じて室内の室温で保管し、冬や夏の車内のような極端な環境に放置しないことだ。
これは意外に実践しやすい。冬の朝に新しい「冬用ボール」を探す前に、まず前夜からボールを車に置きっぱなしにしない。そこからでいい。
ただし「カイロで温める」は別問題
では競技の日、ボールを積極的に温めればいいのか。
ここにはルールの壁がある。
R&Aの現行規則4.2a(2)は、性能特性を意図的に変えたボールを打つことを禁止しており、その例として「ボールを加熱すること」を明記している。違反してそのボールを打った場合の罰は失格だ。
つまり、研究を読んで「よし、ラウンド中ずっと加熱しよう」と考えるのは逆方向である。狙うべきなのは特殊な裏技ではなく、極端に冷やさない普通の管理だ。
3〜4ヤードより面白いのは「適温」があること
もちろん、この研究だけで全ゴルファーの飛距離を決めることはできない。
被験者はハンデ0.0の男性1人だけ。2018年の実験で、現在のすべてのボール構造や、さまざまなヘッドスピードに同じ差が出る保証もない。実際の冬ゴルフなら、風、空気温度、厚着、体の動きまで同時に変わる。
それでも、この実験は「寒いから飛ばない」を少し違う角度から見せてくれる。
ゴルフボールはただの白い球ではない。温度で反応が変わる材料の集合体だ。そして少なくともこの120球の実験では、冷え切った状態も、熱しすぎた状態もベストではなかった。
冬の朝に飛距離が落ちたとき、スイングを疑う前に一度だけ考えてみてもいい。
**そのボール、昨夜どこに置いてあっただろう。**
出典:journals.sagepub.com / Titleist / The R&A
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