犬80匹、パット0人 ゴルフ場を「ゴルフしない人」に開いたら見えた別の価値
GOLF DNA編集部🇯🇵

3行まとめ
- 2024年、有馬カンツリー倶楽部は休場日の練習場を犬イベントへ開放。
- 約300人・80匹が集まった一方、隣のパット企画は利用者0だった。
- 翌年の学童イベントでは、ゴルフ後の芝滑りやボール遊びで子どもたちが歓声を上げた。
犬は80匹。パットゴルフの利用者は0人。
数字だけ見ると、ゴルフ場としては少し複雑だ。だが、この「0人」がむしろ面白い。
兵庫県三田市の有馬カンツリー倶楽部は2024年11月19日、休場日のドライビングレンジを使って「愛犬マルシェ&ドッグラン」を開いた。会場は約1万㎡。39店舗とキッチンカー6台が集まり、クラブ社長の谷光高氏による実施報告では、約300人が来場し、ドッグランは80匹が利用した。
そのすぐ横では、せっかくゴルフ場なのだからとパットゴルフも用意した。結果は0人だった。
普通なら「ゴルフへの導線づくりに失敗した」と考えたくなる。ところが、この日は逆のことが見えている。来場者が欲しかったのは、ゴルフではなく、広い芝生だった。
犬を走らせられる。レジャーシートを広げられる。屋外で買い物や食事ができる。駐車場もある。都市部では意外に手に入りにくい条件が、ゴルフ場には最初からそろっている。
翌2025年3月31日には、同じ有馬カンツリー倶楽部で大阪YMCAアフタースクールのゴルフ体験イベントが行われ、小学生46人が参加した。午前中はスナッグゴルフやドライバーのフルスイングを体験したが、昼食後には芝滑り、ボール遊び、カート乗車へ。ここでも途中から、主役は「ゴルフ」だけではなくなった。
ゴルファーにとってフェアウェイや練習場の芝は、ボールを打つための床だ。だが、普段ゴルフ場へ来ない人から見れば、広くて管理された巨大な草原にも見える。
この視点は、ゴルフ人口を増やす話とは少し違う。最初から全員をゴルファーに変える必要はない。まず「ゴルフ場へ行ったことがある人」を増やす。犬と来てもいい。子どもと遊びに来てもいい。そこで芝の気持ちよさや、空の広さや、クラブハウスの存在を知る。ゴルフとの接点は、その後でもいい。
少なくとも取り組みは一度きりではない。2026年4月にも同会場で愛犬マルシェの開催案内が出され、有馬カンツリー倶楽部の公式サイトは2026年度も小学生以上を対象にしたファーストティの定期開催日程を掲載している。
ただし、ここは冷静に見たい。犬イベントの約300人、80匹という数字はクラブ側の実施報告で、第三者が監査した集計ではない。地域開放イベントがどれだけ利益を生んだのか、何人がゴルファーになったのか、会員獲得につながったのかも分からない。
だから「ゴルフ場を公園化すれば儲かる」とまでは言えない。
それでも、パット利用0人という結果には価値がある。ゴルフを足したから人が来たのではなく、ゴルフをいったん脇へ置いたことで、その土地そのものの価値が見えたからだ。
ゴルフ場が持っている資産は、ティー、フェアウェイ、グリーンだけではない。芝生、空、静けさ、広さ、そして余白。
ゴルファーには当たり前すぎて見えにくいものほど、ゴルフをしない人にはぜいたくな場所なのかもしれない。
出典:GEW(2) / arimacc.jp / akashi-journal.com
関連記事
市営コースを売らずに復活 130人超が5500万ドルを集めた「The Park」の仕組み
3行まとめ
- 2018年に閉鎖したWest Palm Beachの市営ゴルフ場は、土地を売らず、非営利財団へ50年賃貸する形で再生した。
- 130人超の寄付者から5,500万ドル超を集め、2023年にThe Parkとして再開。
- 2026年現在も市は「Municipal Golf Course」と位置付ける。