海底に眠っていた5万個のロストボール
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- ペブルビーチ周辺の海底で2016〜2018年、研究チームなどが5万681個、約2.5トンのゴルフボールを回収した。
- 多くは砂に埋もれ、回収後3週間未満で4146個が再び現れた地点もある。
- 劣化が示したことと、2026年も続く回収策を追う。
海へ消えたゴルフボールは、そのまま見えなくなる。だが、なくなったわけではない。
米カリフォルニア州のペブルビーチやサイプレスポイント周辺では、若いダイバーのアレックス・ウェバーらによる自主回収が、やがて海底のロストボールを数える研究へ発展した。
2016年5月から2018年6月まで。研究チームは75回の回収を行い、3地点から3万9602個を引き上げた。さらに同じ期間に、モントレー湾国立海洋保護区が1429個、ペブルビーチ社が9650個を回収している。
合計は5万681個。重さは約2.5トンだった。
これは、一度の潜水で一つの場所から5万個が見つかった数字ではない。複数の主体が約2年間にわたって回収した総数だ。それでも、一球ずつのミスが長い時間をかけて海底へ積み重なった規模としては十分に大きい。
特に多かったのはペブルビーチ周辺
研究チームが回収した3万9602個の内訳は、サイプレスポイントが1482個、ペブルビーチが3万5310個、カーメル川河口が2810個だった。
ペブルビーチの「18-1」と呼ばれる調査地点では、16回の回収で1万6338個。1回平均では1021個に達した。別の「8-1」でも19回で1万1605個が回収されている。
ただし、この地点名は最寄りのホール番号を示す。18番や8番から打たれた球だけがそこへ集まった、と断定できるわけではない。波や潮の動きがあり、砂に埋まった球が再び露出するからだ。
その動きを象徴する数字がある。18-1では、回収から3週間もたたないうちに4146個が再び見つかった。その約95%は摩耗した古い球だった。
研究者は、新しく大量に打ち込まれたというより、砂の中にあった球が再び表面へ出てきた可能性を示している。海底は単なる「落下地点」ではなく、長年のロストボールをため込み、また露出させる場所になっていた。
ボールは海中でどう変わったのか
研究では、回収した3万5985個について劣化段階と重量差を調べた。その結果、失われた合成材料は27.93kgに相当すると推計された。
ここで数字の意味を分けておきたい。
27.93kgは、海水中からマイクロプラスチックを直接採取して量った値ではない。摩耗した球の状態と重量差から、微細な合成材料として失われた可能性を計算した推計だ。
また、この研究では地域の動植物への被害は観察されていない。野生生物がどれだけ影響を受けたか、微粒子が海中へどれだけ流出したかを直接測定した研究でもない。
つまり、確認できたのは「大量のボールが長期間蓄積し、摩耗して材料を失っていた」ことまでだ。そこから先の生態系への影響を、5万個という数字だけで大きく言うことはできない。
発見後、回収は一度で終わらなかった
若いダイバーによる自主回収は、研究者や海洋保護区を巻き込む定量調査へつながった。そして2019年の論文発表後も、対応は続いている。
2026年9月時点のペブルビーチ社の公式案内では、モントレー湾国立海洋保護区などと連携し、研究者や民間ダイバーによる回収を継続している。スタッフやボランティアによる海岸清掃も行い、海へ意図的にボールを打つことを禁止している。
発見前と大きく違うのは、海底のロストボールが「見えないまま放置されるもの」ではなく、回収と予防の対象になったことだ。
2026年、今どれだけ残っているのか
ここには答えがない。
ペブルビーチ社の現行ページでは、現在の年間回収数、累計回収数、海底に残るボール数の最新値は公表されていない。したがって、2016〜2018年と同じ規模で今も増え続けているとも、問題が解消したとも言えない。
分かっているのは、約2年間の実測で5万681個、約2.5トンが回収されたこと。そして、その発見をきっかけに回収と予防が2026年まで続いていることだ。
海へ曲がった一球は、打った本人にはその瞬間で終わる。しかし海底では、砂に埋まり、摩耗し、何年も後に再び姿を現すことがある。
5万681個という数字が見せたのは、壮大な環境被害を断定する材料ではない。見えなくなった一球にも、その後の時間があるという事実だった。
出典:caenvirothon.com / theworld.org / pebblebeach.com
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