136ヤードが全英を荒らした理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 距離はわずか136ヤード。
- それでも2023年全英の新17番「リトル・アイ」は、4日間平均3.12打で8番目に難しいホールとなった。
- 終盤に短いパー3を置いた狙いと、実際に生まれたスコアの振れ幅を追う。
全英オープンで難度を上げる方法は、距離を伸ばすことだけではない。
2023年、ロイヤル・リバプールの終盤に登場した新17番「リトル・アイ」は、大会カードでわずか136ヤード。しかも全英公式によれば、4日間とも実際にはカード距離より短く使われた。
それでも4日間の平均は3.12打。464回のプレーで、アンダーパーは66回、ボギー以上は94回に達した。短いのに、簡単にはならなかった。
狙ったのは「長さ」ではなく終盤のドラマ
この変更は2023年に突然決まったものではない。
ロイヤル・リバプールは2020年2月、新しいパー3を当時のチャンピオンシップ15番ティー付近に造り、全英では17番として使う計画を公表していた。計画段階の距離は約139ヤード。新しいルーティングによって、続く18番を607ヤードまで伸ばす余地も生まれた。
設計を担ったマーティン・エバートによると、クラブと全英を主催するR&Aから求められたのは、既存のパー3の向きを変え、全英の終盤に「ドラマ」を生む新しいホールをつくることだった。
つまり発想は、長いホールをもう一つ足して選手を苦しめることではなかった。短い一打に、攻めるか、どこまで安全に運ぶかという判断を詰め込むことだった。
136ヤードなのに逃げ場が少ない
その判断を難しくしたのが、グリーンの周囲だ。
グリーンは高く持ち上がり、外周には大きな落ち込みがある。周囲には砂地が広がり、奥側と右には厳しいポットバンカー。さらに手前へ外すと、急な斜面からバンカーへ入る危険がある。
つまり136ヤードなら届かせることは難しくなくても、グリーンを外した瞬間に次の一打が急に難しくなる。短さの代わりに、外せる場所を減らした設計だった。
136ヤードでも、外せば一気にスコアが動いた
2023年大会で、その狙いは数字になって表れた。
4日間の公式スコア分布は、ホールインワンが1回、バーディーが65回、パーが304回、ボギーが72回、ダブルボギーが15回、トリプルボギーの6が7回。平均は3.12打だった。
クラブの大会振り返りでは、17番は18ホール中8番目に難しかったとされている。
初日だけを見ると、バーディー21回に対してボギー22回。短いパー3らしくチャンスはあるのに、同じくらい失点も出た。
ルーカス・ハーバートは3アンダーで17番を迎えながら、ここでトリプルボギーの6を叩いて一気にイーブンパーまで後退した。それでも本人はこのホールを高く評価している。
さらに象徴的だったのがトラビス・スマイスだ。初日にダブルボギーを叩いた同じ17番で、翌日は新ホール史上初のホールインワンを記録した。
同じ選手が、同じホールで「5」と「1」。これほど分かりやすい振れ幅はない。
設計者の想定より難しくなった
エバート自身、大会後に意外だったと振り返っている。
距離が短く、風も強くなかったため、平均スコアがアンダーパーになる可能性も考えていた。ところが実際には3.12打。想定より難しくなった。
エバートが評価したのは、飛距離ではなく精密さが試されたことだ。外した選手にはリカバリー力が求められ、その結果として大きなスコア差が生まれた。
ここにリトル・アイの答えがある。
136ヤードなら、多くの選手にとってグリーンまで届かせること自体は問題にならない。だから勝負は「届くか」ではなく、一打をどこまで正確に置けるかへ移る。短さが難度を消すのではなく、ミスの質をはっきりさせた。
2026年も残る。ただし次の全英設定は未定
リトル・アイは一大会だけの仮設ホールではない。
2026年9月9日現在、ロイヤル・リバプールの通常営業では15番として使われ、全英開催時には17番となるホールとして残っている。
一方、次にロイヤル・リバプールで全英が開かれる年や、その際に再び136ヤード前後の同じ設定を使うかは発表されていない。
2023年に確認できたのは、短いホールでも終盤の勝負を十分に動かせるということだった。
距離を足さなくても、たった一打の置き場所で「1」から「6」までスコアは動く。リトル・アイが全英に持ち込んだのは、長さではなく、その一打から逃げられない設計だった。
出典:The Open(2・3・4・5・6) / royal-liverpool-golf.com(2) / magazine.royal-liverpool-golf.com(2)
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