259エーカーで動かしたのは7エーカー
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 保護指定された砂丘に造られたマクリハニッシュ・デューンズは、259エーカーのコース用地のうち造成で動かしたのは約7エーカー。
- 2005年の厳しい管理条件、元地形を使う設計、2009年開業後の低介入管理、2026年の保全状態まで追う。
- ネイチャースコットの指定資料では、マクリハニッシュ・デューンズの保護区域は293.35ヘクタール。
259エーカーのゴルフ場を造るのに、造成で動かした土地は約7エーカー。割合にすると約2.7%だ。
スコットランド西岸のマクリハニッシュ・デューンズでは、この小ささが設計上の偶然ではなかった。コースは、マクリハニッシュ・デューンズ特別科学的関心地域にまたがっている。自然保全の条件に合わせて、造れる場所と管理方法を先に絞った結果だった。
そもそも自由に造成できる土地ではなかった
ネイチャースコットの指定資料では、マクリハニッシュ・デューンズの保護区域は293.35ヘクタール。アーガイル本土で最大の砂丘系とされる。
ゴルフ場の計画が審査された2005年、許可は単純な建設許可ではなかった。自治体の審査資料では、保護区域を長期に維持管理する協定を結ぶことが前提とされ、その協定が成立しなければ自然保全上の理由で拒否すべきだと整理されていた。
実際の条件も細かい。除草剤と肥料を使えるのは原則としてグリーンとティー。フェアウェイの刈高は20ミリ以上。アウト・オブ・プレー区域は季節放牧。ラフとセミラフは基本的に刈らず、排水路や水路を勝手に変えない。硬い海岸防護も禁止され、フェアウェイ、グリーン、ティーは前砂丘の稜線から10メートル以上離す。管理車両の経路まで指定された。
つまり、完成後に環境対策を足したのではない。どこをゴルフに使えるかという段階から条件が入っていた。
フェアウェイを「造る」より、地形を使った
自治体の計画資料では、地形を変える部分は主にグリーンとティーで、全敷地の3%未満とされた。植物群落の調査と当時の自然保全当局との協議を踏まえ、プレー区域そのものを配置している。
運営者の現行説明も同じ考え方を示している。259エーカーのコース用地で、造成時に何らかの形で攪乱したのは約7エーカー。形を造ったのは主にティーとグリーンで、フェアウェイは元の地形を刈って使ったという。
7エーカーは259エーカーの約2.7%。行政資料の「地形改変3%未満」とも整合する。
普通なら、設計図に合わせて土地を動かす。ここでは逆だった。残すべき地形と植生が先にあり、その間へ18ホールを通した。
2009年の開業後も管理条件は続いた
コースは2009年に開業した。
2015年の環境認証再認証資料では、農薬は最終手段とし、肥料は有機系を中心に使い、雑草は手作業で除去し、オフシーズンには羊を放牧する管理が記録されている。
環境認証の初回年については資料間に差がある。2015年の再認証資料は2010年、現行の運営者ページは2011年としているため、どちらか一方を断定材料にはしにくい。重要なのは、開業後も低介入管理を継続する仕組みが置かれていたことだ。
2026年も保護指定は残る
2026年現在も、マクリハニッシュ・デューンズはネイチャースコットの特別科学的関心地域として扱われている。運営者の現行ページも、259エーカー中約7エーカーという低造成の説明を掲げ続けている。
ただし、ここを「環境にやさしいコースだから保全は成功した」と結論づけることはできない。
ネイチャースコットの2026年資料では、この保護区域の唯一の保全対象は良好ではない状態とされ、区域全体も現在有効に管理されているとは評価されていない。この評価は保護区域全体に対するもので、ゴルフ場の管理が原因だと示す資料ではない。
つまり、約7エーカーしか動かさなかったことと、保護区域全体の現在の状態は別の問題だ。
マクリハニッシュ・デューンズの特徴は、造成量の少なさそのものではない。肥料、農薬、刈高、排水、車両経路まで制約された土地で、その条件を外してコースを造るのではなく、条件の中へコースを収めたことにある。
259エーカーを大きく造り替えたのではない。元の地形をほとんど残したまま、その中に18ホールを通した。ここでは「造らないこと」が、設計そのものだった。
出典:machrihanishdunes.com(2) / nature.scot(2) / argyll-bute.gov.uk(2)
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