68年待った全英が、次は6年で戻った ロイヤル・ポートラッシュは何を変えたのか
GOLF DNA編集部🇬🇧

3行まとめ
- 1951年以来68年ぶりに全英が戻ったロイヤル・ポートラッシュは、2019年大会のために2ホールを新設し、旧17・18番の土地を観客村と大会設備に回した。
- 2019年は23万7750人、6年後の2025年は27万8000人を集め、経済効果は£45mから£89.2mへ拡大した。
- コース改修、記録的な観客数、地域効果を並べると、名門リンクスが「大会を再び載せられる会場」へ変わった過程が見えてくる。
全英オープンの開催地には、何十年も同じ顔ぶれが並ぶ。
だからロイヤル・ポートラッシュの時間軸は、少し異様だ。
北アイルランドのこのリンクスで全英が開かれたのは1951年。その次は2019年。空白は68年だった。
ところが、その次は2025年。今度はわずか6年で戻ってきた。
何が変わったのか。
答えを「人気が出たから」で終わらせると、この話の面白いところをかなり捨てることになる。ポートラッシュは、全英を迎えるためにコースそのものだけでなく、「巨大イベントを載せる場所」として作り替えられていた。
18ホールを守るために、2ホールを入れ替えた
2019年大会へ向けて最も大きかったのが、ダンルース・リンクスの7番と8番の新設だ。
R&Aの公式資料によると、新7番は592ヤードのパー5、新8番は434ヤードのパー4。設計はマーティン・エバート。1930年代以来となる大きな改修で、選手用の新ティーやバンカー整備も加わり、選手権用の全長は201ヤード延びて7344ヤードになった。
ただし、ここで重要なのは「長くして難しくした」ことではない。
新しい2ホールを入れたことで、従来の17番と18番があった土地を大会期間中の観客村と大会インフラに使えるようになった。
つまり改修は、世界トップ選手へのテストを作ると同時に、何十万人もの観客を受け入れる空間を作る工事でもあった。
名門コースだから全英が来るのではない。
現代のメジャーを開催するには、コースの外側まで含めて「大会が成立する設計」がいる。
68年ぶりの一発目で、23万7750人
2019年、全英はポートラッシュへ戻った。
観客数は23万7750人。当時、セントアンドリュース以外で行われた全英として最多だった。
優勝したのはシェーン・ローリー。トミー・フリートウッドに6打差をつけ、アイルランド島出身の選手が北アイルランドでクラレットジャグを掲げる大会になった。
数字はコース外でも大きかった。
大会後に公表された調査では、北アイルランド経済へ入った新規支出による経済効果は4500万ポンド。テレビ露出などを含む別の指標まで合わせた「経済的便益」は1億ポンド超とされた。
ここは数字の読み方に注意したい。
4500万ポンドと1億ポンド超は同じ意味ではない。前者は大会開催による経済効果、後者はメディア露出などを含めた広い便益だ。
それでも、2019年大会が「久しぶりにやってみたら成功した」というレベルを超えたことは分かる。
2021年、R&Aは2019年の成功を背景に、2025年の再開催を正式発表した。
68年待った場所へ、次は6年で戻ることになった。
2回目は、さらに人が増えた
2025年大会では、チケット抽選への申し込みが100万枚分を超えた。
最終的な観客数は27万8000人。2019年を4万人以上上回り、再びセントアンドリュース以外の全英最多を更新した。北アイルランドで開催されたスポーツイベントとしても過去最大とR&Aは発表している。
大会そのものはスコッティ・シェフラーが通算17アンダーで4打差勝利。だが地域側から見れば、もっと大きな数字が残った。
大会後の調査で、北アイルランド全体への経済効果は8920万ポンド。そのうち開催地周辺のCauseway Coast and Glensでは4370万ポンドだった。
来場者の59.5%は北アイルランド外から来ていた。さらに62%が全英を現地観戦するのは初めてで、約67%は大会に合わせて滞在を延ばし、地域の別の場所も訪れたと報告されている。
「ゴルフの大会を見に来た人」が、そのまま観光客になっている。
2億8000万ポンドは、そのまま「地域に落ちた金」ではない
2025年大会については「2億8000万ポンド超の経済的便益」というさらに大きな数字も公表された。
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