公共ゴルフ場がゼロになる3年間 シンガポールはゴルフを消さず「席」を残した
GOLF DNA編集部🇸🇬

3行まとめ
- 2024年に18ホール公共コースのMarina Bayが閉鎖し、Mandaiも2026年末で終了予定。
- 2027〜2030年は専用の公共ゴルフ場がなくなる一方、Keppel Simeでは現在60%の枠を一般向けに確保している。
- 土地が足りない都市国家は、ゴルフ場そのものではなく「一般ゴルファーが打てる席」を制度として残そうとしている。
シンガポールでは、ゴルフ場を残す理由に「ゴルファーが使うから」だけでは足りない。
政府は2025年の土地利用方針で、住宅、経済活動、交通、インフラなどとの競争がさらに厳しくなり、ゴルフに使える土地は減っていくと明記した。2025年時点で国内には16コースあるが、リースが切れれば土地は国へ戻り、別用途へ転換される可能性がある。
その現実を象徴したのがMarina Bay Golf Courseだった。
2006年に開場した同コースは、運営者NTUC Clubによればシンガポール初で唯一の18ホール公共ゴルフ場。18年間で130万人超がグリーンを利用したとされるが、土地リース満了により2024年6月30日に閉鎖した。
普通なら、ここで「公共ゴルフが消えた」で話が終わる。
シンガポールは、そこで別の残し方を選んだ。
9ホールを2年延命し、民間クラブの枠を一般へ開けた
Marina Bay閉鎖を前に、政府は9ホールのMandai Executive Golf Courseの利用期限を2年間延長し、2026年12月31日までとした。
ただし、これ以上の延長はない。Mandaiの土地はその後、教育省の屋外体験学習施設に使われる計画だ。
つまり2027年から2030年までは、政府がいう「専用の公共ゴルフ場」が存在しない期間になる。
それでも一般ゴルファーがプレーできなくなるわけではない。
受け皿の中心がKeppel ClubのSime Courseだ。ここは会員制クラブでありながら、公共利用を組み込んだ混合型で運営されている。
2026年9月25日に公式案内を確認すると、ティータイムの60%が一般向け、40%が会員向け。一般枠は先着順で、午前と午後の双方に設定されている。
「公共コースを1つ残す」のではなく、「既存コースの中に公共の席を確保する」。
土地が足りない国らしい発想だ。
2030年に切れる2つのクラブ用地を、今度は公共ゴルフへ戻す
さらに興味深いのは、その先である。
Keppel ClubのSime CourseとSingapore Island Country ClubのBukit Courseは、いずれも2020年代末まで民間クラブとして使われるが、現在のリースは2030年12月31日で満了する。
政府は2025年、その後の両用地を公共ゴルフ用途へ再配分する方針を発表した。
同時に、長期的には「専用18ホール公共コース」を確保するとしている。
一方で、開場時期、運営者、料金まで決まったわけではない。2030年末にクラブのリースが切れた翌日から、そのまま公共コースになると決まっているわけでもない。
現在確定しているのは、「この土地を住宅などへ全部転用するのではなく、公共ゴルフのために残す」という方向までだ。
守っているのはゴルフ場ではなく、プレー機会
ここまでの流れを並べると、かなり変わった形が見えてくる。
18ホール公共コースを閉じる。 9ホール公共コースを2年だけ延長する。 その間は民間クラブのティータイムの一部を一般へ開く。 そして将来は、リースが切れる民間クラブの土地を公共ゴルフへ振り直す。
一本のゴルフ場を永久に守っているわけではない。
守ろうとしているのは「一般の人がゴルフを始め、続けられる経路」だ。
これは初心者だけの話でもない。政府はKeppel Simeに若手育成の拠点を置き、別のクラブにも新たな育成拠点を設ける方針を示している。一般利用、ジュニア育成、代表選手の練習を、限られたコースへ重ねて使おうとしている。
日本ではゴルフ場の閉鎖を「1コース減った」と数えがちだ。
しかし都市部では、コース数だけでなく、誰がそのティータイムを使えるかを分けて考える方が重要なのかもしれない。
シンガポールでは、公共ゴルフ場が一時的にゼロになる。
それでも公共ゴルフをゼロにはしない。
出典:mccy.gov.sg / ntucclub.com / mlaw.gov.sg / keppelclub.com.sg
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