リン鉱山が残した15mの砂丘 Streamsongは「掘った跡」を名コースへ変えた
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- フロリダのStreamsongは、手つかずの自然ではなくリン鉱山の跡地から始まった。
- 採掘後に積まれた砂は15m超の起伏を生み、その地形を生かしてRedとBlueが設計された。
- 2023年には約2,833haを含むリゾートが1.6億ドルで売却され、2026年には土地の歴史を名にした第5コース「Bone Valley」まで発表された。
フロリダのゴルフ場と聞くと、平らな土地に池が点在する景色を想像しやすい。
ところがStreamsong Resortには、大きな砂丘と激しい高低差がある。しかも、その地形は「手つかずの自然」から生まれたわけではない。ここは、かつて大規模なリン鉱石採掘が行われた土地だ。
平らなフロリダに、なぜ15m級の砂山があるのか
2013年の開場時にGolf Course Architectureが報じたところでは、この土地では長年にわたり1億トンを超えるリン鉱石が採掘された。
採掘ではリン鉱石と砂を分離し、残った砂を大きな山として積み上げた。その砂山は時間と風雨で形を変え、中には高さ50フィート、約15mを超えるものもあったという。
つまりStreamsongの起伏は、採掘後に残った地形そのものが設計材料になった例だ。
最初の2コースでは、Redを担当したBill CooreとBen Crenshaw、Blueを担当したTom Doak側が主要なルートを共同で検討した。記事によれば、印象的な地形は36ホール分ぎりぎりで、互いに使いたい場所を分け合いながら2コースを同時期に造った。
「元に戻す」より、次の土地利用をつくる
Streamsongを開発したのは、肥料・鉱山会社のThe Mosaic Companyだ。
現在のStreamsong公式サイトは、Mosaicが2012年に旧採掘地の次の用途としてStreamsongを始めたと説明している。同サイトは450を超えるホスピタリティ関連の雇用を支えているともしている。
ただし、これは運営側の説明であり、旧採掘地の環境改善量や地域経済への純効果を第三者が検証した数字とは分けて読む必要がある。
一方、事業として大きな転換が起きたことは取引記録で追える。
2023年1月、MosaicはStreamsong Resortと周辺約7,000エーカー、約2,833haの土地をKemperSports系のLone Windmill LLCへ売却した。購入価格は1億6,000万ドルだった。
もちろん、これはゴルフコースだけの値段ではない。宿泊施設や不動産を含むリゾート全体の取引であり、名コースが売却価格へどれだけ寄与したかは分からない。
最後は、鉱山の歴史そのものがコース名になった
2026年3月、StreamsongはDavid McLay Kidd設計の第5コース名を「Bone Valley」と発表した。
Bone Valleyは、フロリダ中央部のリン鉱石と化石で知られる地域名だ。新コースは2026年10月30日にプレビュー開始、2027年1月26日に正式開場予定とされている。
最初は「鉱山跡をどう使うか」だった場所が、14年後には鉱山地域の名前を新コースのブランドに使うところまで来た。
名コースは「手つかずの自然」からしか生まれないわけではない
Streamsongの話を「採掘すれば良いゴルフ場ができる」と読むのは間違いだ。採掘には環境負荷があり、旧鉱山をゴルフ場へ変えれば自動的に問題が解決するわけでもない。
それでも、コース設計の見方としては面白い。
設計家が向き合う土地は、必ずしも人の手が入る前の自然ではない。重要なのは、その土地が「本来どうだったか」だけではなく、「いま何が残っているか」を読むことなのかもしれない。
Streamsongの砂丘は、採掘の結果として生まれた。その地形をゴルフの戦略へ変え、いまは土地の鉱山史そのものを新しいコース名へ変えようとしている。
出典:investors.mosaicco.com / streamsongresort.com / Golf Course Architecture / kempersports.com
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- 落差約400m、滞空20〜30秒と案内される。
- 2019年にリゾートとともに閉鎖したが、2023年の資産取得・再構築を経て2026年5月に復活した。