打点テープで18ヤード伸びた実験
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 打点確認用のフェーステープを貼った7番アイアンで、スピンは毎分約2300回減り、総距離は約18ヤード伸びた研究がある。
- ただし5番では有意差がなく、糊残りの影響も別だった。
- 特定テープ、レンジボール、マットという条件と2026年まで独立追試が確認できない現状から、フィッティングで「測る道具」が数値を変え得る範囲を整理する。
クラブのどこに当たったかを見るために貼った一枚のテープが、見ようとしている弾道そのものを変えていた。
2025年に公表された実験では、7番アイアンのフェースへ打点確認用テープを貼ると、スピン量が毎分約2300回減り、打ち出し角が約3.4度高くなり、総距離は約18ヤード伸びた。フィッティングでその数値を普段の弾道として読めば、判断を大きく変えかねない差だ。
ただし、この結果を「打点テープを貼れば飛ぶ」と読むのは早い。同じ実験の5番アイアンでは、有意な差が確認されなかったからだ。
7番アイアンだけ、数字が大きく動いた
実験の参加者はハンデ10以下の20人。同じ5番・7番アイアンを使い、フェースが清浄な状態、打点確認用テープを貼った状態、テープを剥がして糊を残した状態の3条件を比較した。ボールは新品のプレミアムレンジボール、打つ場所はマット、計測にはトラックマン4を使い、各条件・各クラブで6球ずつ測定している。
7番アイアンでは、清浄なフェースの平均スピン量が毎分5790.51回だったのに対し、テープありでは3482.58回。約2308回減った。
打ち出し角は18.03度から21.38度へ上がり、総距離は168.93ヤードから186.96ヤードへ伸びた。差は18.03ヤード。スピン、打ち出し角、総距離はいずれも統計上の有意差が確認された。
打点を見るための道具が、7番アイアンでは「低スピン・高打ち出し・長い総距離」という別の弾道を作っていたことになる。
ところが5番アイアンでは同じ現象にならない
5番アイアンの平均スピン量は、清浄な状態が毎分3877.60回、テープありが3604.03回、糊残りが4002.80回。総距離はそれぞれ201.88、206.27、200.06ヤードだった。
数字には差があるが、フェース条件による主要な弾道指標の有意差は確認されなかった。
ここがこの研究の重要なところだ。7番で約18ヤード変わったからといって、ロフトの違うクラブでも同じ割合で変わるとは言えない。なぜ7番では大きく変わり、5番では明確な差にならなかったのかも、この実験だけでは決着していない。
テープを剥がした後の糊も、テープ本体とは違う
7番アイアンの糊残り条件では、平均スピン量が毎分5250.64回となり、清浄なフェースより有意に低かった。
一方、打ち出し角と総距離は清浄条件との差が有意ではなかった。つまり「テープを貼る」と「剥がした後に糊が残る」は同じ影響ではない。
しかも糊残りの量は標準化されていない。実験ではテープを剥がした後の残留物を清掃せずに測っており、どの程度の糊なら何回転変わる、といった量的な関係まで示したものではない。
原因として摩擦低下は考えられるが、直接測ってはいない
研究者は、滑らかなテープによってフェースとボールの間の接線方向の力や摩擦が小さくなり、7番アイアンで高い打ち出しと低いスピンが生じた可能性を考察している。
ただし、実験ではフェースとボールの摩擦係数を直接測定していない。摩擦低下は結果を説明する有力な仮説ではあるが、「摩擦が何%下がったからスピンが何回減った」と確認した研究ではない。
同じフェース条件でも、ショット間でスピン量が1500回転以上ばらついた選手がいた。測定道具の影響が全員へ同じ大きさで出るわけでもない。
そもそも「打点を測るテープ」にも測定誤差がある
別の2018年公開・2019年掲載のロボット研究では、インパクトテープで示された接触位置と、別の計測方法で捉えた初期接触位置を比べると、垂直方向に最大4ミリの系統的なずれが確認された。ずれはロフトや、ボールとクラブが接触している間の相互作用に左右された。
これは2025年研究の弾道差を再現した研究ではない。ただ、打点を見るためのテープを「完全に中立な物差し」と考えるのも危ういことを示している。
フィッティングでは「テープあり」と「テープなし」を同じ基準にしない
この研究条件では、7番アイアンのテープありデータを通常ショットの数値として扱えば、スピン、打ち出し角、総距離の評価が大きくずれる可能性がある。
だから打点確認と弾道評価を同時に行うなら、少なくともテープを貼った球の数値と、清浄なフェースで打った基準値を無条件に同列比較しない方がいい。打点、弾道、本人の感覚を分けて確認し、最終的な弾道評価は清浄なフェースでも取り直す、という読み方がこの研究には合っている。
ただし、今回使われたのは単一メーカーのフェーステープ、単一のアイアンヘッド、新品のレンジボール、マットという条件で、参加者も20人。芝の上、通常のコース球、別素材のテープや打点スプレーで同じ差が出るとはまだ言えない。
出典:International Journal of Golf Science / journals.sagepub.com
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- ただし対象は2,000人超の熱心なゴルファーで、日本の一般ゴルファーを直接測った調査ではない。