36ホールを川へ戻す65万立方ヤード
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 米カリフォルニア州の旧36ホール、ランチョ・カニャーダでは、約40エーカーを掘り下げて川の氾濫原へ戻す工事が進む。
- 約65万立方ヤードの掘削、護岸やカート橋の撤去まで行う理由を、かつての取水、魚の生息地、洪水対策、2026年の工事状況から追う。
- 州の事業資料は、ランチョ・カニャーダを旧36ホールのゴルフ場とし、営業中はカーメル川で2番目に大きい水利用者だったと説明している。
旧ゴルフ場を公園に変える。それだけなら、芝を残して木を植えれば済みそうに見える。
ところが米カリフォルニア州の旧ランチョ・カニャーダでは、地面そのものを掘り下げている。対象は旧36ホール。カーメル川沿い約1マイル、旧コース約40エーカーを、毎年の河川水が入れる氾濫原へ戻す工事だ。
計画全体の掘削量は約65万立方ヤード。さらに約3200フィートの護岸を外し、ゴルフカート橋3本を撤去する。これは閉鎖コースの再利用というより、ゴルフ場として作られた土地を川の一部へ作り替える工事に近い。
かつては川の大口利用者だった
州の事業資料は、ランチョ・カニャーダを旧36ホールのゴルフ場とし、営業中はカーメル川で2番目に大きい水利用者だったと説明している。
水管理当局の2025年技術資料では、旧2コース合計の取水実績は2006〜2015年平均で年間381.11エーカーフィート。2016年の一時的な取水抑制でも、ほぼ同じ381エーカーフィートが基準に使われた。
この数字を、そのまま2018年以降に川へ永久返還された水量とは読めない。対象は旧36ホール敷地全体の過去平均で、後の土地利用や水利の扱いとは分ける必要がある。
それでも、ゴルフ場の灌漑が川の水利用と強く結びついていたことは分かる。2018年、土地は保全とレクリエーションを目的に取得された。
なぜ植樹ではなく、40エーカーを掘るのか
事業の中心は、川から切り離されていた旧コースの一部を低くし、河川水が入れる地形へ戻すことにある。
対象はカーメル川沿い約1マイル、約40エーカー。約65万立方ヤードを掘削し、約3200フィートの護岸を撤去する。17万5000本を超える在来植物を導入し、旧カート橋3本を外し、新たに約260フィートの歩行者橋を架ける計画だ。
目的は一つではない。連邦指定で絶滅が懸念されるスチールヘッドの稚魚が使える生息地を増やすこと、洪水を受け止める空間を広げること、地下水の涵養、そして公園としての利用改善が並んでいる。
つまり「魚のための工事」と「洪水対策」が別々に進むのではない。同じ地形を川と再接続することで、複数の課題を同時に扱おうとしている。
ただし、これらは現時点では事業目的だ。完成後の洪水軽減量、地下水涵養量、スチールヘッドの利用量といった定量成果は、今回確認した公開資料ではまだ示されていない。
2025年に掘り始め、2026年も工事中
工事は2025年6月に始まった。第1期では26万6650立方ヤードを掘削・造成した。掘削土の一部は敷地内の高地造成に使われ、隣接する住宅開発側にも移された。事前の土砂共有計画では最大15万立方ヤードを住宅開発側で利用する想定だったが、65万立方ヤードすべてを搬出する計画ではない。
第2期は2026年4月20日に始まった。5月6日の進捗報告では、生物・文化資源の監視、保護柵、搬入路や仮置場、埋設物調査、重機搬入まで進み、その後に旧コンクリート路や護岸の撤去、氾濫原造成、表土保存へ進む工程が示されていた。
9月2日の公園地区理事会でも第2期の進捗報告が議題となり、現行の事業ページも工事継続中としている。9月時点の掘削量や新歩行者橋の完成率までは確認できないため、5月以降の予定工程を完了実績にはできない。
完成予定は2027年秋
現在の工程では、2026年に東側の氾濫原造成と新しい歩行者橋を進め、2027年に最終的な河道接続や植栽などを行い、2027年秋の完成を予定している。
水位、水温、植生、地形、ドローン写真などを使う監視計画もある。だから、この事業が本当に洪水や地下水、生息地へどれだけ効いたかは、工事が終わり、監視データが積み上がってから評価される話になる。
この旧ゴルフ場で起きているのは、36ホールを閉じて自然に返した、という単純な転換ではない。
芝生だった約40エーカーを掘り、護岸とカート橋を外し、川が再び入れる場所へ作り直す。ゴルフ場として固定されていた地形そのものを解き、土地と川の関係を作り直している。それが、65万立方ヤードという工事量の中身だ。
出典:palocoronarestoration.org(2) / scc.ca.gov / ceqanet.lci.ca.gov(2) / mpwmd.net / mprpd.org(2・3・4) / ia.cpuc.ca.gov
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