12年契約を動かした9月の全米オープン
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 2013年に12年契約を結んだ全米ゴルフ協会とフォックス・スポーツ。
- ところが2020年、全米オープンが6月から9月へ延期され、秋の既存スポーツ中継と衝突したことで、残りの放映権はNBCユニバーサルへ移った。
- 全米ゴルフ協会への金銭的対価を変えずに行われた異例の移管が、2032年まで続く関係へどうつながったかを追う。
全米オープンの放送契約は、長期契約を結んだからといって最後まで同じ放送局が担当するとは限らない。
2013年、全米ゴルフ協会はフォックス・スポーツと、2015年から2026年までの12年間に及ぶ米国内メディア権契約を発表した。ところがフォックスが実際に全米オープンを中継したのは2015年から2019年まで。2020年大会を前に、残りの権利はNBCユニバーサルへ移ることになった。
きっかけは、放送内容への評価ではなく大会日程だった。
6月の全米オープンが9月へ動いた
2020年の全米オープンは、新型コロナウイルスの影響で6月開催から9月へ延期された。
問題は、移動先が米国スポーツの繁忙期だったことだ。NBCユニバーサルと全米ゴルフ協会の公式発表では、フォックスには秋にNFL、メジャーリーグ、大学フットボールなど既存の放送予定があり、延期された全米オープンとの調整が難しくなったことが説明されている。
当初は2020年大会だけをフォックスとNBC・ゴルフチャンネルが協力して放送する可能性が検討された。だが協議はそこから広がり、2020年6月29日、NBCユニバーサルが全米ゴルフ協会の残存メディア権を即時に引き継ぐことが決まった。期間は元の契約が終わる2026年12月31日までだった。
つまり、12年契約そのものが破棄されて新しい期間を最初から組み直したのではない。2020年の延期で生じた編成問題を入口に、残っていた権利の担当先が丸ごと変わった。
全米ゴルフ協会が受け取る金額は変わらなかった
権利移管で重要なのは、全米ゴルフ協会への金銭的対価が変わらなかったと公式発表で明記されていることだ。
一方、フォックスとNBCの間でどのような精算が行われたのか、どちらにどれだけ損益が出たのかは公表されていない。契約詳細も非公開だ。
そのため、この移管を「フォックスの放送が失敗したから切られた」「視聴率が悪かったからNBCへ戻った」と説明する根拠は今回の一次資料にはない。公式に確認できる因果の流れは、全米オープンの秋への延期、フォックスの既存スポーツ編成との衝突、両社協力案の検討、そして残存権利の全面移管までだ。
2020年の緊急対応は2032年までの関係になった
NBCユニバーサルへの移管は、2020年だけの代役では終わらなかった。
2025年8月、全米ゴルフ協会とNBCユニバーサルは契約を2032年まで延長すると発表した。現在の契約は2026年まで続き、新しい契約条件は2027年から始まる。
発表された2027年以降の枠では、全米オープンをNBCで少なくとも25時間放送し、木曜と金曜にはそれぞれ1時間の追加プライムタイム枠を設ける。ピーコックはNBC放送を同時配信するとともに、全米オープンと全米女子オープンの独占配信枠も持つ。USAネットワークとゴルフチャンネルは11の選手権を担当する計画だ。
2026年5月時点でも、全米ゴルフ協会はNBC、ピーコック、USAネットワーク、ゴルフチャンネルを組み合わせ、選手権を約400時間放送・配信する計画を公表している。
2013年に始まった12年契約は、2020年の予期しない日程変更によって途中で放送局が入れ替わった。そして、その時に残存権利を引き継いだNBCユニバーサルとの関係は、2025年の正式な延長によって2032年まで続くことになった。
ここで確認できるのは「緊急移管が成功したから延長された」という評価ではない。確認できるのは、2020年の一度きりの日程問題から始まった権利移管が、その後も継続され、次の契約期間まで正式に固定されたという事実だ。
出典:USGA(2・3) / Golf Channel
関連記事
7年増えても「完全復活」ではない スペイン31.7万人が教えるゴルフ人口の読み方
3行まとめ
- 2025年末のスペインのゴルフ登録は31万7155件、前年比3.8%増で7年連続増加。
- 一方、2010年の過去最高33万8588件にはまだ2万1433件届かない。
- 「伸びている」と「ピークへ戻った」は別――20年の曲線から市場回復の見方を読む。