単独では芝に使えなかった2つの地下水、混ぜたら散水できた 米ゴルフ場が上水散水をやめた仕組み
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 米ワイオミング州のベル・ノブ・ゴルフコースでは、単独使用で芝を傷めた2つの非飲用地下水を試験的に混ぜ、散水へ転用した。
- 2017年報告時点の水コストは1,000ガロン当たり1.30ドルで、上水の4.23ドルを下回った。
- 年間使用量も約9,000万ガロンから7,000万ガロンへ減ったが、23%減には灌水面積縮小など別の管理改善も含まれる。
2011年、米ワイオミング州のベル・ノブ・ゴルフコースは、水の問題を抱えていた。
乾燥地のコースで散水は欠かせない。ところが上水を使い続けると、年間の水道料金は35万ドルを超える水準に達していた。代わりに使えそうな地下水は二つあったが、どちらもそのままでは芝に向かなかった。
そこでコース側が試したのが、普通なら「使えない」と判断される二つの水を混ぜることだった。
結果は逆だった。単独では問題を起こした水が、混ぜると散水に使える水になった。
2つとも、そのままでは芝に使えなかった
全米ゴルフ協会の2017年の事例報告では、利用可能だった二つの非飲用地下水には水質上の問題があり、過去に単独で使った際には芝の品質を悪化させたとされている。
同協会の記事は、その問題を高い重炭酸塩と低いカルシウムに関係するものとして説明している。一方、当時の責任者ドウェイン・ディリンジャーは2026年の回顧で、一方はカルシウム不足、もう一方は過剰だったと説明している。
公開資料の細部は一致していない。さらに、二つの水を何対何で混ぜたのか、混合前後の具体的な分析値も公表資料では確認できない。
だから、この事例を化学式のように一般化することはできない。
確認できる核心は別にある。全米ゴルフ協会の報告では、二つの水を試験的に混ぜたところ、一方の弱点をもう一方の性質で補えることが分かり、散水へ使えると判断された。
2012年、154エーカーフィートの貯留・混合施設を造った
試験で使える見通しが立っても、コース全体へ安定して供給できなければ意味がない。
そこで2012年、二つの水源をためて混ぜる154エーカーフィートの貯留施設が建設された。井戸からどれだけの水を確保できるか不確実だったため、大きな貯留能力を持たせた。建設には州の検査や許可も必要だった。
ここでベル・ノブの散水は、料金の高い上水を買う仕組みから、現地で確保した非飲用水を組み合わせて使う仕組みへ変わった。
2017年に全米ゴルフ協会が報告した水コストは、混合した非飲用水が1,000ガロン当たり1.30ドル。上水は4.23ドルだった。
これは現在の料金ではなく、2017年の報告時点の数字だ。それでも、当時この仕組みを導入した経済的な意味は分かりやすい。大量に使う散水用水の単価そのものを下げられた。
「水使用23%減」は、混ぜた効果だけではない
ベル・ノブでは年間の水使用量も、約9,000万ガロンから7,000万ガロンへ減った。全米ゴルフ協会の報告では約23%の削減になる。
ここは、この事例を読むうえで重要な切り分けがある。
23%減ったのは、二つの地下水を混ぜたから水そのものが節約できた、という話ではない。
同じ時期に、灌水する芝の面積を120エーカーから110エーカーへ縮小し、コース管理も硬く速い状態を意識する方向へ変えていた。つまり、水源の変更と、使う面積・使い方の見直しが同時に進んでいる。
混合水が直接変えたのは、単独では利用しにくかった非飲用水を散水水源として使えるようにし、上水への依存と水コストを下げたことだ。
年間使用量の23%減は、その上に灌水面積縮小などの管理改善が重なった結果として見る必要がある。
面白いのは「新しい水源を見つけた」ことではない
この事例では、新しい良質な水源を掘り当てたわけではない。
目の前にあったのは、単独では芝に向かなかった二つの水だった。それを捨てず、試験して、組み合わせ、貯留設備まで造ることで一つの散水システムへ変えた。
だからベル・ノブの事例からそのまま「悪い水は混ぜれば使える」とは言えない。正確な混合比や化学値は公開されておらず、同じ方法を別のコースへそのまま移せる根拠もない。
一方で、水問題への考え方として確認できることはある。使える水を新しく探すだけでなく、単独では使いにくい既存水源を組み合わせられないか検証する余地がある、ということだ。
2026年現在もベル・ノブ・ゴルフコースが郡営施設として営業していることは確認できる。ただし、現在も2012年と同じ二つの井戸、同じ混合設備を同じ条件で使っているかは公開資料では確認できない。
この事例で確かに残っているのは、2011年に年間35万ドル超の上水コストに直面したコースが、単独では使えなかった二つの地下水を組み合わせ、翌年には貯留・混合設備まで造って上水散水から離れたという事実だ。
「良い水がなければ終わり」ではなく、「使えない水をどう組み合わせるか」に答えを見つけたゴルフ場だった。
出典:USGA / campbellcountywy.gov / dillingerwyoming.com
関連記事
市営コースを売らずに復活 130人超が5500万ドルを集めた「The Park」の仕組み
3行まとめ
- 2018年に閉鎖したWest Palm Beachの市営ゴルフ場は、土地を売らず、非営利財団へ50年賃貸する形で再生した。
- 130人超の寄付者から5,500万ドル超を集め、2023年にThe Parkとして再開。
- 2026年現在も市は「Municipal Golf Course」と位置付ける。