72ホールなのにスコアを2度ゼロへ 2020年キプロス大会が「最終日18ホール勝負」にした理由
GOLF DNA編集部🇨🇾

3行まとめ
- 2020年のキプロス・ショーダウンは、72ホールを戦いながら36ホール後と土曜終了後にスコアを2度リセットした。
- 105人から32位タイ、さらに16位タイへ絞り、実際には19人が日曜を全員イーブンから開始。
- 欧州ツアーが狙った勝負の設計と、2026年まで同方式の再採用を確認できない現在地を追う。
2020年の欧州男子ツアーで、4日間72ホールをプレーするのに、木曜から日曜までの合計スコアでは優勝を決めない大会が行われた。
舞台はキプロスのアフロディーテ・ヒルズ。大会名はキプロス・ショーダウンだった。
最大の特徴は、途中でスコアを2度ゼロへ戻すことだ。
105人が最初の36ホールを通常のストロークプレーで戦い、32位タイまでが土曜へ進む。ところが、そこで木曜と金曜のスコアは消える。土曜は全員がイーブンから再スタートする。
さらに土曜が終わると、今度は16位タイまでを残して、またスコアをゼロへ戻す。同順位を含めて実際に日曜へ進んだのは19人。最終日の18ホールは、その19人全員が同じスタートラインから優勝を争った。
つまり、金曜までにどれだけ貯金を作っても土曜には残らない。土曜にどれだけ伸ばしても、日曜にはまた消える。72ホール大会でありながら、最後は18ホールだけの勝負になる設計だった。
なぜ、わざわざ2度もスコアを消したのか
欧州ツアー側が公表した狙いは明確だった。
新しい形式を試して新しいファンと選手を引きつけること。同じ会場で2週連続して大会を行う中で、2週目には違うものを提供すること。そして世界向けのテレビ中継で、刺激的で劇的な結末を作ることだった。
2020年は国際日程が大きく組み替えられ、キプロスでは同じ会場で2週連続の大会が無観客で行われた。地域ごとに大会をまとめ、国際移動の負担を抑える方針もあった。
ただし、この日程事情そのものがスコアリセット方式を生んだ、とまでは公式資料は述べていない。確認できるのは、同一会場の2週目だからこそ別の競技体験を見せたいという説明までだ。
「4日間の積み上げ」ではなく「段階を突破する大会」
普通の72ホール競技では、初日の1打も最終日の1打も同じ合計スコアへ積み上がる。キプロス・ショーダウンは、その前提を切った。
最初の36ホールで必要なのは、優勝スコアを作ることではなく、まず32位タイ以内へ残ること。土曜も同じで、日曜へ進むために16位タイ以内へ入れば、翌朝には全員がまた同じスコアになる。
大会後の公式コメントでも、選手は通常の72ホール競技とは違う攻め方やプレッシャーについて語っている。
ただ、この形式が視聴率を上げた、あるいは観客を増やしたと示す実測値は今回の材料にはない。「劇的な結末を狙った」という主催者の意図と、「実際に人気が高まった」という効果は分けて見る必要がある。
最終日は19人がゼロから競い、マッキンタイアが初優勝
日曜へ進んだのは、16位タイの同順位者を含む19人だった。
全員がイーブンから始まった最終18ホールで、ロバート・マッキンタイアが64、7アンダーを記録。川村昌弘を1打差で抑え、欧州ツアー初優勝を決めた。
前の3日間は日曜へ進むための選抜であり、優勝そのものは最後の18ホールで決まったことになる。
この結果は、スコアリセット方式が狙った「最後まで勝負を圧縮する」構造をそのまま表している。
では、この実験は定着したのか
2021年から2026年9月18日まで、DPワールドツアーの公式サイトと公式日程でキプロス・ショーダウンや同じ2段階のスコアリセット方式を確認したが、同方式の再採用は確認できなかった。
2022年にはキプロス・オープンが通常大会として予定されたものの、その後中止されている。2026年の公式日程にもキプロス・ショーダウンはない。
ここから「実験は失敗だった」と結論づける材料はない。再採用されなかった理由を公式資料が示しているわけでもないからだ。
確認できるのは、2020年に欧州ツアーが72ホール競技の常識を一度組み替え、2度のリセットで最終日を完全な18ホール勝負へ変えたこと。そして2026年まで、その同じ方式が定番化した形跡は公式資料では確認できないことまでだ。
4日間の努力を全部足して最も少ない打数を競う。それがゴルフのツアー競技では当たり前だ。
キプロス・ショーダウンは、その当たり前を壊さずに72ホールを残しながら、「どのスコアを優勝争いへ持ち越すか」だけを変えた。珍しかったのはゼロに戻すこと自体ではなく、4日間の役割を「選抜、選抜、決勝」と作り替えた点だった。
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