「クラブに意識」でパットは良くなる? 30人の4日間実験では差が続かなかった
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 外的注意が有利に見えたのは初日だけだった。
- 30人が4日間パットした2024年研究と、2026年の査読前研究・関連研究をたどり、「その場で良くなること」と「優位が日をまたいで続くこと」を分けて考える。
- 研究に参加したのは体育系学生30人で、女性18人、18〜35歳、平均25.4歳だった。
「腕の動きではなく、クラブの動きに意識を向ける」。パットでこの違いが本当に効くなら、その場の数球だけでなく、日をまたいでも差が残ってほしい。
2024年にPeerJで公表された研究は、まさにそこを4日間かけて調べた。結果は単純な「外に意識を向ければ上達する」ではなかった。
30人が4日間、合計180回のテストパット
研究に参加したのは体育系学生30人で、女性18人、18〜35歳、平均25.4歳だった。重要なのは、原著にゴルフ競技歴やハンデの記載がないことだ。経験者なのか初心者なのかは、この資料からは決められない。
課題は人工芝上の2mのパット。4日間、各日の間を48〜72時間空けて行い、毎日3条件を15球ずつ、計45球。4日間で180回のテストパットを打った。
3条件は、腕の振り子運動へ意識を向ける「内的注意」、クラブの振り子運動へ意識を向ける「外的注意」、ボールとの立ち位置へ注意を向ける対照条件だった。ここでいう外的注意は「カップだけを見る」といった意味ではなく、クラブの運動へ意識を向ける指示だった。
4日間全体では、外的注意の優位は確認されなかった
事前登録された主要解析では、カップからの距離の絶対誤差に条件全体の明確な差は出なかった。条件の主効果はp=.10、条件と日数の組み合わせもp=.33。一貫性の指標でも条件差はp=.46で、日によって特定の注意条件だけが優位になる傾向も確認されなかった。
一方、日数そのものの効果はあり、参加者全体では4日目までに成績が改善した。つまり練習は進んだが、「どこへ意識を向けたか」で4日間を通した差は付かなかった。
初日だけを見ると、話が少し変わる
研究者が探索的に1日目だけを調べると、内的注意の絶対誤差は平均38.48cmだったのに対し、外的注意は34.19cm、対照条件は32.84cmだった。外的注意と対照条件は内的注意より誤差が小さかったが、外的注意と対照条件の間には明確な差がなかった。
そして2〜4日目には、その条件差は続かなかった。
ここがこの研究の面白いところだ。初日に外的注意が良く見えたことと、4日間を通じて外的注意が優れていたことは同じではない。しかも初日の差は探索的解析であり、事前登録された主要解析より強い結論にはできない。
また、この実験は4日間の反復成績を比べたもので、後日まったく指示を出さずに技能が残ったかを測る典型的な保持テストではない。「学習効果が消えた」とまでは言えず、確認できたのは「条件の優位が4日間持続しなかった」という範囲だ。
2026年の別研究でも、明確な優位は出ていない
2026年8月に公開された34人の研究では、パター側へ意識を向ける自己対話と腕側へ意識を向ける自己対話を比べた。4ブロック各20パットで、精度、一貫性、自己効力感などに明確な差は確認されなかった。
ただし、2026年9月18日時点でこれは査読前の第1版で、2024年研究の直接的な再現実験でもない。同じ重さの証拠として扱うことはできない。
さらに、ゴルフ全体の研究が「外的注意は効かない」で揃っているわけでもない。2024年の別の査読研究では、ピッチショットの学習で外的注意群が遅延保持と転移テストで内的注意群を上回った。2026年の10〜12歳24人による単日のパット研究では、内的・外的・全体的注意はいずれも対照より改善したものの、3つの指示同士に明確な差はなかった。
「その場で良かった」を、そのまま上達法にしない
現時点の材料から言えるのは、パットでは外的注意が初日に良く見える場面があっても、その優位が数日間そのまま続くとは限らない、ということだ。
逆に、外的注意が無意味とも言えない。別のゴルフ課題では優位を示した研究があり、指示の内容や課題、測る時点によって結果は変わっている。
だから、1回の練習で数球良くなっただけで「この意識が正解」と決めるのは早い。少なくとも研究が示しているのは、ドライバーやフルショット、実戦スコアまで一つの注意法で説明できるほど単純ではない、という現在地だ。
出典:pmc.ncbi.nlm.nih.gov / pubmed.ncbi.nlm.nih.gov(2・3) / sportrxiv.org / doi.org
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