打席を止めずに球を拾う 全米オープンでも動いた「回収ロボット」
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 打球が飛び続ける練習場で、球拾いを止めずに回す自律式ロボットが実用段階に入っている。
- USGAは2024年全米オープンでの利用を紹介。
- 現行商用機は24時間最大6万球を公称する。
練習場で突然「打つのを止めてください」と言われる。見ると、金網を付けた回収車がレンジへ入っていく。
あの時間を、ロボットが消し始めている。
自律式の球拾い機は、打席を止めずにレンジを走り、落ちているボールを集める。USGAは2025年の解説で、こうした機器が2024年の全米オープンでも使われたと紹介した。
ただし面白いのは、「人件費を削るロボット」という単純な話ではない。
全米オープンでも、球拾いは自律化していた
USGAによると、自律式のレンジボール回収機は一般的な回収車より小型・軽量で、芝への負担を抑えやすい。雨や地面が軟らかい条件でも動かしやすく、旗やバンカーなどを避けるよう設定できる。
そして、回収のために人が車へ乗り続けなくてよくなる。
USGAは、自律機器を「予算を削るための機械」と見るより、限られた人員をロボットにできない仕事へ回す手段として捉えるべきだとしている。
これは練習場では特に分かりやすい。
人が回収車へ乗っている間、その人は打席対応も、設備確認も、来場者対応もできない。ロボットに単純走行を任せれば、人を別の場所へ動かせる。
現行機は「1回1000球、24時間最大6万球」
2026年9月時点でハスクバーナが販売しているRelox Range Pickerは、GPSで回収区域と運行時間を設定し、自律走行する。
メーカー公称では、1回の回収容量は1000球。24時間で最大6万球。連続稼働は6時間で、充電は1.5時間。最高速度は5km/hで、機体はゴルフボールの直撃に耐える金属構造になっている。
さらにメーカーは、継続的に球を回収することで、スタッフの作業を1日約1.5〜2時間空けられ、練習を止める回数も減らせるとしている。
ただし、ここはメーカー公称値だ。
そして、2024年全米オープンで使われた機体がこのReloxだったと確認できる一次資料は見つからない。大会での実用例と、現行商品の性能は分けて見る必要がある。
実際の練習場では「1人減らせた」
カナダのRattleSnake Point Golf Clubでは、2023年に「Roam-eo」と名付けた自律式回収機を導入した。
運営担当者によれば、繁忙時にはレンジ担当を1人減らし、その人を別の仕事へ回せた。1人で回収する場合より、約60%多く球を拾えたとも報告している。
運用はかなり具体的だ。
レンジを7つの区域に分け、1回の走行は約40分。GPSで回収区域や障害物を設定し、機体が障害物に遭遇すると停止する。必要ならスタッフが遠隔で進路を変える。
つまり「放っておけば何でもやる」ロボットではない。
人は消えない。仕事の場所が変わる
実運用では、まだ人の仕事が残っている。
RattleSnake Pointでは、集めた球をかごから空にする作業は人が必要だった。導入当初には不具合もあり、タイヤ跡が残ることでレンジ管理の手間が増えるという課題も報告された。
さらに、その機体はトラクターそのものを認識できないため、スタッフがロボットの位置を把握して衝突を避ける運用も必要だった。
自律化は「完全無人」と同じではない。
ただ、ここがこの技術の本質でもある。
人が朝から晩まで回収車に乗る必要はない。機械に走行と回収を任せ、人は球の補充、接客、安全確認、芝管理などへ移る。
球拾いロボットが売っているのは「時間」かもしれない
現時点で、導入価格、保守費、故障率まで含めた総費用や、何年で元が取れるかを独立資料から判断するのは難しい。
だから「ロボットの方が必ず安い」とは言えない。
それでも、練習場側には別の価値がある。
回収車が出るたびに練習を止める必要が減る。球を一気に回収するのではなく、営業中ずっと少しずつ拾える。スタッフは運転席から降りられる。
出典:USGA(2) / husqvarna.com / thelinknews.ca
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