約800店計画からネット直販へ アダムスゴルフが10年で売り方を変えた理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2012年に約7000万ドルで買収されたアダムスゴルフは、2013年の日本で約800店舗展開を計画した一方、2023年にはネット直販専業で再始動した。
- 買収時に狙った顧客層、2020年の直販活動、2026年に購入導線を確認できない現在地まで追い、同じブランドの売り方がなぜ変わったのかを見る。
- 2012年3月、テーラーメイド・アディダスゴルフはアダムスゴルフの買収を発表した。
2013年、日本で「約800店舗」での販売を予定していたゴルフブランドが、10年後には「ネット直販専業」を掲げて再始動した。
アダムスゴルフだ。
同じブランドなのに、店頭を広く押さえる売り方から、ネットで直接売る方式へ大きく振れた。理由を追うと、単に「実店舗からネットへ時代が変わった」という話ではない。買収時に期待された顧客層と、2023年に取りにいった顧客層、そしてブランドを取り巻く所有関係までが変わっていた。
約7000万ドルの買収で期待された「補完役」
2012年3月、テーラーメイド・アディダスゴルフはアダムスゴルフの買収を発表した。条件は1株10.80ドル、取引総額は約7000万ドル。買収は同年6月に完了した。
当時の狙いは、アダムスを単にもう一つのクラブブランドとして抱えることではなかった。
買収発表でアディダス側は、アダムスがゲーム改善系の商品やシニア、女性ゴルファーに強みを持つ一方、テーラーメイド・アディダスゴルフは若い層や低〜中ハンデ層に強いと説明している。つまりアダムスには、既存事業で薄かった顧客を埋める役割が期待されていた。
日本では「約800店舗」で売る計画だった
その方針が分かりやすく表れたのが、2013年の日本展開だ。
テーラーメイドゴルフは、同年3月からアダムス製品を国内展開し、ゴルフ専門店を中心に約800店舗で販売する予定だと発表した。主な対象は中高年ゴルファーだった。
ここでの「約800店舗」は実際に到達した店舗数ではなく、あくまで販売計画だ。公開された一次資料から最終的な展開店舗数までは確認できない。
それでも、当時の売り方の思想は明確だ。アダムスというブランドを多数の専門店へ置き、店頭で中高年層との接点を広げる設計だった。
「ずっと休眠していたブランド」でもない
その後、アダムスを取り巻く資本関係は変わる。
2016年、アディダスはゴルフ事業を見直し、アディダスゴルフのシューズとアパレルへ集中する一方、テーラーメイド、アダムス、アシュワースを含む事業の買い手を探す方針を公表した。2017年には、それらの売却が完了している。
だからといって、アダムスが2023年まで完全に止まっていたとみなすのも正確ではない。
2020年12月には、テーラーメイドから委託を受けた代理店が「タイトライズ」の全国向けネット直販広告、ウェブサイト改修、SNS運用を行ったと発表している。少なくともこの時点で、アダムスには直販を使う動きがあった。
2023年、約800店の反対側へ振り切った
2023年の再始動で、販売モデルはさらに明確になる。
アダムスはネット直販専業のゴルフ用品ブランドとして商品群を再構成した。会社側が意識していたのは、2020年以降にゴルフを始めた人や、再びゴルフへ戻ってきた人たちだった。
打ち出したのは、品質や現代的な性能に加え、手頃さを組み合わせる考え方だ。そして、その商品を実店舗網ではなく直接販売する。
2013年は、中高年層へ約800店舗を通じて届ける計画だった。2023年は、新規・復帰層を意識し、ネット直販専業で届ける。この10年間で変わったのは販売場所だけではなく、「誰へ、どの経路で届けるブランドなのか」という設計そのものだった。
一方で、2023年の再始動後にアダムス単独でどれだけ売れたのか、販売数量や採算がどうだったのかは公開一次資料から確認できない。直販への転換を成功例と評価できる材料は揃っていない。
2026年、ブランドは残るが「直販継続」は確認できない
さらに現在地は少し複雑だ。
2026年9月18日に確認したアダムス公式サイトには、ブランド名や保証、特許、規約などの案内は残っていたが、商品一覧、価格、カート、購入導線は表示されていなかった。
一方、テーラーメイドの現行サイトでは、アダムスはブランド一覧や商標ページに残っている。
つまり2026年時点で確認できるのは、「アダムスというブランドと商標は残っている」ということまでだ。2023年に掲げたネット直販専業の商品販売が現在も同じ形で動いているとは確認できない。
約800店舗を予定した2013年と、ネット直販専業を掲げた2023年。アダムスの10年は、ブランド名を残したまま、狙う顧客と販売経路を組み替えてきた歴史だった。そして2026年、そのブランドは残っているものの、次にどの売り方を選ぶのかは公式サイトからまだ見えてこない。
出典:sec.gov(2) / PR TIMES ゴルフ / pymnts.com / adamsgolf.com / adidas-group.com(2) / stsnext.com / untilthenexttee.com / TaylorMade 技術情報(2)
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