ほぼ平坦な工業跡地を最大約50フィート高いコースへ リバティ・ナショナル、5年の汚染封じ込めと造成
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- ニュージャージー州ジャージーシティの旧石油ターミナル跡地に造られたリバティ・ナショナル。
- PGA TOURの回顧では汚染を覆い封じ込める工程に約5年を要し、元の高低差が約2フィートだった土地は完成時に旧地盤より最大約50フィート高い人工地形になった。
- 行政資料から、クロム酸塩や石油由来地下水への対策とゴルフ場造成がどう重なったのかを追う。
リバティ・ナショナル・ゴルフクラブの造成前、この土地はニュージャージー州ジャージーシティの旧工業用地だった。行政資料では、旧Tankport/Ultramarの石油ターミナルとして使われ、複数のクロム酸塩関連区域も含まれていたことが確認できる。
その土地が、2006年7月4日にゴルフ場として開場した。
変化の大きさを象徴する数字が二つある。PGA TOURの回顧では、汚染を覆い封じ込める工程に約5年を要した。設計者トム・カイトの回想では、もともとの土地の高低差は約2フィート。完成したコースは旧地盤より最大約50フィート高い地形になったと説明されている。
ただし、この「50フィート」は汚染を覆う層の厚さではない。環境修復と、その上に造られたゴルフコースの人工地形を分けて見る必要がある。
約5年の「封じ込め」は何をしていたのか
ニュージャージー州環境保護局の資料では、リバティ・ナショナルに組み込まれた土地の一部に、Tankport/Ultramarの旧石油ターミナルと複数のクロム酸塩関連区域があったことが記録されている。
クロム酸塩はタンク施設の土手などで確認され、土壌については修復措置が完了。2004年8月には、修復されたリバティ・ナショナルの対象部分について土壌の追加措置不要という行政上の扱いが示された。ただし、土地利用や構造物による管理を含む制度的・工学的な管理条件は残った。
地下水では、旧石油ターミナル由来の石油系汚染物質への対策として、遮水壁で囲い、内部の地下水を汲み上げて処理する仕組みが使われた。2009年の州資料では、その維持管理が続いていたとされる。
つまり、単に汚染土を上から大量の土で隠しただけではない。土壌と地下水で異なる対策を取り、封じ込めや処理、利用上の管理を組み合わせたうえで、その土地を使える状態へ持っていった。
「最大50フィート」は封じ込め層ではなく、完成した地形の高さ
ここは数字だけが独り歩きしやすい。
PGA TOURは、完成したコースが以前の土地より約50フィート高いと説明している。別の回顧では、もともとの敷地は高低差が約2フィートしかなかったという設計者側の証言も残る。
この二つを並べると、ほぼ平坦だった土地の上に大規模な人工地形が造られたことが分かる。
しかし、約50フィートすべてが「汚染を封じるための土」だったわけではない。州の環境資料は修復措置を別に記録し、コース側の回顧は完成した造成地形を説明している。50フィートは、旧地盤から完成コースまでの造成・標高差として扱うのが正確だ。
環境修復のために必要だった管理と、ゴルフコースとして起伏をつくる造成は、同じ土地の上で連続して進んだ。ただし、その目的まで同一だったとまとめることはできない。
環境修復が終わってからコースを造った、ではない
リバティ・ナショナルの特徴は、修復と造成を完全に別工程として眺めると実態を捉えにくいところにある。
汚染された土壌を管理し、地下水を封じ込め・処理することが土地利用の前提になった。その上で盛土と人工的な起伏をつくり、ゴルフコースの地形へ変えていった。
PGA TOURの回顧が「汚染を覆い、封じ込める工程に約5年」とする一方で、完成地形は旧地盤より最大約50フィート高くなった。修復のための管理構造と、コース設計のための人工地形が同じ造成事業の中で重なったわけだ。
だから「汚染地を50フィート埋めた」という表現では粗すぎる。行政資料で確認できる封じ込め・地下水処理と、設計資料で確認できる大規模な地形形成は、つながってはいるが同じ数字ではない。
2006年に開場しても、行政上の管理が消えたわけではない
クラブは2006年7月4日に開場した。
それで環境修復の履歴が消えたわけではない。2026年7月のジャージーシティ市議会議事録には、Tankport/Ultramarに関する修復措置の保護性確認・定期認証の書類が受領記録として残っている。
営業しているゴルフ場であることと、過去の汚染管理が完全に不要になったことは同じ意味ではない。少なくとも行政上は、封じ込め後の管理状態を確認する仕組みが続いていることが分かる。
一方、環境修復にいくら、純粋なゴルフ場建設にいくら使ったのかを一次資料で明確に分けられる公表値は確認できていない。費用を推測して「環境修復に巨額を投じた」と数字を置くこともできない。
リバティ・ナショナルで確認できるのは、旧工業用地の汚染対策が土地利用の前提になり、その上でほぼ平坦だった敷地が大きな人工地形へ変えられ、2006年にゴルフ場として開場したという過程だ。
約5年の封じ込めと最大約50フィートの造成は、同じ話の中にある。しかし同じものではない。この二つを分けて見ると、リバティ・ナショナルは「汚染された土地にゴルフ場を載せた」のではなく、環境修復と土地の作り直しそのものがコース造成の一部だったことが見えてくる。
出典:libertynationalgc.com / PGA TOUR(2) / nj.gov / dep.nj.gov / cityofjerseycity.civicweb.net / forbes.com
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