フェアウェイの水が「肥料」にも「塩」にもなる。6年で土はどう変わった?
GOLF DNA編集部🇺🇸
3行まとめ
- 米国の2つのゴルフ場を比べた研究で、再生水を使ったコースは水に含まれる窒素の分だけ肥料を減らせた。
- その一方で、6年ほどの間に土壌のナトリウムは2〜5倍になり、鉄などの利用しやすさも下がった。
- 石膏をまき、塩を流す水も増やした。
スプリンクラーから出る水は、透明に見える。でも、芝に届くのは水分だけではない。肥料になる養分も、土に残る塩類も、一緒に運ばれてくる。
米ワイオミング州の2つのゴルフ場を追った研究が、その両面を見せた。片方のコースは2007年に処理済みの再生水へ切り替え、もう片方は淡水を使い続けた。芝種や管理者は共通で、土壌は2003年から2013年にかけて調べられた。
水に入っていた「肥料」
再生水には、芝が利用する窒素やカリウムが含まれていた。水中の硝酸・亜硝酸態窒素は再生水で平均9.8mg/L、淡水では0.2mg/L未満。
再生水を使うコースでは、水から届く窒素を見込んで、追加の窒素肥料を1ヘクタール当たり年間約60〜70kg減らした。土壌のリンやカリウムも増えた。見えない水の成分を肥料として計算できたわけだ。
ここだけなら、再生水は良いことずくめに見える。だが同じ水は、別のものも運んでいた。
6年でナトリウムが2〜5倍
再生水のナトリウムは86mg/L、淡水は11mg/L。再生水に切り替えたコースでは、2007年から2012年に土壌のナトリウムが2〜5倍になった。6年後には土壌のpHも0.42上がり、芝が使える鉄やマンガンは減った。
フェアウェイの土壌で測った鉄は、再生水を使った6年間で59.4mg/kgから23.3mg/kgに下がった。ただし、これだけで「芝のプレー品質が落ちた」とは言えない。芝の葉そのものの成分やプレー性能は、この研究では測っていない。塩類の指標も上がったが、研究条件では芝への危険とされる水準を下回っていた。
塩を流すため、さらに水を使った
管理者は放置していたわけではない。ナトリウム対策として石膏をまき、2012年には1ヘクタール当たり計約2.2トンを施用した。塩類を根の届く深さより下へ流すため、散水も通常より5〜10%増やした。
それでも、研究期間中にナトリウムの蓄積は見られた。淡水の使用を抑えるための再生水が、土を守るための追加の水や資材を必要とする。この逆説が面白い。
もちろん、米国のこの2コースで起きた倍率を日本の全ゴルフ場へ当てはめることはできない。水質も土も気候も違う。ただ、スプリンクラーが一晩動くたび、コースには水だけでなく肥料と塩類も少しずつ届く。フェアウェイの緑の下では、そんな収支が続いている。
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