9ホールを湿地に戻すため、土を27万㎥掘った。ゴルフ場の「逆開発」で何が起きた?
GOLF DNA編集部🇺🇸
3行まとめ
- 米カリフォルニアで、かつて湿地を埋めて造った9ホールのゴルフ場を掘り返した。
- 動かした土は約27万㎥。
- フェアウェイの跡地は洪水を受け止める湿地になった。
閉鎖したゴルフ場は、次に何になるのか。住宅地? 商業施設? カリフォルニア州の「オーシャン・メドウズ」では、答えが逆向きだった。9ホールを造る前の、湿地に近い姿へ戻したのである。
芝を刈るのをやめただけではない。掘り返した土は約27万㎥。フェアウェイを、再び水が入れる土地に造り直した。
湿地を埋めてゴルフ場に。半世紀後、逆向きに
米魚類野生生物局によると、オーシャン・メドウズ・ゴルフコースが造られたのは1965年。海辺の湿地を埋め、9ホールができた。2013年には旧コース約26ヘクタールを保全団体が取得し、カリフォルニア大学サンタバーバラ校へ寄贈した。
大学が選んだのは、新しい用途を上に載せることではなかった。地盤を掘り下げ、湿地へ水が届く地形を取り戻すことだった。2017年の工事では約35万立方ヤード、約27万㎥の土を掘削した。想像しづらい量だが、ゴルフ場の地形そのものを造り直した数字である。
フェアウェイの跡地が、洪水の逃げ場に
水の通り道が戻ると、土地は野鳥や植物の生息地になるだけでなく、洪水時に水を受け止める余白にもなる。大学は周辺の洪水位を約0.6メートル下げる効果があると説明する。ただし、実際の住宅被害が何件減ったかを示す数字ではない。
広い土地を低くして水の逃げ場をつくる。元は「水を排して遊ぶ」ための場所が、今度は「水を受け入れる」ための場所になった。ここがこの逆開発の肝だ。
別のゴルフ場で消えた植物も戻した
さらに面白い縁がある。大学によると、サンタバーバラ郡で1950年代半ば以降姿を消した植物が、かつて最後に確認された場所は別のゴルフ場だった。その植物を、研究者たちは今度は元ゴルフ場の湿地に再導入した。自然に勝手に戻ったのではない。人が運び、育て直したのだ。
大学は在来植物を100万株以上導入し、遊歩道も整備。2022年に全面的に一般公開した。2026年現在も歩道は開かれ、調査と管理が続く。「元に戻す」とは、人の手を引くことではなく、手間をかけ続けることでもある。
もちろん、どんな閉鎖コースでも同じことはできない。ここには元が湿地だったという条件と、公的な資金、大学の長期管理があった。それでも、ゴルフ場の未来は「次に何を建てるか」だけではない。時には、造ったものを逆向きにほどくという選択肢もある。
出典:fws.gov / ncos.ccber.ucsb.edu(2・3) / news.ucsb.edu
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