4コースの芝管理排出、燃料と電力で63% 電動化だけでは削減幅が決まらない理由
GOLF DNA編集部🇺🇸

3行まとめ
- 米国北部のゴルフ場を調べた研究で、全排出区分がそろった4コースでは芝管理の温室効果ガス排出の63%を燃料と電力が占めた。
- ただし、電動化すれば自動的に減るわけではない。
- 14コース調査と4コース完全データの違い、研究に含まれない範囲、2026年の電動機器と電力事情から削減の優先順位を読む。
米国北部のゴルフ場で、芝を維持するために何が温室効果ガスを出しているのか。2016〜2018年の管理データを追った研究では、全ての排出区分をそろえられた4コースで、燃料と電力だけで排出量の63%を占めた。
数字だけを見ると「まず機械を電動化すればいい」と考えたくなる。だが、この研究を2026年の状況までつなげると、答えはもう少し複雑だ。電気へ置き換えた後、その電気をどこで作っているかまで見なければ削減効果は決まらない。
14コースを調べても、全区分がそろったのは4コース
研究は米国北部の14ゴルフ場を対象に、2016〜2018年の3年間について芝管理に伴うエネルギー使用と温室効果ガス排出を推計した。
排出源は大きく、現地で使う燃料など、購入する電力、肥料・農薬・砂・機械の製造や輸送などに分けている。
ここで注意したいのは、14コースすべてから同じデータが取れたわけではないことだ。もともと83コースが資源効率調査へ回答したが、3年分の燃料データがそろったのは14コース。電力まで計算できたのは7コース、肥料や農薬などの上流排出を計算できたのも7コースで、全3区分がそろったのは4コースだった。
欠測の理由には、肥料・農薬記録を提供しなかったケースや、維持管理棟の電力がクラブハウスと別計量されていないケースがあった。
つまり、「63%」は14コース全体の固定値ではない。全区分を比較できた4コースの結果だ。
完全データ4コースでは年間4,277kg CO2e/ha
その4コースでは、芝管理に伴う平均排出量が1ヘクタール当たり年間4,277kg CO2e、平均エネルギー使用量も1ヘクタール当たり年間72GJだった。
8つの排出源分類を比べると、燃料使用と電力使用の合計が温室効果ガス排出の63%を占めた。電力の排出強度は139kg CO2e/GJで分類中最大、肥料は120kg CO2e/GJで2番目だった。
ここでの63%は「芝刈りが何%、散水が何%」という作業別の数字ではない。燃料と電力という排出源を合計した比率だ。この研究だけから、芝刈り、散水、充電など個別作業のどれが最大だったかまでは決められない。
それでも、管理側が最初に点検する場所として燃料と電力が大きかった、という意味はある。研究者も、維持管理機械の電動化と再生可能電力への切り替えを有力な削減策として挙げた。
「電動化=排出ゼロ」ではない
問題は、電動機械が使う電気の作られ方だ。
米国環境保護庁の現行公開データでは、2023年の米国平均の発電時排出率は約0.350kg CO2e/kWh。原著が比較に用いた米国平均0.5kg CO2e/kWhより低くなっている。
一方、地域別では差が大きい。2023年データでは、低い地域で242.776lb/MWh、高い地域では1,404.963lb/MWhまで開いている。
同じ燃料機械を同じ電動機械へ替えても、使う電力の排出係数が違えば結果は変わる。だから研究者が示した削減策も、単に「ガソリン機械を電気へ替える」で終わらず、低炭素な電力の調達まで組み合わせる考え方になる。
2026年でも、全面電動化できる状態ではない
機械側も移行途中だ。
米国ゴルフ場管理者協会の2026年時点の資料では、会員調査で47%のスーパーインテンデントが何らかの電動機器を使っている。主な用途はブロワーやユーティリティカートだった。
その一方で、エアレーター、目砂機、重作業用ユーティリティ車など、電動の代替機種がない、または選択肢が少ない分野も残るとされている。
2016〜2018年の研究結果から2026年へそのまま「63%を削れる」とは言えない。機械の構成も、電力の排出係数も変わっているからだ。
これは「ゴルフ場全体の排出量」ではない
もう一つ、数字の境界も重要になる。
研究対象は芝管理業務であり、クラブハウスの飲食や娯楽、来場者の移動は含まれていない。独立請負業者が使うエネルギーや、湿潤剤・土壌改良材など一部の上流排出も未算入だった。
さらに、同じコースで土壌がどれだけ炭素を蓄えたかを測り、排出と差し引いた研究でもない。したがって、4,277kg CO2e/ha/年を「ゴルフ場全体の純排出量」と読むことはできない。
この研究から残る実務的な読み方は、63%という数字を全国共通の答えにすることではない。
まず自分のコースで燃料と電力がどれだけ排出源になっているかを見る。機械を電動化できる部分とできない部分を分ける。そして電気へ替えるなら、その地域の電源構成まで確認する。
2016〜2018年の4コースが示したのは「電動化すれば解決する」という結論ではなく、削減の入口を燃料と電力から探し、その次に電気の中身を見るという順番だった。
出典:onlinelibrary.wiley.com / GCSAA / epa.gov
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