原油を止めようと、BPはゴルフボールを海底の装置へ送り込んだ
GOLF DNA編集部🇺🇸
3行まとめ
- 2010年の原油流出事故で、BPはゴルフボールを海底の装置に送り込み、流れを塞ごうとした。
- タイヤのゴム片とともに流路を狭め、重い掘削泥水で原油やガスを押し戻す作業を助ける狙いだった。
- 確認した公的資料では、投入した球数やブランドは分からない。
2010年5月、メキシコ湾の原油流出事故への対応で、BPはゴルフボールを海底の暴噴防止装置(BOP)へ送り込んだ。場所は海面から約1,500m(5,000フィート)下。コースで飛ばすための球が、今度は流れを塞ぐ材料になった。
この作業は、米国の現場指揮官による事故対応報告書に記録されている。海に浮いた油を拾うためではなく、海底のマコンド井から噴き続ける原油やガスを抑えるためだった。
ゴルフボールで詰まりをつくる
BPが5月26日に始めたのは「トップキル」。重い掘削泥水をBOPにつながる管から大量に送り込み、上がってくる原油やガスを地下へ押し戻す方法だ。
そこに組み合わせたのが「ジャンクショット」だった。ゴルフボールやタイヤのゴム片を装置の内部へ送り込み、流れの通り道を狭めようとする。狙いは油を吸わせることではなく、固形物で詰まりをつくることにあった。
事故を調べた米大統領委員会のスタッフ資料は、こうした材料をドリルパイプや閉じきっていない遮断部品などに引っ掛ける仕組みを説明している。原油やガスの流れを弱められれば、泥水を押し込む作業が成功しやすくなる、という考え方だ。
泥水もボールも、噴出を止められなかった
ただ、相手の勢いは想定より大きかった。同資料によると、トップキル開始時の政府公式推定は原油が1日5,000バレル。後の推定では、5月初旬の流出量は1日約6万バレルとされた。
政府の科学チームの複数メンバーは後に、実際の流量に泥水の投入が追いつかず、原油やガスに押し戻された可能性を重視した。ただし、BPは泥水が井戸の側面から地層へ逃げた可能性を挙げており、当時の分析は一致していない。「ボールの数が足りなかった」と決めつけられる話ではない。
トップキルは5月26〜28日の3日間、試みられた。成功せず、現場指揮官の報告書では29日に中止したと記されている。流出が止まったのは7月15日、別の密閉装置を取り付けて弁を閉じたときだった。
何球使ったのかは、記録から分からない
ゴルフ好きなら、どんな球を何個使ったのかも気になる。だが、今回確認した公的資料には球数やブランド、種類を特定できる記載は見当たらない。ゴルフボールだけが流れをどれほど弱めたかも分からない。
確認できるのは、いつもの小さな球がタイヤのゴム片とともに、海底の装置を詰まらせる材料として使われたことだ。飛距離を伸ばすのとは正反対に、ここでは流れを止める役を担っていた。
出典:repository.library.noaa.gov / govinfo.gov / response.restoration.noaa.gov
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