メジャーは5大会なのに「4種類」でグランドスラム インビー・パークの2015年達成が成立した理由
GOLF DNA編集部🌐

3行まとめ
- 2013年にエビアン選手権が加わりLPGAのメジャーは5大会になった。
- それでもインビー・パークは2015年、4種類目を制した時点でキャリア・グランドスラム達成者に。
- 歴代メジャーの入れ替わりと「スーパー・キャリア・グランドスラム」との違いから、その公式記録の仕組みを解く。
メジャーは5大会ある。それなのに、4種類を勝った時点で「キャリア・グランドスラム」達成――。
インビー・パークが2015年の全英女子オープンを制した時、LPGAはそう認定した。
数字だけを見ると、少し不思議だ。2013年にはエビアン選手権が5番目のメジャーへ加わっている。ならばグランドスラムには5種類すべての優勝が必要ではないのか。
答えは、LPGAのメジャーが歴史の中で入れ替わってきたことと、公式記録上、異なる4種類のメジャー制覇による「キャリア・グランドスラム」と、異なる5種類を制した「スーパー・グランドスラム」が分けて扱われていることにある。
2013年、LPGAのメジャーは5大会になった
LPGAは2013年、エビアン選手権を「5番目のメジャー」として加えた。
ここから現在につながる「年間5メジャー」の時代が始まる。
ところが、女子ゴルフのメジャーは昔から同じ大会で固定されていたわけではない。LPGAの公式史には、タイトルホルダーズ、女子ウェスタンオープン、デュモーリエ・クラシックといった、かつてメジャーだった大会が並ぶ。
その一方で、現在につながる大会も後から加わっている。現在のシェブロン選手権につながる大会は1983年からメジャーとなり、全英女子オープンは2001年から、エビアン選手権は2013年からメジャーになった。
つまり、「キャリアで何を勝てばグランドスラムなのか」を考える時、現在の5大会だけを過去の全選手へそのまま当てはめることはできない。
パークは2015年、4種類目のメジャーをそろえた
パークが2015年までに制した異なるメジャーは4種類だった。
2008年の全米女子オープン、2013年のクラフト・ナビスコ選手権、2013年のLPGA選手権、そして2015年の全英女子オープンだ。
2015年8月2日、全英女子オープンを勝ったことで4種類目がそろった。LPGAはその直後の公式記事で、パークをキャリア・グランドスラム達成者として扱っている。
重要なのは、この時点ですでにエビアン選手権がメジャーだったことだ。
「昔は4大会だったから4勝でよかった」という話ではない。5メジャー時代に入った後の2015年に、LPGA自身がパークの4種類制覇をキャリア・グランドスラムとして公式認定している。
2012年のエビアン優勝は、5種類目には数えられない
さらにややこしく見えるのが、パークはエビアンでもすでに勝っていたことだ。
優勝したのは2012年。しかしエビアン選手権がメジャーへ昇格したのは2013年だった。
LPGAの2015年公式記事でも、2012年のエビアン優勝を後からメジャー勝利として付け替えてはいない。
大会そのものには勝っていても、その年はまだメジャーではなかった。したがってパークの「5種類目のメジャー制覇」にはならない。
これは、メジャーの価値が後から過去へさかのぼって付与されるわけではないことを示している。
異なる5種類を勝つ記録には、別の名前がある
では、異なる5種類のLPGAメジャーを勝った場合はどうなるのか。
LPGAの現行記録では、これを「Super Grand Slam(スーパー・グランドスラム)」として別掲している。
2015年の公式記事では、カリー・ウェブが5種類の異なるメジャーを制した選手として別格に扱われた。2025年のLPGA公式記事でも、キャリア・グランドスラム達成者と「Super Career Grand Slammer」は分けて紹介されている。
つまり公式記録の整理は、単純な「年間メジャー数=必要な優勝種類数」ではない。
4種類をそろえたパークはキャリア・グランドスラム。異なる5種類をそろえる記録は、その上に別名称で置かれている。
2026年の公式記録でも、2015年達成のまま残っている
この扱いは2015年だけの一時的な表現でもない。
2026年9月23日に確認したLPGAの現行グランドスラム記録でも、インビー・パークは達成者として掲載され、達成日は2015年8月2日のままになっている。カリー・ウェブのスーパー・グランドスラムも別に記録されている。
2013年にエビアンが5番目のメジャーへ加わった際、「従来のキャリア・グランドスラム定義をこの文言で維持する」と明文化した資料までは今回確認できていない。
それでも、実際の公式運用は明確だ。LPGAは5メジャー時代の2015年にパークを4種類制覇でキャリア・グランドスラム達成者と認定し、その記録を2026年現在も維持している。そして異なる5種類の制覇には別の「スーパー」という区分を設けている。
「5大会あるのに4種類でグランドスラム」という違和感は、計算が合わないのではない。
LPGAのメジャーが時代とともに入れ替わってきた歴史を、記録の定義が引き継いでいるから起きる。
インビー・パークの2015年達成は、選手の偉業であると同時に、女子ゴルフのメジャーが固定された5大会ではなく、長い時間の中で形を変えてきたことを映す記録でもある。
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