球が芝に包まれた。15秒かけて「芝だけ」をどけた理由
GOLF DNA編集部🇦🇪
3行まとめ
- 2021年アブダビで、ホルヘ・カンピージョの球を切り芝が包み込んだ。
- 無罰で球を拾えるわけではなく、動かせるのは芝だけ。
- 約15秒かけて芝を外し、球は動かさずパー。
フェアウェイにあるはずの球が見えない。
2021年1月22日、Abu Dhabi HSBC Championship第2ラウンド。ホルヘ・カンピージョのティーショットは、前を回った選手が残した切り芝の塊に当たり、その芝が球を包むようにして止まった。
見た目だけなら「こんなの救済でしょ」と言いたくなる。
ところが裁定は逆だった。球はそのまま。動かしていいのは、球ではなく芝の方だった。
見えているのに、そのままでは打てない
現場のスコアラーは、球が芝の塊へ入っていく様子を見ていた。
呼ばれた大会ディレクターのMiguel Vidaorは、最初は誰かが芝を球の上へ置いたのではないかと思うほど不自然な状態だったと振り返っている。
しかし、人為的に置かれた証拠はない。球が勢いよく切り芝へ当たり、芝がめくれながら球を覆った。
しかも場所はフェアウェイ。芝の塊がクラブと球の間に入り、そのまま打つにはかなり厳しいライだった。
「救済」ではなく「除去できる」
ここで使われたのがRule 15.1、ルースインペディメントの規則だ。
2021年当時のゴルフ規則では、地面から離れた芝などの自然物は、条件を満たせばルースインペディメントとして扱われる。大会側も今回の切り芝をそう裁定した。
ポイントは、ルースインペディメントだからといって「球を拾って楽な場所へ置ける」わけではないことだ。
できるのは、邪魔な自然物を取り除くこと。
そして一般区域で、その作業によって自分の球を動かしてしまったら、球は元の位置へ戻して1罰打となる。
つまりカンピージョには、かなり嫌な二択が残った。
芝ごと打つか。
それとも芝だけを外し、球が動かないことに賭けるか。
15秒、ミリ単位で芝だけを動かした
カンピージョは後者を選んだ。
芝の塊を両端から持ち、少しずつ、少しずつ持ち上げる。
Vidaorの説明では、その作業は約15秒。ほとんどミリ単位で芝を動かしながら、球が動いていないことを確認した。
そして最後まで球はその場に残った。
罰はなし。
カンピージョはそのホールをパーで終え、第2ラウンドは1オーバーの73だった。
たった15秒の作業だが、やっていることは「芝をどける」ではない。
1罰打を発生させずに、球の周囲の自然物だけを動かす作業だった。
2026年でも答えは変わらない
R&Aの現行Rule 15.1でも、基本は同じだ。
ルースインペディメントは原則として無罰で取り除ける。
ただし一般区域で、その除去が原因で球を動かせば、球をリプレースして1罰打となる。
現行の定義でも、地面から離れた自然物は対象になり得る一方、地面に付着・生育しているもの、固く埋め込まれたもの、球に付着しているものは別扱いになる。
だから今回の面白さは「変なライでも救済がなかった」ことだけではない。
ゴルフ規則は、邪魔なものを消してくれる仕組みではなく、「何なら動かしていいか」と「その結果、球を動かした責任を誰が負うか」を細かく分けている。
カンピージョの球を包んだ芝の塊は、その境界が目に見える形で現れた珍しい例だった。
出典:DP World Tour / The R&A
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3行まとめ
- 2018年、欧州ツアーは全組に審判を付け、可能な限り全ショットを計測した。
- 制限は主に40秒、最初に打つアプローチなどは50秒。
- 4日間で罰を受けたのは4人。