グリーンを転がしたら、病害指標が75%低下!? ローラーの仕事は「速さ」だけじゃなかった
GOLF DNA編集部🇺🇸
3行まとめ
- グリーンをローラーで転がすと、芝を傷めそうに見える。
- 米国の試験では、転がした区画で芝の病害指標が対照区より47%、75%低い年があった。
- 別の試験では特定の殺菌剤散布後10分以内に転がしても薬効低下は確認されず。
グリーンのローラーを見て、『今日は速そう』と思うゴルファーは多いだろう。芝を押しつぶして、病気が増えないのか。ところが米国の研究では、転がした区画の方が芝の病害が少なかった。ある試験では、病害の進み方を表す指標が対照区より75%も低い年があった。
朝だけでなく、午後に転がしても病気が減った
最初の舞台はクリーピングベントグラスのグリーン。ミシガン州立大学の研究チームは2008〜2010年の3年間、軽量ローラーを週5日かけた区画と、かけない区画を比べた。朝1回、午後1回、朝2回という転がし方も分けている。
芝に小さな斑点が出る病気、ドルスポットは、朝2回の区画で3年間ともローラーなしより少なかった。朝または午後に1回の区画も、2009年と2010年には病害が有意に少ない。朝2回の区画は芝の品質評価も3年間を通じて最も高かった。
『朝露を落としたから』だけでは説明がつかない。露がなくなった午後に転がしても、朝と似た傾向が出たからだ。2010年には転がした区画で芝の根元の水分量が高い傾向も見られた。研究者は物理的・生物学的な変化の可能性を挙げるが、何が決め手かまでは特定していない。
別の病気では、2年で47%と75%低い
オレゴン州立大学などの別の試験は、スズメノカタビラ主体のグリーンで、Microdochium patchという病気を調べた。週5日転がした区画は、転がさない区画より、病害の進み方を期間全体で評価する指標が2年間でそれぞれ47%、75%低かった。
ここで大事なのは『病気が75%治った』という話ではないこと。比較したのは試験区画の病害指標であり、ローリングだけで病気を完全に防げたわけでもない。病害が強い時期には芝の品質が許容水準に届かず、研究者も追加の検証が必要だとしている。
殺菌剤をまいた直後、転がしたら薬が落ちる?
2026年発表の研究は、管理現場の別の疑問に踏み込んだ。殺菌剤をまいてから10分以内にローラーをかけると、薬の効き目が落ちるのか。ミネソタ州とオハイオ州で、クリーピングベントグラスに特定の殺菌剤Secure Actionを散布し、転がした区画と転がさない区画を比較した。
結果は、この試験条件ではローリングによる防除効果の低下を確認できなかった。ただし研究者は、病気の発生が少ない時期があったことや、ほかの場所・年では結果が違う可能性も明記している。薬剤ごとの再入場制限や安全上の条件を確認せず、散布直後に作業してよいという意味ではない。
ゴルファーには『速さを出す作業』に見えるローリングも、管理者にとっては芝の病気、作業時間、薬剤の使い方まで関わる。研究が教えるのは『転がせば何でも解決』ではなく、グリーンを健康に保つ方法には意外な選択肢があるということ。次にローラーを見かけたら、ボールの転がり以外にも仕事をしているかもしれない、と少し見方が変わる。
出典:acsess.onlinelibrary.wiley.com(2・3)
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