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ニクラス対タイガーは 1打差 全英中止の 年、 過去映像で 作った 夢の 最終組
ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズが、全盛期の姿で同じ最終組を回る。残り3ホールでニクラスは1打を追い、16番のバーディーで並ぶ。17番でタイガーがボギーをたたくと、ニクラスは最後の2ホールをパーで締め、通算16アンダー、1打差の勝利を収めた。
ただし、実際に行われた試合ではない。2020年、R&Aが制作した映像企画「The Open For The Ages」の結末だ。新型コロナの影響で全英オープンが中止になった年、過去50年の大会映像をつなぎ、セントアンドリュースを舞台に時代を超えた対戦を作った。
優勝者を決めてから、試合を作る
この企画の順番が面白い。普通はプレーの結果として勝者が決まるが、制作陣は映像を組み始める前に、優勝者を決める必要があった。
R&Aの公式説明によると、NTTデータと開発したモデルに選手のキャリア成績や全英の実績などを入れ、セントアンドリュースでの成績に重みを付けた。さらに1万件を超えるファン投票を組み合わせ、ニクラスを勝者とした。その結末へ向けて、過去の本物のショットから架空の競り合いを組み立てたのである。
これは実戦によって「史上最強」を証明した大会ではない。実績とファンの支持を土台にした、ゴルフの夢の配役だ。
お宝映像かと思ったら
一方、素材集めは地道だった。GOLF.comが制作担当者に聞いた記事には、1978年のニクラスの映像を探し回った話がある。本人のマネジャーからVHSテープの写真が届き、翌日にはテープが到着した。
足りなかった場面が見つかるかもしれない。ところが、入っていたのはR&Aがすでに持っているのと同じ映像だったという。世界の名選手を集めた壮大な企画にも、古いビデオを開けて落胆する、なんとも身近な瞬間があった。
古い名場面を、同じ日の中継に
R&Aによれば、1970年以降のセントアンドリュースの大会から300点を超える映像素材にデジタル処理を施した。元の映像の同伴選手やキャディーを消すなど、時代の違う場面を一つの番組として見せる修正も重ねた。IMGの制作チームが費やした編集時間は1000時間を超える。
新しいグラフィックと実況も加え、2020年7月19日には約3時間の最終ラウンド番組を放送した。単なる名場面集ではなく、順位の動きを追い、最後の数ホールを見守る形にしたのだ。
ショットそのものは本物でも、その日の組み合わせと勝負は作りもの。その仕組みを知って見ると、ニクラスのバーディーには名手の技だけでなく、別々の時代を一つの最終日にした編集者の仕事も見えてくる。
3行まとめ
- 全英オープンを中止した2020年、R&Aは過去映像でニクラスとタイガーらが競う架空の大会を作った。
- 勝者はファン投票とデータで先に決定。
- そこから最終日の攻防を組み立てた。
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