ゴルフ業界分析

公表資料調査 · 2026年10月28日公開

ゴルフウェアの市場と主要ブランドの業績|調査レポート

市場の見込と予測、ブランドと会社の複数年の売上・利益・在庫を、定義と出典まで詳しく読む。

GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月24日

GOLF APPAREL · BRAND SALES

市場の勢いが落ち着く一方、
伸びるブランドもある

51.36 億円

New Balance Golf · TSI公表ブランド売上
2026年2月期 / 2023年2月期比 +16.5%

2023年2月期44.09 億円
2024年2月期47.14 億円
2025年2月期49.89 億円
2026年2月期51.36 億円

棒は0を基準に、上限を60億円として表示。

TSI決算説明資料から作図。ブランド売上であり、市場全体や米国New Balance全社の売上ではない。

調査基準日:2026年10月24日。日本のゴルフウェアを主題に、公開資料で規模と推移を確認できるTSIホールディングス、キューブ、デサントを中心に調べた。ワールドはアダバットの現行運営とTSIとの統合予定を補足する。市場の全社網羅ランキングではない。

金額は日本円。元資料の百万円・千円を保存し、本文では主に億円へ換算した。国内企業の円建て開示を採用したため、為替による概算はない。通期と中間期、会社全体とブランド、衣服と関連商品、実績と予測を区別する。

1. 調査で分かったことと、まだ分からないこと

国内市場の大きさはメーカー出荷額で約1,100億円が目安となる。ただし無料で確認できたゴルフウェア限定の金額は、専門紙が紹介する調査当時の見込・予測である。2026年の確定市場総額や、すべてのブランドの国内売上は確認できていない。そこを会社の世界売上で埋めて市場シェアを作ることはしない。

公開企業から確認できた大きな動きは、パーリーゲイツの減収と粗利率改善、ニューバランス ゴルフの継続増収、キューブの利益縮小と国内店舗・韓国卸の逆方向の動き、デサントの2024年3月期ゴルフ分類の減収である。

これらが示すのは「ブームの後の調整」と「企業・ブランド・販路の違い」が同時に進んでいることだ。ブランドの魅力度や顧客年齢を直接測った調査ではないため、売上増減だけで人気の原因を断定しない。以下では、会社説明として確認できた要因と、数字からの編集部の読み取りを分ける。

2. 市場の範囲と数字の読み方

表は横にスクロールできます

区分何を測るか今回の使い方
国内ゴルフウェア市場日本国内のメーカー出荷金額市場の大きさ・見通しの目安
スポーツアパレル市場ゴルフを含む12カテゴリー周辺市場。ゴルフの市場額に置換しない
ブランド売上開示企業がそのブランドとして計上した金額同一集計内の年次変化
企業売上他ブランド・海外・関連商品を含む場合がある会社の規模と収益性
流通規模小売価格換算やライセンス先などを含む独自指標企業の売上高と別扱い
直販・D2C自社店舗と自社等のネット販売を含むECだけの売上とは区別

メーカーが小売店へ卸した金額と、消費者が店で払った金額は一致しない。直営販売・卸売・ライセンスでは、同じブランドの商品でも会社に計上される売上の形が異なる。また、売上金額の増加は販売点数の増加とは限らず、値上げや高価格品の比率上昇でも起こる。今回の資料だけで全市場の点数・客数の系列は作れない。

3. 国内市場の複数年の見込と予測

表は横にスクロールできます

対象年ゴルフウェア市場当時の状態調査の版・紹介元
2023年1,145億円見込・前年比+2.2%2024年版を一季出版が紹介
2024年1,150億円当初予測・前年比+0.4%同上
2024年1,098億円翌版の見込・前年比−2.0%2025年版を一季出版が紹介
2025年1,100億円当初予測・前年比+0.2%同上
2026年無料公表本文に金額なし成長を見込む11カテゴリーに含まれず、増減率は無料本文に記載なしスポーツアパレル調査のプレスリリース

出典:一季出版 ゴルフウエア市場の記事(2024年7月3日)、一季出版 ゴルフウエア市場の記事(2025年5月1日)、矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2026年1月29日公表)。有料の市場調査本文は未取得。金額がある行は二次資料による紹介で、無料の一次プレスリリースは方向と定義の確認に使用した。

この表は確定実績だけをつないだ時系列ではなく、各調査時点の見方を残した表である。2024年は当初の微増予測が、翌版では減少見込みへ変わっている。2023年1,145億円から2024年1,098億円への単純な差を「前年比」と呼ぶと、調査時点の違いを混ぜてしまう。本文は各記事が明記する前年比を採用し、元年次の再推計を逆算しない。2025年1,100億円も今から見た確定実績には変更しない。

市場の水準感は約1,100億円、方向感は2023年の小幅拡大から2024年の調整、その後も慎重な見通し、と読むのが妥当である。2026年の無料本文はゴルフウェアの具体的な増減率を示していないので、そこからマイナス幅まで断定しない。実績の揃った長期系列がない分、後半では会社・ブランドの実績を複数年並べて補う。

4. 周辺市場と気候の影響

矢野経済研究所のスポーツアパレル調査は、ゴルフ以外にアウトドア、トレーニング、サッカーなどを含む。2025年6,442.3億円という見込は、この12カテゴリーの合計であり、ゴルフウェアの市場規模ではない。アウトドアが伸びることで全体が増えても、ゴルフだけが同じ方向に動くとは限らない。矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2026年1月29日公表)

同研究所の2025年公表資料では、残暑で秋冬物の動きが鈍り、ゴルフウェアを含む一部カテゴリーが減少見込みとされている。2024年公表資料でも、秋以降の高温が季節商品の売れ行きに与える影響が指摘されていた。矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2025年1月23日公表)、矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2024年2月15日公表)

ここから先は事業構造上の読み取りになる。季節の短縮は、厚手の商品を定価で売る時間を減らす。発注時点の想定より需要が弱ければ、在庫を残すか値下げするかを選ぶ必要が生じる。いずれも資金や利益に影響する。ただし、今回の資料から、全国で暑さが何円の売上減を生んだかまで分離することはできない。猛暑、ゴルフ参加、価格、商品の良し悪しを単一要因として扱わない。

5. 会社・ブランドの対応関係

表は横にスクロールできます

開示主体・グループ主な対象ブランド今回確認できる数値と限界
TSIグループPEARLY GATES、MASTER BUNNY EDITION、Jack Bunny!!、New Balance Golf、PINGなどPGとNew Balance Golfはブランド売上。全ブランドの個別損益が揃うわけではない
キューブMARK&LONA、HORN GARMENT会社全体の売上・損益と販路。MARK&LONA単独売上ではない
デサントグループDESCENTEのゴルフ、Munsingwear、le coq sportifのゴルフ、LANVIN SPORTなど上場時のゴルフウェア・関連商品分類。複数ブランド・国内外・関連商品を含む
ワールドグループadabat、ADABAT STREAM現行展開会社と商品展開の確認。ブランド別年次損益は今回未確認

出典:TSI ブランド一覧、キューブ ブランド紹介、デサント 2024年3月期 決算短信(PDF5頁ほか)、ワールド ADABAT STREAM事業リリース(2026年3月5日)。この表の「展開」は日本の運営・販売上の対応を表す。世界の商標権の完全保有を一律に意味しない。New Balance Golfを米国New Balance全社の売上とみなしたり、PINGのウェア事業を米国のクラブ製造事業と合算したりしない。

アダバットについては、2026年10月1日のワールド公式発表が、展開会社を株式会社エクスプローラーズトーキョーと明記している。過去の会社名だけで現在の運営主体を固定しない。公式ページの読取要約は保存したが、直接取得は403となったため、そのページの原HTMLを取得済みとはしていない。ワールド adabat事業リリース(2026年10月1日)

6. TSI:ブランド売上の4年推移

表は横にスクロールできます

2月期PG・旧集計PG・MBEを除く再集計New Balance Golf
2023年170.86億円—44.09億円
2024年161.11億円—47.14億円
2025年149.65億円115.77億円49.89億円
2026年同条件の数値を採用せず94.54億円51.36億円

PGはパーリーゲイツ、MBEはマスターバニーエディション。出典:2023年資料 PDF41頁、2024年資料 PDF22頁、2025年資料 PDF38頁、2026年資料 PDF39頁。ページはPDF先頭を1頁とした位置で、スライド印刷番号と1頁ずれる場合がある。

同じ旧集計のPGは2023年から2025年に12.4%減少した。2026年資料は、比較対象の2025年分も含めてMBEの売上・粗利を除いており、2025年115.77億円から2026年94.54億円への18.3%減を採用する。旧集計149.65億円から新集計94.54億円へ直接比較する計算は行わない。

2022年分はPG150.69億円、New Balance Golf36.32億円という開示もあるが、当該2023年資料の注記は、2022年に旧収益認識、2023年に新収益認識を適用したとしている。今回の比較表は2023年からとし、その境界をまたいだ伸び率を使わなかった。

New Balance Golfは2023年から2026年に16.5%増えた。TSI内に増収ブランドと減収ブランドが同時にある以上、全社のゴルフウェアが一律に縮んだと結論づけることはできない。また、PGとNew Balance Golfの差だけで、すべての価格帯や顧客層の購買移動を証明したことにもならない。

7. TSI:在庫処分と粗利率

表は横にスクロールできます

ブランド・集計2023年2月期2024年2月期2025年2月期2026年2月期
PG・旧集計の粗利率60.8%54.5%50.2%—
PG・MBEを除く再集計の粗利率——49.3%53.4%
New Balance Golfの粗利率51.3%49.0%46.7%48.3%

出典は前章のブランド表と同じ。PGの2024年と2025年には、旧集計内で粗利率の低下が続いた。TSIの2024年2月期説明資料は、ブーム一巡による踊り場と、在庫適正化に向けたセールを記載している。これは会社による説明で、消費者のブランド評価調査の結果ではない。TSI PDF11頁の概況

2026年は再集計の比較で粗利率が4.1ポイント改善した。ただし売上が18.3%減っているため、粗利率改善だけで売上総利益の増加とは言えない。参考に公表売上と丸め済み粗利率を掛けると、2025年は約57.07億円、2026年は約50.48億円となる。これは編集部の概算で、会社が別途開示した厳密なブランド粗利額ではない。率が改善しても、金額が減り得ることを示している。

さらに、その粗利から販売員、人件費、家賃、販促、本部費用などを差し引くのが営業利益である。ブランド別営業利益の継続開示が揃わないため、PGの営業黒字・赤字や損益分岐点は判断しない。粗利率を営業利益率として紹介することも避ける。

8. TSI:全社の規模は約1,671億円だが、ゴルフ市場の数字ではない

表は横にスクロールできます

2月期・連結売上高売上総利益営業利益親会社株主帰属純利益
2024年1,553.83億円847.29億円17.60億円48.49億円
2025年1,566.06億円839.95億円16.36億円152.30億円
2026年1,670.85億円914.58億円43.25億円37.93億円

出典:TSI 2025年2月期 決算短信、TSI 2026年2月期 決算短信。本表はファッションブランドなどを含むグループ全体である。2026年2月期売上のうち、PG再集計売上は5.7%、New Balance Golfは3.1%と開示されているが、この2つの合計をTSIの全ゴルフ事業と定義することはできない。MBE、Jack Bunny!!、PINGなどの取り扱いが残るためだ。

2025年2月期の純利益152.30億円は本業の営業利益16.36億円より大きい。決算短信に固定資産売却益239.13億円が計上されており、最終利益だけで衣服の販売が好調だったと解釈できない。2026年には営業利益が増える一方、最終利益は減っている。純利益の増減をゴルフブランドの営業成績に置き換えない。

2026年2月期の連結には2025年9月以降のデイトナ・インターナショナルが加わっている。買収で対象企業が増えることによる売上増と、既存事業の成長は別であり、全社6.7%増をそのままゴルフウェア需要の伸びと呼べない。

9. TSI:最新中間期のブランドの動き

表は横にスクロールできます

ブランド2025年3〜8月2026年3〜8月売上前年比粗利率の変化
PG・MBEを除く47.41億円46.53億円−1.8%52.3%→56.5%
New Balance Golf25.30億円27.32億円+8.0%49.2%→48.0%

出典:TSI・2027年2月期上期 PDF25頁。決算期の名称は2027年2月期だが、実際の対象は2026年3〜8月である。前年も同じ半年と比較する。PGの減収率は直前通期の18.3%から小さくなっているが、期間と季節が異なるので、完全回復や底打ちを断定しない。

New Balance Golfは売上が8.0%増えた一方、粗利率は1.2ポイント低下した。売上だけなら同ブランドは好調といえるものの、値引き・原価・商品構成などの内訳をこの数値だけで特定することはできない。増収と率の低下をセットで観察する必要がある。

上期全社売上は889.05億円、前年同期661.67億円から34.4%増。これにはデイトナ・インターナショナルとウォーターフロントの連結追加が含まれる。ブランド表の小幅減・8.0%増とは大きく異なり、全社の増収を業界全体の増収として紹介すると誤解を生む。

10. キューブ:4年間の売上と損益

表は横にスクロールできます

12月期・会社全体売上高売上総利益販売費・一般管理費営業利益当期純利益
2022年55.60億円29.39億円20.31億円9.08億円6.10億円
2023年48.58億円27.56億円24.67億円2.89億円1.91億円
2024年48.64億円28.07億円26.41億円1.66億円1.09億円
2025年48.64億円29.41億円28.82億円0.59億円0.35億円

出典:キューブ 2023年12月期 決算短信、キューブ 2024年12月期 決算短信、キューブ 2025年12月期 決算短信(PDF4・5・9頁)。いずれも非連結の会社全体で、国内外、複数ブランド、衣服以外の関連商品を含む。2025年の営業利益の原数値は59,324千円、すなわち5,932万4,000円。金額単位の取り違えを防ぐため、小さい利益は万円でも示す。

2022年から2025年の売上減は約12.5%だが、営業利益は約93.5%減った。2023〜2025年の売上に限ればほぼ横ばいであり、利益悪化は単純な売上縮小だけでは説明できない。

表は横にスクロールできます

指標2022年2023年2024年2025年
粗利率・編集部計算52.9%56.7%57.7%60.5%
営業利益率・編集部計算16.3%6.0%3.4%1.2%

粗利率は上がっているのに、営業利益率は下がっている。2025年は粗利が前年比約1.34億円増えた一方、販管費が約2.41億円増え、営業利益は約1.07億円減った。原表には千円未満切捨てがあり、表示済みの粗利から販管費を引くと1千円ずれる箇所があるため、営業利益は会社の公表値を採用する。

11. キューブ:費用増の中身と在庫

2025年の決算短信は、原価目標の設定などで売上原価率を下げた一方、成長に向けた採用の強化、業務委託費や給料手当、新規出店に伴う家賃や減価償却費などが増加したと説明する。キューブ PDF4・5頁

店、人材、ブランド認知への投資は将来の売上につながる可能性がある。ただし、投資したこと自体は成果の証明ではない。現時点の損益では、増えた粗利より費用増が大きかったという結果を確認する。単なる経営失敗、あるいは必ず回収できる先行投資、とどちらにも決めつけない。

表は横にスクロールできます

商品在庫の指標2024年末2025年末
商品期末棚卸高4.05億円4.54億円
原数値・千円404,526453,608

商品在庫は約12.1%増えた。売上横ばいの中で在庫が増えることは、次期の消化や資金回収を確認する理由になる。ただし期末残高だけでは、春夏商品の準備なのか、不振商品の滞留なのかを分離できない。滞留期間別の在庫やブランド別評価損を推定してはいない。原価で計上する商品在庫を、そのまま将来の小売売上金額と呼ばない。

12. キューブ:国内店舗、EC、韓国卸は違う動き

表は横にスクロールできます

販路・億円2024年2025年読み取れる変化
国内リテール17.6320.86+18.3%
国内EC9.168.20−10.5%
海外EC1.331.03減少
韓国卸14.7613.23−10.3%
中国卸0.001.00新たな売上計上
その他海外卸2.161.47減少
国内卸3.182.65減少
その他0.410.18減少

出典:キューブ PDF4頁。億円表示の丸めにより合計は全社売上と一致しない場合がある。「海外卸」は会社資料では韓国・中国の別掲分を除く区分で、本表では「その他海外卸」と呼んだ。国内リテールの18.3%増は新店を含む区分売上で、既存店だけの伸びと同義ではない。

2025年の国内店舗の増収額は約3.23億円。国内ECの減収は約0.96億円、韓国卸は約1.53億円だった。中国卸の追加があっても、他販路の減少もあり全社はほぼ横ばいにとどまった。国内店頭を見ているだけでは、会社全体の動向を読み違える例となる。

韓国向け卸売の減少は、日本の消費者による購入減を直接示す指標ではない。韓国市場の受注・発注調整や取引先在庫などの影響を含み得る。会社の一販路の落ち込みを、韓国ゴルフウェア市場全体の減少率に置き換えることもできない。

13. 直販の比率が上がっても、ネットは伸びていない

表は横にスクロールできます

会社公表の比率2024年2025年
D2C比率57.8%61.9%
EC化率21.6%19.0%
海外売上高比率37.5%34.4%

出典:キューブ PDF5頁。同社のD2Cは国内リテール+国内EC+海外EC。EC化率は国内EC+海外ECを全社売上で割ったもの。海外売上高は海外EC、韓国卸、中国卸、その他海外卸の合計である。定義を固定して読むと、D2C比率の上昇は店舗売上の伸びによるところが大きく、EC比率の上昇ではないと分かる。

また、比率が上がったから、その区分の販売が必ず好調とも限らない。分母の卸売が減るだけでも直販比率は高くなる。今回の国内リテールは金額自体も増えているが、ネット販売は金額も比率も低下している。比率の評価は必ず金額と組み合わせる。

直営店は小売段階の売上を取り込める一方、家賃や人件費を会社が負担する。卸売から直販へ比率が移ると粗利率が良く見えることがあっても、販売にかかる費用まで差し引いた利益が改善するとは限らない。キューブの2025年はこの点を考える材料になるが、販路ごとの営業利益率は開示されていないため、国内店が赤字などの断定はしない。

14. キューブ:2026年1〜6月の減収と営業赤字

表は横にスクロールできます

会社全体2025年1〜6月2026年1〜6月
売上高23.61億円22.24億円
売上総利益14.21億円13.91億円
販管費13.84億円15.27億円
営業損益+0.37億円−1.36億円
最終損益+0.18億円−1.02億円

出典:キューブ中間決算 PDF9頁。売上は前年同期比5.8%減で、粗利の減少と販管費の増加が重なった。会社は販売促進など成長に向けた費用を投じているが、中間期の数字では前年の営業黒字から赤字へ転じている。通期と半年を並べて前年比にせず、通期赤字の確定とも扱わない。

表は横にスクロールできます

主要販路・億円2025年1〜6月2026年1〜6月前年比
国内リテール9.5211.10+16.6%
国内EC4.273.80−11.0%
韓国卸6.404.20−34.4%

同資料PDF4頁。国内店舗は増収を維持したが、韓国卸の減少額約2.20億円は、国内店舗の増収額約1.58億円を上回った。他販路も含めて見る必要がある。D2C比率は68.8%へ上がる一方、EC化率は18.9%に低下しており、前章と同じ注意点が続く。

15. デサント:ゴルフ分類は回復後に減収

表は横にスクロールできます

3月期ゴルフウェア・関連商品の連結売上会社説明・状況
2022年343.83億円コロナ禍のゴルフ人気が継続、日本・韓国・中国で増収
2023年355.23億円前期から小幅増
2024年315.56億円前年比−11.2%、日本・韓国でブームの反動

出典:デサント 2022年3月期 決算短信、デサント 2023年3月期 決算短信、デサント 2024年3月期 決算短信(PDF5頁ほか)。原資料で2022年は34,383百万円、2023年は35,523百万円、2024年は31,556百万円。2024年は、銀座の直営旗艦店やゴルフシューズに好調な動きがあった一方、全体として減収になったと説明されている。2023年資料には純粋持株会社への移行に伴う調整区分の変更もあるため、2022年からの表は各年公表額の水準として示し、2022→2023年の伸び率は再計算していない。

この分類には複数ブランド、国内外、シューズなどの関連商品が入る。DESCENTE GOLFという1ブランドの売上でも、日本の服だけの市場額でもない。国内ゴルフウェア市場約1,100億円で割って国内シェアを算出してはいけない。海外の持分法適用会社の売上も、連結売上に無条件に足すことはできない。

比較可能な上場時の会社全体では、2023年3月期の売上1,206.14億円・営業利益77.93億円に対して、2024年は売上1,269.89億円・営業利益87.40億円。会社全体が増収増益でもゴルフ分類は減収であり、会社全体とゴルフを分ける必要性がここでも確認できる。

16. 非上場後も決算はあるが、連結と個別をつながない

デサントは2025年1月24日に上場を廃止した。公式の電子公告にはその後の決算もあるが、今回確認した2025年・2026年3月期の公告はデサント本体の個別財務である。上場時の連結・ゴルフ分類と同じ系列ではない。デサント 当社株式の上場廃止のお知らせ(2025年1月23日)、デサント 2025年3月期 決算公告(個別)、デサント 2026年3月期 決算公告(個別)

表は横にスクロールできます

個別公告売上高営業利益当期純利益
2025年3月期81.44億円3.56億円18.22億円
2026年3月期157.41億円81.22億円56.97億円

この金額を連結売上1,269.89億円の後ろへ並べて「激減・急回復」と説明すると誤る。個別の損益には本体に計上する取引、受取配当金、投資や関係会社にかかる損益等が影響する。2026年公告には、営業外費用の移転価格税制に基づく価格調整額、特別利益の投資有価証券売却益、関係会社株式評価損などもある。ゴルフウェア販売の利益として読むことはできない。

「非上場だから会社の情報が一切ない」とするのも、「公告があるから以前と同じゴルフ分類が追える」とするのも適切ではない。今回の結論は、上場時の分類で2024年までの調整は確認できるが、同条件で2026年現在のゴルフ売上を更新するには不足している、となる。

17. TSIとワールド:経営統合は発表済み、実施は予定

2026年10月14日、両社は共同株式移転により共同持株会社「株式会社インフィニティ・ユナイテッド」を設立する経営統合を発表した。予定日は2027年3月1日で、株主総会と関係当局の承認等が前提となる。調査基準日の2026年10月24日には、完了した統合として扱わない。経営統合のお知らせ PDF1頁ほか

ゴルフ分野では、TSIの複数のウェアブランドと、ワールド側のアダバットなどを持つ企業集団の枠組みが変わる予定、と捉えられる。ただし、今回の発表から、個別ゴルフブランドの統合・終了や商品政策の変更が決まったとは言えない。ブランドの商標・契約・運営会社は、それぞれ確認する必要がある。

統合発表は、会社規模や物流・デジタル基盤の共用などを検討する材料になるが、すでに生じた利益効果ではない。過去のTSIとワールドを合算してゴルフ市場の成長率を作ることも、両社全体の売上をゴルフ企業の規模として見せることもしない。実施後の比較では連結範囲が変わるため、継続事業の比較値の開示が焦点になる。

18. 企業間の順位を作らない理由と、追加調査の範囲

見かけ上似ている数字そのまま順位を作れない理由
PG94.54億円とキューブ48.64億円片方はブランド、片方は複数ブランドの会社全体
デサント315.56億円と国内市場約1,100億円前者は国内外・関連商品込み、後者は国内の出荷額
キューブ資料の流通規模と決算売上流通規模は独自定義でライセンス先等を含み、会計売上と異なる
国内店舗売上とメーカー卸売小売価格と卸価格の違いがあり、同じ商品でも計上額が異なる
上期売上と年間売上期間と季節性が違う

キューブの成長可能性資料にある「ゴルフ用品・ウェア」市場約1,500億円も、衣服以外の商品を含むため、本稿の国内ゴルフウェア約1,100億円と同じ市場として扱わない。世界的な流通規模の図も、韓国ライセンス商品などを含む指標であり、同社決算の48.64億円へ置き換えない。キューブ 事業計画及び成長可能性に関する事項(2026年3月27日)

今回は、無料の公開資料で継続比較できる企業を中心にした。非上場の専業ブランド、大手スポーツメーカーの未分離ゴルフウェア、低価格衣料品チェーン、専門店独自ブランド、海外ブランドの日本ライセンシーをすべて網羅していない。未掲載をもって小規模・不調・撤退と判断することはできない。

ブランド一覧へ接続する際は、表示ブランド名、運営会社、連結親会社、日本のライセンス・販売地域、資料の対象年、商材の範囲を別項目にする。同じ名前のクラブ、靴、衣服を無条件に1社へまとめず、未確認部分は未確認として残す。この調査は、数値が確認できたブランドから企業関係をたどるための基礎資料になる。

19. 今後の更新で追う指標

まず、同じ集計範囲のブランド売上を確認する。PGではMBEを除く比較値の継続、New Balance Golfでは売上と粗利率の組み合わせが焦点となる。TSIの全社増収率は連結追加の影響を除いた説明があるかを見る。

次に、在庫と値引きの状態を見る。売上が落ちても粗利率が戻る場合、定価で売る力の改善なのか、低粗利の販路が減っただけなのかは、説明と販路構成を照合する。粗利率改善を最終利益改善として扱わず、販管費まで確認する。

キューブでは、国内店舗の増収が新店・既存店のどちらによるか、国内ECの減収が止まるか、韓国卸の発注が安定するか、増えた費用を売上総利益で吸収できるかを追う。直販比率の上昇だけを成果にせず、実額と営業損益を合わせて読む。

市場調査では、見込が実績へ更新されたか、衣服だけの定義が維持されているか、価格上昇と数量の関係が示されるかを確認する。2026年の予測は年末や翌年の資料が出た時点で検証できるが、今回の調査に未来の実績を補ってはいない。

20. 出典、計算と保存したもの

主要出典は各社の決算短信、決算説明資料、キューブの有価証券報告書、デサントの電子公告、公式ブランド案内、TSI・ワールドの統合発表、矢野経済研究所の無料プレスリリースである。ゴルフウェア限定市場額のみ、出典の調査名・見込/予測が明記された一季出版の紹介記事を使用した。検索結果の断片だけで数値を採用していない。

元数値と出典のページから、6件のJSON付録を読める。市場の調査時点、ブランドの集計変更、会社の元単位と財務、販路、計算式、出典URLを保存した。本文の表示は主に億円小数2桁、伸び率は小数1桁。元資料の表示丸めや千円未満切捨てにより、表示数値の合算と公表合計に小差が生じる場合がある。

増減率は「当期÷前期−1」、粗利率は「売上総利益÷売上高」、営業利益率は「営業利益÷売上高」で計算した。ブランド粗利額の参考概算は、すでに丸めた公表粗利率を売上へ掛けた値であり、厳密な開示実額と区別した。比較不能な系列からの増減率は作成していない。

原本・取得履歴・ハッシュ・計算データはSSDの調査保存先に保管する。確認用サーバーは記事、レポート、出典ページ、スタイル、データ付録のみを配信し、収集した原本PDFや保存先のディレクトリ一覧は配信しない。プレビューは未公開で、既存の公開記事や本番データは変更していない。

元数値と集計データ

市場の調査時点、ブランドの集計範囲、全社財務、販売経路と在庫、計算式と出典を分けた6件のデータ付録です。原本PDFの再配布は行わず、参照元のページへつなぎます。

出典・参考資料

  1. tsi-2023 TSI 2023年2月期 決算説明資料(PDF41頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  2. tsi-2024 TSI 2024年2月期 決算説明資料(PDF11・22頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  3. tsi-2025 TSI 2025年2月期 決算説明資料(PDF38頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  4. tsi-2026 TSI 2026年2月期 決算説明資料(PDF39頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  5. tsi-tanshin-2025 TSI 2025年2月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  6. tsi-tanshin-2026 TSI 2026年2月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  7. tsi-interim-2027 TSI 2027年2月期 中間期 決算説明資料(PDF25頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  8. tsi-world-integration ワールド・TSIHD 経営統合に関するお知らせ(2026年10月14日)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  9. tsi-brands TSI ブランド一覧

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  10. cube-2023 キューブ 2023年12月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  11. cube-2024 キューブ 2024年12月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  12. cube-2025 キューブ 2025年12月期 決算短信(PDF4・5・9頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  13. cube-interim-2026 キューブ 2026年12月期 中間期 決算短信(PDF4・9頁)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  14. cube-annual-2025 キューブ 第32期 有価証券報告書(2025年12月期)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  15. cube-growth-2026 キューブ 事業計画及び成長可能性に関する事項(2026年3月27日)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  16. cube-brands キューブ ブランド紹介

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  17. descente-2022 デサント 2022年3月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  18. descente-2023 デサント 2023年3月期 決算短信

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  19. descente-2024 デサント 2024年3月期 決算短信(PDF5頁ほか)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  20. descente-delisting デサント 当社株式の上場廃止のお知らせ(2025年1月23日)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  21. descente-notice-2025 デサント 2025年3月期 決算公告(個別)

    デサント本体の個別公告。上場時の連結・ゴルフ分類とは比較しない。

  22. descente-notice-2026 デサント 2026年3月期 決算公告(個別)

    デサント本体の個別公告。上場時の連結・ゴルフ分類とは比較しない。

  23. yano-sportsapparel-2024 矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2024年2月15日公表)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  24. yano-sportsapparel-2025 矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2025年1月23日公表)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  25. yano-sportsapparel-2026 矢野経済研究所 スポーツアパレル市場調査(2026年1月29日公表)

    公式一次資料。期間・通貨・集計範囲は本文とデータ付録に記載。

  26. ikki-golfwear-2023 一季出版 ゴルフウエア市場の記事(2024年7月3日)

    専門紙による矢野調査の紹介(二次資料)。有料調査本文は未取得。見込・予測と調査時点を区別。

  27. ikki-golfwear-2024 一季出版 ゴルフウエア市場の記事(2025年5月1日)

    専門紙による矢野調査の紹介(二次資料)。有料調査本文は未取得。見込・予測と調査時点を区別。

  28. world-adabat-2026 ワールド adabat事業リリース(2026年10月1日)

    公式サイトのWeb読取による事実要約を保存。curl403のため原HTML未保存。

  29. world-adabat-stream-2026 ワールド ADABAT STREAM事業リリース(2026年3月5日)

    公式サイトのWeb読取による事実要約を保存。curl403のため原HTML未保存。