ゴルフ業界分析

公表資料調査 · 2026年10月28日公開

ゴルフ場運営の市場と主要企業の業績

全国の利用と市場、確認できる運営会社の数字から、規模と数年の変化を追う。

GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月24日

JAPAN GOLF COURSE OPERATIONS

全国の来場回数は
2022年度を山に落ち着いた

8,750.2 万人回

2024年度の確定値
2022年度からの2年間で 約4.1%減

2022年度9,129.0 万人回
2023年度8,968.3 万人回
2024年度8,750.2 万人回

棒は0を基準に、上限を9,500万人回として表示。

NGKの利用税統計から作図。年度の実行月は3月〜翌2月。同じ人の複数回来場を含む延べ回数。2025年度速報は本文の別欄へ。

国内の市場統計と、公表資料で確認できる運営会社から、事業の規模と数年の変化を追ってみる。

ゴルフ場には、どれくらいのお金が動いているのか。GMACが公表した資料では、国内のゴルフ場市場は2024年に9,240億円と推計されている。2020年の7,190億円から回復した後、2023年の9,390億円を少し下回った。

来場回数にも似た動きがある。全国の延べ利用は2022年度の9,129万人回を山に、2024年度は8,750万人回へ減った。2025年度速報は8,749.8万人回で、協会はほぼ横ばいと説明する。

一方、PGMとアコーディアを傘下に持つ平和グループのゴルフ事業売上は、2026年3月期に2,306億円へ拡大した。市場全体の動きと、この急増は何が違うのか。来場回数、料金、費用、買収を分けて見ると、運営会社の数字が読みやすくなる。

01

市場はコロナ期の落ち込みから回復し 2024年に小幅減

まずは市場全体を同じ系列で見る。GMACの『ゴルフマーケットデータ2026』に掲載された5年分は次のとおりだ。

暦年ゴルフ場市場の推計
20207,190億円
20218,340億円
20229,050億円
20239,390億円
20249,240億円

2020年から2024年までは約28.5%増えた。ただし、直近の1年は約1.6%減。コロナ禍の底から戻った話と、足元の伸びが落ち着いた話は、両方が成り立つ。

これは公表資料にある市場推計で、個別企業の売上を足した数字ではない。別の調査では対象や決算期が異なるため、推計額にも差がある。ここでは同じ資料の系列を通している。市場推計の出典 6頁

02

全国の来場回数は 2022年度を山に落ち着いた

ゴルフ場利用税をもとにした確定統計では、全国の延べ利用回数は次のように推移した。

年度延べ利用回数
20198,596.9万人回
20208,134.7万人回
20218,969.4万人回
20229,129.0万人回
20238,968.3万人回
20248,750.2万人回

2022年度から2024年度の2年間では約4.1%減った。それでも、コロナ前の2019年度よりは約1.8%多い。急増が続いているわけではないが、コロナ前を下回る水準まで縮んだわけでもない。

「年度」の実際のプレー期間は、その年の3月から翌年2月まで。ここでいう8,750万人回は、8,750万人の別々の人がプレーしたという意味ではなく、同じ人が通った回数も含む。来場回数の確定表と期間の注記

さらに新しい2025年度速報は8,749.8万人回だった。速報で使う前年値は後に確定した値とわずかに違うため、上の確定系列とは区別する。少なくとも協会の速報では、2025年度に来場回数が大きく崩れた動きは見られなかった。2025年度速報 2026年5月26日公表

03

一回来場するたびに動くお金も変わった

来場回数が同じでも、一回あたりの売上が変われば、運営会社の収入は変わる。

経産省の調査対象事業所では、売上高を延べ利用回数で割った金額が、2019年の約9,871円から2024年には約10,178円になった。2023年から2024年だけを見ても、来場回数が約1.8%減る一方、この金額は約1.1%上がり、売上の減少は約0.8%にとどまった。

この指標には利用料金のほか、キャディフィや直営の食堂・売店収入も含まれる。「18ホールの平均プレー代」そのものではない。また、調査対象の合計であって、全国すべてのゴルフ場の平均とも異なる。客数だけでは見えない変化を確かめるための数字だ。公表された年次の収入と利用回数

04

PGMとアコーディアの売上増には 買収による範囲の変化がある

会社の規模は、公表資料で追える事業売上を3年並べると分かりやすい。

表は横にスクロールできます

会社と対象事業2024年決算2025年決算2026年決算
平和グループ ゴルフ事業962.25億円1,003.67億円2,306.24億円
リソルHD ゴルフ運営事業81.06億円83.57億円85.51億円
トーシンHD リゾート事業15.98億円14.71億円15.29億円

平和とリソルは3月期、トーシンは4月期。各行の対象範囲は異なり、金額の合計を国内市場規模にしたり、単純な売上順位にしたりはできない。

平和の大幅な増収を読むうえで重要なのが、アコーディアの取得だ。2025年1月に子会社化したものの、損益が連結決算に加わるのは2026年3月期から。そのため、約1,004億円から約2,306億円への増加には、PGM側の運営改善だけでなく、それまで別会社だった事業の売上が加わった効果が含まれる。

この増加を「日本のゴルフ場市場が2倍以上に伸びた」とは読めない。平和が公表する保有・運営ゴルフ場数は2026年6月末で322コース。ゴルフ事業の売上には、プレー売上のほか会員関連や練習場関連なども含まれている。買収と損益連結の説明。保有運営数と売上の内訳 7〜8頁

リソルのゴルフ運営事業は、81.06億円から85.51億円へ、2年間で約5.5%増えた。一方、同事業の経常利益は10.51億円から9.79億円で、売上が増えた分だけ利益も増えたわけではない。トーシンのリゾート事業も、売上は15.98億円、14.71億円、15.29億円と、減った後に持ち直す形になっている。リソルの事業別決算。トーシンの事業別決算

05

直近の大手決算は 増収でも利益が減っている

買収後の平和グループを、同じ4〜6月同士で比べると、もう一つの変化が見える。

表は横にスクロールできます

平和のゴルフ事業2025年4〜6月2026年4〜6月
延べ来場590.5万人回577.0万人回
会社公表の顧客単価9,599円9,859円
売上高618.35億円625.09億円
営業利益156.95億円127.02億円

2026年4〜6月は来場が約2.3%減ったが、会社公表の顧客単価が約2.7%上がり、ゴルフ事業の売上は約1.1%増えた。ただし、営業利益は約19.1%減っている。

会社は、悪天候に加え、人件費、ホテル営業開始に伴う費用、税負担などの増加を説明している。料金を上げて売上を保てても、その分がすべて利益として残るわけではない。

ここでの顧客単価にも、飲食や売店などが含まれる。年次の数字と四半期を混ぜて比較せず、「買収で範囲が変わった年」と「買収後の同じ期間」を分けて見ることで、何が起きたのかを追える。直近四半期の実績と費用の説明 4〜8頁

06

送風カートや時間帯別営業にも 収入と費用の事情がある

ゴルフ場は、来場のない日にもコースや設備の管理が必要な事業だ。各社の開示には、人手不足、賃上げ、施設の更新、暑さへの対応といった課題が並ぶ。

平和は送風機付きカートや夜間営業、公式予約の優遇制度を進めている。リソルも、夏の利用対策としてクーラー付きカートを導入し、ゴルフ場と宿泊を組み合わせる滞在型の運営を展開する。来場しやすい時間を増やす、暑さで失う需要を補う、プレー以外の滞在にもつなぐ、といった取り組みだ。平和の運営施策。リソルの暑さ対策と運営施策

プレーヤーが目にするカートの設備、夜間のスタート枠、宿泊付きのプラン、予約経路による料金の違いは、各社が来場回数と一回あたりの売上をどう組み立てるかという、運営の具体的な表れでもある。

市場推計は2020〜2024年、来場確定値は2019〜2024年度、各社の年次決算は2024〜2026年、直近四半期は2026年4〜6月を使用した。全社と部門の財務、元数値、計算式、比較条件、出典は詳しい調査レポートに収録している。

出典・参考資料

  1. S01 NGK 2024年版 ゴルフ場数 延利用者数 利用税額等の推移

    税統計の確定年次。各年度の実行月は3月~翌2月。県境18場の重複に注意。

  2. S02 NGK 2024年度利用者数と2025年2月末ゴルフ場数の説明

    2,172から県境18場を控除した実施設数2,154を説明。

  3. S03 NGK News 2025年度速報および2026年の月次利用状況

    2025年度速報は2025年3月~2026年2月、87,498千人。比較対象の前年速報は87,551千人。

  4. S04 NGK 2026年7月の全国利用状況 速報表

    表題は納税月8月、実行月7月。前年同月比較。

  5. S05 GMAC ゴルフマーケットデータ2026

    6頁の同一掲載表で2020~2024年の市場推計を比較。

  6. S06 帝国データバンク ゴルフ場業界 動向調査 2024年度

    主にゴルフ場を運営する事業者。決算期4~翌3月。2025年10月時点の企業情報。

  7. S07 経産省 特定サービス産業動態統計 長期時系列表10 年次実数 e-Stat配布

    調査対象事業所の年次合計。全国総額でも固定された全施設の悉皆値でもない。2019~2024年19指標を照会。

  8. S08 平和 2025年3月期 決算短信

    2024年3月期と2025年3月期。アコーディアの損益は未連結。

  9. S09 平和 2026年3月期 決算短信

    2025・2026年3月期。2026年からアコーディアの損益を連結。

  10. S10 平和 2026年3月期 有価証券報告書

    連結範囲、取得、借入、支払利息とキャッシュフローを確認。

  11. S11 平和 2027年3月期 第1四半期 決算説明資料

    実績期間は2026年4~6月。年次実績・通期予想と混在させない。

  12. S12 リソルHD 2025年3月期 決算短信

    全社とゴルフ運営事業、部門経常利益を区別。

  13. S13 リソルHD 2026年3月期 決算短信

    ゴルフ運営とリソルの森は別事業。

  14. S14 リソルHD 2026年3月期 決算説明資料

    全国17コースは運営提携を含む。URLは既存受領記録から補完。

  15. S15 トーシンHD 2025年4月期 訂正後決算短信

    2024年4月期を含む。リゾート事業利益は全社費用配賦前の経常損益。

  16. S16 トーシンHD 2026年4月期 訂正後決算短信

    2025・2026年4月期。別の2026年5月8日短期決算を3年比較に含めない。

  17. S17 平和HD 公式事業概要

    保有と受託運営の規模を混同しない。定量の基準日はS11の2026年6月末を優先。

  18. S18 平和HD 公式沿革

    2026年の商号変更を確認。決算当時の社名は平和。