ゴルフ業界分析

公表資料調査 · 2026年10月27日公開

ゴルフ旅行・観光と訪日需要

国内旅行、海外ゴルフ、訪日客。人数の動きと企業の決算から、旅の前後に生まれる商売をたどる。

GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月26日

GOLF TRAVEL · BEYOND THE COURSE

観戦の旅は、宿と街にも
お金を運んでいた。

13.6万円/人

2025年ダイキン来場者調査
沖縄県外から来た人の県内消費額

宿泊45,798円
飲食30,219円
県内の移動17,594円
特定大会の来場者の事例。全国のゴルフ旅行者の平均ではない。沖縄までの航空券・船代を除く。出典:OCVB・りゅうぎん総研、2025年調査。

飛行機に乗り、ホテルに泊まり、翌朝ゴルフ場へ向かう。ラウンドの後は、街で食事をしてもう一泊。ゴルフ旅行では、プレーする一日の前後にもお金が動く。

日本人の国内旅行、海外へ出かけるゴルファー、外国から日本へ来る人。いま、この三つは同じようには動いていない。公表統計と旅行会社の決算、沖縄の来場者調査から、誰が何にお金を払っているのかを見ていこう。

01

まず「国内」「海外」「訪日」を分けよう

北海道や宮崎へ行く国内旅行。ハワイやタイでプレーする海外旅行。外国から日本のゴルフ場へ来る訪日旅行。どれもゴルフ旅行だが、買う人も、売る会社も、お金が残る場所も違う。

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旅行の種類誰がどこへ行くか主な受け皿
国内旅行日本に住む人が、国内の別の地域でプレーするゴルフ場、宿泊施設、交通、国内の旅行会社
海外旅行日本に住む人が、海外でプレー・観戦する日本の旅行会社、航空会社、海外の施設・現地手配会社
訪日旅行外国から来た人が、日本でプレー・観戦する海外の販売会社、日本の手配会社、国内の施設・交通

全国のゴルフ旅行だけを合計した公的な市場規模は、今回の資料では確認できなかった。そこで、統計で客の動きを見たうえで、公表資料のある旅行会社や施設運営会社から、事業の規模と変化を追う。

出典 [1][2][3]

02

日本へ来る人は増えた。海外へ行く日本人は、まだ戻り切らない

2025年の訪日客は4,268万人で、2019年より約34%多い。一方、海外へ出た日本人は1,473万人。こちらは2019年の約73%にとどまる。どちらも旅行全体の人数で、ゴルフ客だけの人数ではない。ただ、海外から客を迎える商売と、日本人を海外へ送る商売で、置かれている状況が違うことは分かる。

日本へ来る旅行と、日本人の海外旅行

2019年を100とした往来の回復。すべての旅行目的を含み、ゴルフ客だけの数字ではない。

訪日客日本人の海外渡航
2019
100.03,188万人
100.02,008万人
2023
78.62,507万人
47.9962万人
2024
115.63,687万人
64.81,301万人
2025
133.94,268万人
73.41,473万人
棒の長さは人数そのものの比較ではなく、各系列の2019年に対する指数。出典:JNTOの年別確定表。2026年の途中経過とは分けた。

さらに、2026年1〜9月の訪日客は3,073万人で、前年同期比2.9%減だった。2025年までの回復を、そのまま先の成長率にはできない。

出典 [1][4]

03

国内のゴルフ旅行も、泊まる・移動する費用がかかる

国内の宿泊旅行は、旅行全体の1人1回当たり支出が2019年の5万5,054円から、2025年には7万2,412円になった。観光・レクリエーション目的に限ると、6万995円から8万2,270円。物価だけでなく、旅先や旅行内容の変化も混ざった数字だ。

これはゴルフ旅行の平均価格ではない。それでも、ゴルフ場の料金だけを見て「安い旅が作れる」とは限らない。宿泊、交通、食事を合わせた総額で選ばれるからだ。JTBガイアレックのゴルフ旅行も、コース予約だけでなく、宿と移動の手配をまとめて扱っている。

出典 [5][6][2]

04

沖縄の大会来場者は、県内で1人約13.6万円使っていた

プレー代の外に、どんな支出があるのか。具体例が2025年のダイキンオーキッドレディスの来場者調査だ。アンケートを基に報告書が算出した県外客の県内消費額は、1人平均13万6,175円。うち、宿泊4万5,798円、飲食3万219円、県内交通1万7,594円だった。三つを合わせると約9.4万円になる。

県内で使った13万6,175円の内訳

2025年ダイキン来場者調査・沖縄県外から来た人の平均

宿泊費45,798円
県内交通費17,594円
お土産代10,769円
飲食費30,219円
その他(娯楽等)23,914円
会場内消費7,881円
宿泊・飲食・県内交通で計93,611円。その他(娯楽等)にはゴルフを含むが、プレー代だけの内訳は出ていない。
特定大会の会場で集めた回答で、全国平均ではない。沖縄までの航空券・船代は含まない。費目によって有効回答数も異なる。出典:OCVB・りゅうぎん総研の来場者調査、PDF18ページ。

県外回答者172人の55.2%は、観戦以外にゴルフもすると答えた。「大会を見に行く」と「自分も回る」が、一つの旅行の中で重なっている。

ただし、これは大会会場で集めた回答だ。全国のゴルフ旅行者の平均ではなく、沖縄までの航空券・船代も含まない。比較対象の沖縄の一般客は9万7,511円で、差は約1.4倍だったが、客層や調査方法が違うため「ゴルフを入れれば必ず1.4倍使う」とは言えない。

出典 [7]

05

訪日ゴルフの需要はある。ただし「ゴルフ客何万人」は簡単に出せない

観光庁の調査で、日本滞在中に「その他スポーツ(ゴルフ等)」をした割合を追うと、2019年の1.51%から2025年の1.90%へ上がった。2023年以降は、おおむね1.9%前後で推移している。

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年その他スポーツ(ゴルフ等)をした割合その活動をした回答数
20191.51%512件
20231.90%702件
20241.89%570件
20251.90%532件

回答数は調査でその項目を選んだ件数で、全国の人数ではない。しかもゴルフ以外のスポーツを含む。訪日客全体にこの割合を掛けて「日本のゴルフ客は何万人」と言い切るのは無理がある。

一方、受け入れる側の動きは具体的だ。アコーディアは2024年5月、韓国語の特設サイトを開設。空港から行きやすい21コースを紹介し、クラブのレンタルや近くの温泉・飲食店も案内した。コースの良さを伝えるだけでなく、予約して現地へ行けるところまで整える商売になっている。

出典 [8][9][10][11][12]

06

日本人の海外ゴルフは、行き先によっても違う

ハワイ州の調査では、日本市場の旅行者が滞在中にゴルフをした割合は、2019年7.3%、2023年6.1%、2024年4.9%だった。これはハワイに来た日本市場の回答者の話で、日本人の海外ゴルフ全体を数えたものではない。

海外では、航空券やホテルに加え、現地送迎、カート、キャディー、チップなども旅費に入ってくる。名鉄観光のバンコク商品でも、旅行代金に含むものと、燃油サーチャージや現地チップなど別払いのものを分けている。「海外ならプレー代が安い」という話だけでは、旅の総額は決まらない。

出典 [13][14]

07

旅行を売る会社は、どれくらいの規模なのか

ゴルフ旅行を扱うバリューゴルフの旅行部門を見てみよう。外部のお客からの売上は、2024年1月期の約3.06億円から、2026年1月期には約6.63億円になった。

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1月期旅行部門の外部売上旅行部門の利益
20233.28億円1,540万円
20243.06億円2,156万円
20255.04億円3,869万円
20266.63億円4,193万円

同部門には、ゴルフ以外の旅行や各種手配も含まれる。2024年2月にはエスプリ・ゴルフがグループへ加わっており、売上増には買収の影響もある。表の利益も、全社の共通費用を引く前の部門利益だ。

直近の2026年2〜7月は、外部売上が前年同期の約4.17億円から約3.54億円へ減った。会社は海外旅行の苦戦を挙げている。年間の売上が伸びてきた会社でも、足元まで右肩上がりとは限らない。

もう一つ大事なのは、客が払った旅行代金の総額と、旅行会社の売上が同じとは限らないこと。航空券やホテルを手配し、手数料などを売上に計上する商品もある。旅行代金をそのまま旅行会社の取り分と考えると、会社の大きさも利益も読み違える。

出典 [15][16][17][18]

08

泊まってもらう側にも、別の商売がある

リソルは、ゴルフ場に隣接するヴィラなどで「GOLF&STAY」を進めている。2026年3月期のグループ全体の売上は約304億円。その中に、ゴルフ運営約85.5億円、リソルの森約42.4億円、ホテル運営約164.3億円の事業がある。

ただし、この合計をゴルフ旅行の売上にはできない。ゴルフ場には日帰り客がいて、ホテルにはゴルフをしない客もいる。公表資料から分かるのは、宿泊とゴルフを持つ会社の規模と、泊まりを増やそうとする動きまでだ。

出典 [19]

09

予約・送迎・宿泊をつなぐ仕事に、お金を払う

旅行会社の仕事は、ティータイムを一つ押さえることだけではない。到着便に間に合う送迎、人数に合う部屋、複数コースの予約、同行者の観光、天候が崩れたときの連絡まで、旅行として組み合わせる必要がある。

旅行代金は、いくつもの仕事へ分かれる

旅行会社を通す場合の一般的な関係。支払割合を示す図ではない。

旅行者
旅行代金・現地払い

↓ 予約・代金の支払い

旅行販売会社・現地手配会社予約と日程を組み、仕入先を手配する

↓ 施設や移動の代金を支払う

ゴルフ場プレー・用具レンタルなど
宿泊施設部屋・宿泊中のサービス
交通事業者航空・鉄道・送迎など
地域の店や施設食事・買い物・観光など
直接予約や現地払いもある。旅行代金、手配会社の売上、施設の売上を足し合わせると、同じ支払いを重ねて数える場合がある。
JTBガイアレック、PGJ、名鉄観光の事業・商品説明と、バリューゴルフの会計上の説明を基にした概念図。個社の契約や取り分を示した図ではない。

神戸のPGJは、ゴルフ場とホテル、観光や体験を組み合わせる現地手配を行っている。専門会社が入る理由は、知らない土地でも、予約から移動まで含めて旅行を成立させてもらえることにある。

売る側には、料金に何を含むか、送迎をどうするか、使える言語、レンタル用具、受け入れ可能な時間帯などを先に伝える仕事もある。海外から関心を持ってもらっても、そこが分からなければ予約には進みにくい。

出典 [3][2][14][12]

10

人を呼ぶだけでなく、泊まる・食べる・回る旅にできるか

ゴルフ旅行は、プレー代に宿泊や交通を足しただけの話ではなかった。試合を見た後に自分でも回る。ラウンドの後に街で食事をする。何泊かして、別のコースへ行く。その一つ一つが、別の店や会社の仕事になる。

ただ、訪日客の増加がすべてのゴルフ場へ届くわけではなく、日本人の海外旅行も戻り切っていない。直近には減速もある。訪日向けなら言語と移動、海外向けなら航空券や現地払いまで含む総額が、予約のしやすさを左右する。

旅行会社は手配をまとめる仕事で収入を得て、ゴルフ場はプレー、宿は宿泊、飲食店は食事で売上を得る。地域で商売を増やすには、客を呼ぶ広告だけでなく、その土地で無理なく泊まり、食べ、何度かプレーできる旅に仕立てる必要がある。

ゴルフ業界分析 · ゴルフ旅行・観光・インバウンド

出典・参考資料

調査日:2026年10月26日。統計の対象・期間・定義は本文と数値付録に記した。

  1. JNTO 年別訪日外客数と出国日本人数1964–2025資料ID JNTO25 / 公表原本を保存
  2. JTBガイアレック ゴルフ事業説明資料ID GAIA / 公表原本を保存
  3. Play Golf Japan 会社・手配事業説明資料ID PGJ / 公表原本を保存
  4. JNTO 国籍月別訪日外客数2003–2026資料ID JNTO26 / 公表原本を保存
  5. 観光庁 2019年年間 集計表(確報) [Excel:652KB]資料ID DOM2019 / 公表原本を保存
  6. 観光庁 2025年年間 集計表(確報) [Excel:1.3MB]資料ID DOM2025 / 公表原本を保存
  7. OCVB・りゅうぎん総研 2025ダイキン来場者調査資料ID OKI25 / 公表原本を保存
  8. 観光庁 訪日/インバウンド消費動向調査2019年 年間集計表(2026年10月掲載版)資料ID IB2019 / 公表原本を保存
  9. 観光庁 訪日/インバウンド消費動向調査2023年 年間集計表(2026年10月掲載版)資料ID IB2023 / 公表原本を保存
  10. 観光庁 訪日/インバウンド消費動向調査2024年 年間集計表(2026年10月掲載版)資料ID IB2024 / 公表原本を保存
  11. 観光庁 訪日/インバウンド消費動向調査2025年 年間集計表(2026年10月掲載版)資料ID IB2025 / 公表原本を保存
  12. アコーディア2024年5月23日韓国語特設サイト開設発表資料ID AC24 / 公開Web読取
  13. Hawaii DBEDT Visitor Satisfaction and Activity Study 2024資料ID HI24 / 公表原本を保存
  14. 名鉄観光バンコクゴルフツアーの旅行条件・2026年商品資料ID MWT / 公表原本を保存
  15. 2024年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)資料ID VG24 / 公表原本を保存
  16. (訂正・数値データ訂正)「2026年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の訂正について資料ID VG26C / 公表原本を保存
  17. 2027年1月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)資料ID VG27H / 公表原本を保存
  18. バリューゴルフ2024年4月事業計画・取扱高と純額処理説明資料ID VG24B / 公表原本を保存
  19. リソル2026年3月期決算補足資料資料ID RES26 / 公表原本を保存

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