公表資料調査 · 2026年10月27日公開
ゴルフ会員権の相場と仲介会社の収益
安く買って高く売る差額と、売り手・買い手の手数料。相場の推移とともに、会員権業者の商売を追う。
GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月26日 / 追調査・改稿 10月27日
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手数料だけでは、
業者の取り分は分からない。
差額 + 手数料
安く仕入れて高く売る価格差と、
別に受け取る手数料を分けて見る。
会員権業者は、手数料だけで稼いでいるとは限らない。売りたい人から買い取り、買いたい人へ高く売る。その差額を取り、さらに手数料を受け取る取引もある。
「仲介手数料2%」という表示だけでは、業者の取り分は分からない。売り手に渡る額と、買い手が払う額の間に何があるのか。買取・再販売の商売を先に見たうえで、複数年の相場と、ゴルフ場に入るお金をたどる。
01
会員権は、ゴルフ場の土地を買うものではない
一般的なゴルフ会員権は、クラブの施設を会員として利用する資格や、それに伴う権利・義務を持つものだ。会員向けの料金や競技、クラブでの付き合いを求めて買う人がいる。買った後にも年会費やプレー代がかかる。
お金の仕組みには違いがある。会社に預けたお金を、条件に従って返してもらう「預託金制」。会員が株主になる「株主会員制」。返還される預託金を持たない会員権もある。さらに、利用期間の決まった年次の優待登録と、市場で譲渡できる会員権も別のものだ。
会員権を持つことと、希望した日に必ず予約が取れることも同じではない。業界の売り物は安いプレー料金だけでなく、通う場所や競技、会員として過ごす時間でもある。
02
安く買って高く売る。そのうえで手数料も取る
会員権業者が自分で買い手になり、その会員権を次の人に売る。売り手との価格と、買い手との価格が違えば、差額が生まれる。この売買差額を「鞘(さや)」と呼ぶ。そこへ売却側・購入側の手数料が加わる取引がある。
ゴルフ会員権ネットは、この方式を業界で一般的な取引と説明している。同社は売り買いの本体価格をそろえる方式を掲げており、他社との違いを訴える営業上の説明でもある。ただ、買取そのものは別の会社の手順でも確認できる。三和プランニングは買い付けと両側の手数料、テノンゴルフも自社の買取と手数料を明記している。
売買差額50万円 + 両側手数料21万円
事業者が公表した説明用の例。実際の成約実績・業界平均ではない。
71万円の内訳
本体価格の差額
50万円販売550万円 − 買取500万円
売り手側の手数料
10万円買取価格500万円の2%
買い手側の手数料
11万円販売価格550万円の2%
図は、会員権ネットが公表する説明用の例だ。買取の本体価格500万円に対し、販売は550万円。差額50万円に、売り手側10万円、買い手側11万円の手数料が重なり、業者側の入出金差は71万円になる。手数料21万円だけを見ていると、差額50万円を見落とす。
これは実際の成約を公表した数字でも、業界の平均でもない。名義書換料などのゴルフ場への支払いは別で、71万円から経費や税金等も差し引かれる。それでも、業者がどこで稼ぐかを考えるには、手数料と売買差額の両方が欠かせない。
03
差額がいくらかは、片側の見積りでは見えにくい
売る人に見えるのは、自分の売却代金と手数料。買う人に見えるのは、自分の購入代金と手数料だ。両者の本体価格が違っていても、片方の見積りだけでは業者の売買差額を確かめられない。手数料が安く見えても、価格の中でいくら取っているかは別に残る。「手数料2%」は、買取と再販売の差額も2%以内という意味ではない。
差益の取り方は、業者自身も話題にしている。TKゴルフサービスは、相見積りを勧める自社記事で、1社への依頼を求めて差益を確保しようとする業者を批判する。会員権ネットの2010年の開設発表にも、価格差と手数料を重ねる取引への言及がある。最近になって初めて出てきた論点ではない。
ただし、今回の公表資料では、特定の会社が実際の1件でいくら差額を取ったかまでは分からなかった。平均や最大額も未確認だ。差額を取る仕組みは書けるが、説明用の71万円を「この会社が実際に抜いた額」とは書かない。
住地ゴルフの基本手数料は2%・税込、最低5万5,000円。会員権ネットは250万円以上なら0.9%に消費税を加える。ただ、この料率表で比べられるのは手数料の部分だけだ。売買差額、両側の料金、追加費用を含めた業者の取り分の比較にはならない。
04
相場は6年続けて上がった。足元では下落もある
桜ゴルフの関東圏の平均相場は、2020年から2025年まで6年続けて上昇した。2019年には3.2%下がっていたが、2021年は9.1%上昇。2024年も8.6%上がり、2025年は4.2%上昇した。
関東圏の相場は、2020〜2025年に6年続伸
桜ゴルフが公表した各年の年間騰落率。全国の成約価格や保有収益率ではない。
ただし、これは同社が公表する関東圏の相場で、全国の成約価格を集めた数字ではない。2026年もずっと上がり続けたわけではなく、9月は前月比0.7%下落。同社では売り注文に対する買い注文の比率が0.74倍になり、売りの方が多かった。
長く持てば必ず上がるという話でもない。詳報では2014年から12年分を載せた。2014〜2016年は、いずれも年間で下落している。
05
「平均303万円」と聞いても、全国の相場とは限らない
関東ゴルフ会員権取引業協同組合が2026年10月22日に公表した値は、約150コースの指定銘柄で303万円。同じ日の280コースの単純平均は215万円だった。選ぶコースが違えば、平均も大きく違う。
関西の組合が翌23日に示した近畿2府4県・158コースの単純平均は83万円。こちらも対象コースと算出方法が違い、関東の数字と単純に足したり、全国の平均にしたりはできない。
また、桜ゴルフの相場表は、売り希望と買い希望の中間を需給に応じて調整した値だ。相場表に書かれた金額が、そのまま全件の成約価格というわけではない。表示価格を合計して、日本の会員権市場の年間売上を出すこともできない。
06
価格が上がっても、売買の数が増えたとは限らない
桜ゴルフは、2025年の正会員権の買い注文件数が前年より減ったと公表している。同じ年に相場は4.2%上がった。値段の上昇と、買おうとする注文の増加は別の動きだった。
同社を通じて入会した人の構成も変わっている。1000万円以上の価格帯は、2019年の9.2%から2025年の16.2%へ増えた。一方、150万円未満は40.3%から21.4%へ減った。これは同社の顧客構成で、全国の市場シェアではない。値上がりによって同じコースが上の価格帯へ移る影響もある。
同社は、法人の名門回帰や個人の買い替えを挙げる一方、年会費の値上げで低い価格帯の会員権を手放す動きも説明している。高額銘柄に買いが入り、保有の負担が重い銘柄には売りが出る。一つの「ゴルフ人気」だけでは説明できない市場だ。
07
会社の規模は、何で確かめられるのか
08
ゴルフ場の新規募集には、中古売買とは別のお金が入る
中古会員権は、持っている人から次の人へ渡す取引。新規募集では、ゴルフ場側が会員を募り、入会する人からお金を受け取る。
会員権のお金が動く、三つの方式
本体価格をそろえる取引
本体価格をそろえる
↓
両側から受ける方式もある
会員権ネットが掲げる方式。本体価格が同じでも、双方の精算額は手数料分だけ違う。
業者の買取・再販売
業者が売買当事者になる
↓
+ 手数料を受ける取引も
買い手を確保してから買い付ける手順もある。各社の実際の価格差は別途確認が必要。
ゴルフ場の新規募集
新たな入会希望者を募集
↓
内訳は募集条件で異なる
中古の売買差額とは別。募集代行の報酬があれば、その条件も確認する。
太平洋クラブの正会員の公表募集価格は、2025年度の880万円から、2026年7月募集では1,210万円になった。国内の共通利用コースは18から19へ変わり、年会費や割引条件も違うため、同じ内容の商品が37.5%値上がりした、とだけは説明できない。
2026年募集は500口。公表価格を掛けると60.5億円の募集枠になるが、実際に売れた額や会社の利益ではない。同募集は預託金なしで、購入後2年を経て名義変更手続きが始まったときに市場で売却できる条件だ。新規購入後すぐに自由に売れる、という意味ではない。
09
年会費と預託金は、持っている間も経営に関わる
太平洋クラブの正会員の年会費は、2026年7月以降の新たな入会者には13万2,000円。2026年6月30日までの所定の入会者・名義変更受付者は、現年会費7万2,600円の適用が続き、2031年度から改定される。同じクラブでも、全員が同じ時期に値上がりするわけではない。
預託金のある会員権では、ゴルフ場側が将来返す義務も持つ。平和の2026年3月末の連結会員預り金は約364.6億円だった。これは年間売上ではなく、貸借対照表に残る負債だ。会員権を中古で500万円で買ったから、ゴルフ場が500万円を返すという話でもない。
会員権の商売には、売る人と買う人を結ぶ手数料の仕事も、安く仕入れて高く売る商売もある。ゴルフ場には名義書換料や会費などが入り、預託金があれば返還義務も残る。相場表と手数料表だけを見ていると、このうち売買差額が抜け落ちる。業界のお金を追うなら、買い手が払った額と、売り手に渡った額の両方を見る必要がある。
出典・参考資料
調査:2026年10月26日。差益・買取再販売の追調査と改稿:10月27日。統計の対象・期間・定義は本文と数値付録に記した。
- 桜ゴルフ・ゴルフ会員権の制度説明資料ID SAKMEMBERSHIP / 公表原本を保存
- 太平洋クラブ・2026年7月新規会員募集資料ID TC26 / 公表原本を保存
- ゴルフ会員権ネット・売り買い同一価格と自社売買の説明例資料ID NETSPREAD / 公表原本を保存
- 三和プランニング・購入と売却の取引手順資料ID SANWADEAL / 公表原本を保存
- テノンゴルフ・会員権売買の流れ資料ID TENONDEAL / 公表原本を保存
- TKゴルフサービス・業者選びと差益に関する自社解説(2026年8月17日)資料ID TKCHOICE / 公表原本を保存
- グローバルゴルフネット・開設時の企業発表(2010年1月15日)資料ID NET2010 / 公表原本を保存
- 住地ゴルフ・公表手数料(ブラウザ表示)資料ID JUFEE / ブラウザ表示の公表本文を保存
- ゴルフ会員権ネット・購入手数料資料ID NETFEE / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・2026年1月マーケット情報資料ID SAK2026JAN / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・2022年1月マーケット情報資料ID SAK2022JAN / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・2026年9月の需給と相場資料ID SAK26SEP / 公表原本を保存
- 関東組合・相場平均値資料ID KGK / 公表原本を保存
- 関西組合・相場気配表資料ID KANQUOTE / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・相場の定義資料ID SAKMARKET / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・2025年買い注文の構成資料ID SAKORD25 / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・2019年と2025年の入会構成資料ID SAKSHARE / 公表原本を保存
- 桜ゴルフ・会社概要資料ID SAKPROFILE / 公表原本を保存
- 住地ゴルフ・会社概要(ブラウザ表示)資料ID JUPROFILE / ブラウザ表示の公表本文を保存
- ゴルフ会員権ネット・企業概要資料ID NETPROFILE / 公表原本を保存
- 太平洋クラブ・2025年度新規会員募集資料ID TC25 / 公表原本を保存
- 太平洋クラブ・2026年度以降の年会費適用表資料ID TCFEE26 / 公表原本を保存
- 平和 2026年3月期 決算短信資料ID OPS09 / 過去調査の検証済み原本
- 平和 2026年3月期 有価証券報告書資料ID OPS10 / 過去調査の検証済み原本