ゴルフ業界分析

公表資料調査 · 2026年10月28日公開

ゴルフにかかる税金と税収の使い道

税の始まり、全国10年の税収、地域での使い道を公表資料から追う。

GOLF DNA編集部 · 調査 2026年10月24日 · 10月25日追補

GOLF & PUBLIC REVENUE

プレーから生まれる税収を
全国の決算から追う

431.06 億円

2024年度 · 全国のゴルフ場利用税
2015年度比 9.3%減
税収の70%は所在市町村へ交付

2015年度決算475.38 億円
2020年度決算393.61 億円
2022年度決算447.06 億円
2024年度決算431.06 億円

棒は0基準、上限500億円。4年度を抜粋。
本文には2015~24年度の全10年度を掲載。

総務省「地方税の税目別収入額及びその割合の推移」から作図。市町村への交付前の決算。消費税や固定資産税などを含むゴルフ全体の税収ではない。

ゴルフの会計で見かける「ゴルフ場利用税」。1回では数百円でも、全国で集まると年に約431億円になる。その7割は、ゴルフ場のある市町村に届く。

ゴルフは、運営会社や用品メーカーが売上を得る産業であると同時に、地域に税収を生む産業でもある。今回は公表されている税の数字から、その規模と変化を追ってみる。全国の10年分の決算に加え、税の始まりと存続理由、市町村が受け取った金額、その使い道まで調べた。

01

まず、1回の利用税800円はどこに行くのか

ゴルフ場利用税を払うのはプレーヤーだ。ゴルフ場が集め、都道府県に納める。そこで終わりではなく、税収の70%がゴルフ場の所在する市町村へ交付される。

仮に利用税が800円なら、市町村に560円、都道府県に240円という配分になる。コースの売上として残るお金ではない。

800円の利用税の行き先(仕組みの例)金額
ゴルフ場のある市町村へ560円
都道府県側に残る分240円
合計800円

ただし、どのゴルフ場でも800円という意味ではない。法律上の標準税率が1人1日800円、上限が1200円で、施設などに応じた区分がある。埼玉県の現行の区分は300~1200円だ。

また、18歳未満、70歳以上、障害のある人などには非課税の制度がある。年齢等の確認や証明が必要で、対象者のプレーまで一律に課税されるわけではない。出典:総務省:ゴルフ場利用税、e-Gov:地方税法 第103条、埼玉県:ゴルフ場利用税(2026年4月1日更新)。

02

なぜ始まり、なぜゴルフに課税が残ったのか

出発点は、今の「ゴルフ場利用税」と、前身の税を分けると分かりやすい。

1954年、国と地方の税を組み直す中で、ゴルフ場などの利用への課税が「娯楽施設利用税」として都道府県に残された。法律では、ゴルフ場のほか、舞踏場、スケート場、パチンコ場なども対象だった。当時は、娯楽施設の利用に税をかけ、地方の財源にする仕組みの一部だった。出典:衆議院:地方税法の一部を改正する法律(昭和29年法律第95号)、国会会議録:1954年5月6日 参議院本会議。

1989年4月に消費税が導入されると、この税の対象はゴルフ場に絞られ、現在の名前になった。後年の政府答弁は、地域の行政サービスとの関係が強いことなどを理由に、消費税との負担調整をしたうえで制度化したと説明している。出典:衆議院:地方税法の一部を改正する法律(昭和63年法律第110号)、国会会議録:2017年12月5日 参議院文教科学委員会。

現在、総務省が挙げる理由は、アクセス道路、防災、ごみ処理などとゴルフ場の関わり、そして他のスポーツ施設より一般に高い利用料金を払う人の負担能力だ。つまり、もともとの娯楽施設への課税を引き継ぎ、地域の行政を支える財源という説明で続いている。出典:総務省:ゴルフ場利用税。

ただし、これは税を設け、維持する側の説明である。「地域に行政コストが生じる」という理由と、「払った税の全額がそのコストに使われる」という仕組みは同じではない。

03

全国では431億円。10年前より9.3%少ない

総務省の決算資料で確認できる2024年度のゴルフ場利用税は、全国で431.06億円。2015年度の475.38億円と比べると、44.32億円、9.3%少ない。

表は横にスクロールできます

年度(決算)全国のゴルフ場利用税前年度比
2015475.38億円—
2016459.40億円-3.4%
2017447.28億円-2.6%
2018433.22億円-3.1%
2019430.75億円-0.6%
2020393.61億円-8.6%
2021444.02億円+12.8%
2022447.06億円+0.7%
2023439.51億円-1.7%
2024431.06億円-1.9%

流れは三つに分けると読みやすい。2015~19年度は減少が続いた。2020年度はさらに落ち込み、2021~22年度に回復。その後は2年続けて減り、2024年度は前年度比1.9%減となった。

2020年度の落ち込みと、その後の回復だけを見ると、ゴルフ関連の税収は成長しているようにも見える。しかし、10年の幅で見ると元の水準には戻っていない。出典:総務省:地方税の税目別収入額及びその割合の推移(令和8年度参考資料)。

もう一つ、最新の見通しもある。2026年度の国の資料では429億円を見込む。これは2024年度の431.06億円という決算とは別の、将来を見込んだ数字だ。上の表には混ぜていない。出典:総務省:令和8年度 地方税及び地方譲与税収入見込額。

04

来場回数が同じでも、税収は同じにならない

なぜ税収が減るのか。ここで「ゴルフをする回数」と「利用税がかかる回数」を分けると、見えてくるものがある。

日本ゴルフ場経営者協会の集計では、2015年度と2024年度の延べ利用回数は、どちらも約8750万回。大きくは違わない。一方、その内訳は変わっている。

表は横にスクロールできます

同協会の集計2015年度2024年度変化
延べ利用回数8775.3万回8750.2万回0.3%減
うち課税される利用7216.4万回6673.4万回7.5%減
うち非課税の利用1558.9万回2076.8万回33.2%増

非課税の利用が占める割合は約18%から約24%へ上がった。70歳以上などが税を払わずにプレーできる仕組みがあるため、来場回数が保たれても、課税される回数が同じように保たれるとは限らない。

ただし、この表だけで「税収減の原因はすべて高齢化」とまでは言えない。非課税には年齢以外の区分もあり、コースごとの税額や利用されるコースの組み合わせも変わる。

なお、「延べ」は実人数ではない。同じ人が年間20回プレーすれば20回と数える。協会の税額集計と総務省の決算額には差があるため、全国の税収は総務省、利用の内訳は協会、と資料を分けて読んでいる。出典:日本ゴルフ場経営者協会:2024年度 利用税等の推移。

05

市町村には年数億円が入る例もある

全国の431.06億円に法定の70%を当てると、市町村に届く部分は約302億円相当になる。これは配分割合による計算であり、各市町村の同年度の交付決算を足し上げた数字ではない。

実際の市町村決算を見ると、地域との関わりがもっと具体的になる。

表は横にスクロールできます

自治体・年度受け取った利用税交付金歳入総額に占める割合
千葉県市原市・2024年度約6.9億円約0.6%
兵庫県三木市・2025年度約5.5億円約1.3%

両市とも普通会計の決算による。年度が違うので、同じ年の順位比較ではない。それでも、プレーヤーが払う数百円が、市の会計では数億円になることが分かる。出典:千葉県公表:市原市 令和6年度財政状況資料集、三木市:令和7年度決算カード。

一方、増える地域ばかりでもない。埼玉県狭山市の交付金は2022年度の約3591万円から、2025年度には約2954万円へ減った。3年間で17.7%の減少だ。全国の動きだけでは、個々の市町村の動きは分からない。出典:狭山市:令和4年度一般会計歳入歳出決算、狭山市:令和7年度一般会計歳入歳出決算。

では、入ったお金は具体的に何へ使われるのか。次に、自治体が公表している使い道を見てみよう。

06

集めたお金は、道路や消防、他のスポーツにも使われる

使い道は、自治体の公表資料から具体例を追える。

三木市は、ゴルフ場周辺の道路補修や交通安全設備に加え、消防・救急車両の整備、ため池の改修、観光情報の発信、ジュニアゴルファーの育成などへの活用を説明している。出典:三木市:ゴルフ場利用税の活用について。

伊豆市の2026年度当初予算資料にも、ゴルフ場周辺の道路整備やスポーツ振興に活用する予定が載る。こちらは予算段階の方針なので、すべて使い終えた実績という意味ではない。出典:伊豆市:令和8年度当初予算資料。

金額まで見える例が、佐賀県多久市だ。市が公表した2025年度の活用事業の内訳は次のとおり。

補助先公表額
多久市ゴルフ協会150万円
多久市陸上協会21万円
多久市バドミントン協会15万円
多久市グラウンド・ゴルフ協会11万円
東多久町スポーツ協会3万円
この5団体の合計(本稿計算)200万円

ゴルフ大会や教室に加え、陸上競技の栄養教室・トレーナー派遣、バドミントンの青少年育成なども支える。ゴルフで集めた税の一部が、別のスポーツにも回っている。200万円は、この公表事業の合計で、多久市が受け取る交付金の全額ではない。出典:多久市:令和7年度ゴルフ場利用税交付金活用事業のお知らせ。

利用税は、使途を法律で特定しない「普通税」だ。そのため、道路やゴルフだけに使う義務はなく、地域の幅広い行政に使える。それでも、こうして活用先を公表する自治体はある。全国の税収を道路・消防などへ何割ずつ使ったかという内訳までは今回確認できなかったが、地域で何に生かしているかは具体的にたどれる。

07

ゴルフの税は、利用税だけではない

431億円は「ゴルフに関わる税収の全部」ではない。プレー料金や用品の購入には消費税が関わり、土地や設備の所有には固定資産税、事業の利益には法人税などが関わる。

お金が動く場面関わる主な税
ゴルフ場でプレーするゴルフ場利用税、料金にかかる消費税
クラブやウェアを買う、練習場を利用する課税対象の購入・サービスにかかる消費税
土地・建物・設備を持つ固定資産税など
関連企業が利益を出す法人税、法人住民税、法人事業税など
関連する仕事で所得を得る所得税、個人住民税など

ただ、これらを足して「ゴルフ全体で年間いくら」と言える全国統計は、今回確認した公表資料では見つけられなかった。とくに、業界の売上に単純に10%を掛けても、消費税の実際の税収にはならない。事業者が納める際には、仕入れで負担した税額を控除する仕組みがあるからだ。出典:国税庁 No.6451:仕入税額控除の対象となるもの。

固定資産税も同じで、ゴルフ場用地の評価額が公表されていても、その金額自体が税収ではない。詳報では津市の5年分の用地データを使い、どこまで確認できるかを整理した。

08

利用税に、さらに消費税が乗っているのか

会計で利用税と消費税の両方を払うため、気になるところだが、国税庁は次の扱いを示している。利用税の金額を請求書や領収証で明らかにし、経理でも明確に分けている場合は、その利用税を消費税の計算対象に含めない。

例えば、税抜きのプレー料金1万円、消費税1000円、明確に分けた利用税800円なら、合計は1万1800円。利用税800円にさらに10%を掛けて1万1880円、とする例ではない。他の料金を省いた、仕組みを示すための計算だ。出典:国税庁 No.6313:個別消費税の取扱い、国税庁 No.6303:消費税及び地方消費税の税率。

つまり、利用税と消費税という二つの負担があることと、利用税そのものに消費税がかかることは、分けて考える必要がある。

09

廃止の議論が続く理由も、お金の行き先を見ると分かる

2025年の日本ゴルフ協会の発表には、ゴルフ振興議員連盟側が利用税の廃止に向けて取り組むという発言がある。一方、全国市議会議長会の指定都市協議会は、2026年度の税制改正に向けた要望で、地域の財源として現行制度の維持を求めた。プレーヤー側の負担を軽くする議論と、地域の財源を確保する議論が並んでいる。出典:日本ゴルフ協会:JGAゴルフ振興推進本部から全国知事会に向けた連携提案書を提出、全国市議会議長会 指定都市協議会:要望書(2025年11月)。

利用税をなくした後、別の税で穴を埋めるのか。プレーが増えて別の税収につながるのか。そこまで含めた差し引きは、この431億円だけでは決められない。

今回、公表数字から確かめられたのは、全国で年約431億円の利用税があり、10年前より9.3%減っていること。その7割がゴルフ場のある市町村に配分されること。そして、来場回数が維持されても、課税される利用の構成が変われば税収も変わることだ。ゴルフ産業の規模は、企業の売上だけでなく、地域の会計に入るお金からも見ることができる。

出典・参考資料

  1. 総務省:地方税の税目別収入額及びその割合の推移(令和8年度参考資料)

    PDF1・14~16頁。2015~24年度決算、百万円。交付前の道府県税。

  2. 総務省:令和8年度 地方税及び地方譲与税収入見込額

    PDF2頁。2025年度当初見込と2026年度改正法による収入見込、億円。

  3. 総務省:道府県税収入等の都道府県別所在状況(令和6年度)

    PDF4頁。47都道府県の2024年度決算、百万円。

  4. 総務省:令和8年度 地方税に関する参考計数資料

    資料の版と個別PDFの所在を確認。

  5. 総務省:ゴルフ場利用税

    納税者、普通税、標準・制限税率、非課税、7割交付。政府の制度趣旨説明と事実を区別。

  6. e-Gov:地方税法 第76条

    税率。標準800円、上限1200円、施設状況等による差別税率。

  7. e-Gov:地方税法 第103条

    所在市町村へ税収10分の7を交付。

  8. e-Gov:地方税法 第75条の2

    18歳未満・70歳以上・障害者と証明等。

  9. 埼玉県:ゴルフ場利用税(2026年4月1日更新)

    現行実例300~1200円/人日。非課税と軽減の適用条件。

  10. 国税庁 No.6313:個別消費税の取扱い

    2026年4月1日現在。利用税を明確区分する場合の消費税課税標準。

  11. 国税庁 No.6303:消費税及び地方消費税の税率

    2026年4月1日現在。標準税率10%の国7.8%・地方2.2%。

  12. 国税庁 No.6451:仕入税額控除の対象となるもの

    2026年4月1日現在。売上に係る税額から仕入れに係る税額を控除する仕組み。

  13. 千葉県公表:市原市 令和6年度財政状況資料集

    PDF1~2頁。普通会計、利用税交付金688438千円。固定資産税総額はゴルフ分ではない。

  14. 三木市:令和6年度決算の概要 資料編

    PDF4頁。2023年度決算549764千円。2024列は見込と記載。

  15. 三木市:令和7年度決算の概要 資料編

    PDF4頁。前年度2024の決算551904千円を確認。一般会計。

  16. 三木市:令和7年度決算カード

    PDF1~2頁。2025年度普通会計、交付金552901千円、歳入41223585千円。

  17. 船橋市:令和7年度一般会計歳入歳出決算

    2026年10月23日更新。2024・25年度の利用税交付金、千円。

  18. 狭山市:令和4年度一般会計歳入歳出決算

    2022年度交付金35905152円。

  19. 狭山市:令和5年度一般会計歳入歳出決算

    2023年度交付金34174262円。

  20. 狭山市:令和6年度一般会計歳入歳出決算

    2024年度交付金31291066円。

  21. 狭山市:令和7年度一般会計歳入歳出決算

    2025年度交付金29535297円。

  22. 津市:令和7年度 市税概要

    PDF20頁・冊子17頁。ゴルフ場用地の2021~25年度評価額・課税標準。税収ではない。目視転記。

  23. 津市:令和6年度 市税概要

    PDF30頁。2021~24年度の土地欄を前年版でも照合。

  24. 日本ゴルフ協会:JGAゴルフ振興推進本部から全国知事会に向けた連携提案書を提出

    2025年4月24日公表、4月22日の自民党ゴルフ振興議員連盟総会。廃止を目指す議員連盟の発言とJGAの地域連携提案を区別。

  25. 全国市議会議長会 指定都市協議会:要望書(2025年11月)

    PDF5頁・冊子3頁。2026年度地方税制等に関し現行制度堅持を求める要望。全自治体の総意とはしない。

  26. 日本ゴルフ場経営者協会:2024年度 利用税等の推移

    PDF2頁。2015~24年度の課税・非課税延べ利用回数、同協会の税額・平均額。全国税収本文は総務省系列。

  27. 日本ゴルフ場経営者協会:News/2025年度全国利用者数速報

    2025年度87498千人、比較対象の前年87551千人、前年比マイナス0.1%。確報との直接接続を避ける。

  28. 衆議院:地方税法の一部を改正する法律(昭和29年法律第95号)

    前身の娯楽施設利用税、第75条・第77条。ゴルフ・舞踏・スケート・ぱちんこ等を対象。

  29. 衆議院:地方税法の一部を改正する法律(昭和63年法律第110号)

    ゴルフ場利用税への再編、第75・76条と附則第1条。1988年公布、1989年4月施行。公布文中は昭和64年と表記。

  30. 国会会議録:1954年5月6日 参議院本会議

    地方行政委員長・発言21で入場税第三種を道府県普通税とする修正を説明。発言25は賛成討論として地方財源を論じる。

  31. 国会会議録:2017年12月5日 参議院文教科学委員会

    発言214・うえの賢一郎財務副大臣。1989年の制度化を行政サービスとの関連と負担調整から説明する後年の政府答弁。

  32. 三木市:ゴルフ場利用税の活用について

    2024年6月1日更新。道路、消防、治水、観光、ゴルフ振興という自治体の用途説明。事業別金額の決算表ではない。

  33. 伊豆市:令和8年度当初予算資料

    PDF6頁。利用税交付金は周辺道路・スポーツ振興に活用予定。隣のふるさと納税使途一覧と区別。

  34. 多久市:令和7年度ゴルフ場利用税交付金活用事業のお知らせ

    2026年4月1日更新。5団体の2025年度公表内訳150・21・15・11・3万円。独立監査による支出済決算の確認とはしない。

  35. 多久市議会だより No.62:決算審査の付帯意見

    PDF5頁。2024年の決算審査で、交付金の一部をスポーツ振興に活用することと、その周知を説明。2025年度額の決算証明ではない。