多くの ゴルファーの 体験談が 同じでも、 それだけで 練習法の 効果が あると 言える?
証拠評価・練習法
まず答え
いいえ。体験談が多数一致しても、「その練習法が原因で上達した」とまでは確認できません。候補を見つける材料にはなりますが、効果判定には比較条件、測定方法、時間を置いた再確認などが必要です。
詳しい解説
同じ練習法について「効いた」という体験談が多数あれば、試す価値のある仮説にはなります。しかし、それだけで練習法そのものの効果を確定することはできません。
理由の一つは、体験談では練習法以外の変化を切り分けにくいことです。同じ時期に練習量が増えた、クラブを替えた、コーチから別の助言を受けた、慣れによって自然に改善した、といった要因が一緒に動くことがあります。NISTの実験計画法でも、処置の効果と別の要因が混ざる「交絡」を区別する必要があるとされています。
ゴルフの研究でも、本人の感覚と実際の学習効果が一致しない例があります。パッティングで視覚補助具の置き方を比較した実験では、参加者が「役立つ」と高く評価した条件が、48時間後の保持課題では必ずしも最も安定した成績ではありませんでした。主観的に効いたと感じることと、技能が定着したことは同じではありません。
また、よく知られたドリルでも、対照条件と比較すると期待された効果が確認できない場合があります。初心者のパッティングで目を閉じる練習を検証した無作為化試験では、保持や転移で明確な優位性は確認されませんでした。広く語られている方法でも、比較試験をすると評価が変わることがあります。
実践では、体験談を「候補探し」に使い、自分で試すときは変更点を1つに絞り、介入前後で打点・球筋・距離・ばらつきを同じ条件で比較し、器具やドリルを外した後や別の日にも再確認します。多数の体験談は無価値ではありませんが、効果の証明ではなく、検証すべき仮説として扱うのが適切です。