閉鎖した ゴルフ場を 別用途へ 転用する とき、 元の 池や 排水施設は そのまま 使える?
跡地転用・排水インフラ
まず答え
使える場合はありますが、「既にあるからそのまま使える」とは判断できません。住宅や商業施設などへ用途が変わると、舗装・建物・造成で雨水の量と流れ方が変わるため、既存の池・排水管・水路の容量、劣化、放流先を調べ、新用途の雨水計算と現行基準に合うかを確認してから、再利用・改修・撤去を決めます。
詳しい解説
ゴルフ場の池や排水施設は、もともとの地形、芝地の面積、土壌への浸透、コース内の集水経路を前提に設計されています。閉鎖後に住宅、道路、駐車場、商業施設などが増えると、同じ土地でも雨水の流れ方は変わります。そのため、元の設備が残っていることと、新しい用途でも十分に機能することは別です。
USGAが紹介するNCR Country Clubの事例では、隣接地が住宅開発されたことで道路や住宅からコースへ流れ込む雨水が増え、従来の排水では問題が大きくなりました。そこで土木技術者が1年・5年・50年規模の降雨条件を評価し、新しい貯留池や排水経路を設計しています。土地利用が変われば、既存施設の容量を計算し直す必要があることを示す例です。
一方、元の池や水路が再利用できるケースもあります。USGAの別事例では、連結した池やバイオスウェイルを雨水の貯留・流量調整・水質改善に使い、周辺地域からの流入も含めて処理しています。つまり既存の池は、位置と容量が新しい計画に合えば、撤去するより雨水施設として生かせる可能性があります。
判断するときは、まず既存の排水管、水路、池、堤体、流入口・放流口を現地調査し、詰まり、土砂堆積、破損、実際の接続先を確認します。次に、新用途で増減する舗装面・建物・緑地を反映して、どこからどれだけの雨水が集まるかを再計算します。そのうえで、必要な貯留量、放流量、水質対策、維持管理方法に既存設備が合うかを比較します。
規制面も確認が必要です。米国EPAは、新規開発や再開発に対して、地域や州の制度で工事後の雨水流出に性能・設計基準が設定される場合があると説明しています。国や自治体によって排水、河川、池、湿地などの扱いは異なるため、過去にゴルフ場用として認められていた施設を、新用途でも無条件に同じ扱いにできるとは限りません。
したがって、転用時は「全部撤去」か「全部流用」の二択ではありません。①現況を測る、②新用途の雨水量を計算する、③現行の排水・水質・許認可条件を確認する、④その結果から、再利用、拡張、経路変更、更新、撤去を施設ごとに決める、という順序が安全です。