クラブ・ボール衝突シミュレーションでは、 芯を 外した 打点も 再現できる?
衝突シミュレーション・有限要素法
まず答え
できます。クラブフェース上の衝突位置を中心・ヒール・トウ・上下などに変えて計算し、ボール初速やスピン、ヘッドの回転などの違いを比較できます。ただし、モデルの材料特性やフェース形状、シャフトをどこまで正確に再現したかで結果は変わるため、実験との照合が必要です。
詳しい解説
クラブとボールの衝突シミュレーションでは、インパクト位置を計算条件として指定できます。フェース中央だけでなく、トウ側・ヒール側・上側・下側など複数の位置で衝突させ、その後のボール速度、打ち出し、スピン、クラブヘッドの回転を比較できます。
Iwatsuboらは、クラブヘッドの慣性モーメントと重心位置を変えた数値モデルで、ボールをフェース上の複数の打点へ衝突させました。各打点についてボールの飛び出し速度やスピン量を計算し、ヘッドの慣性モーメントや重心深度によって、芯を外したときのサイドスピンやバックスピンの出方が変わることを示しています。つまり、オフセンターヒットはシミュレーション上でも独立した条件として扱えます。
有限要素法では、ボールを弾性・粘弾性を持つ多数の小さな要素へ分け、クラブ側もフェースやヘッド、場合によってはシャフトまでモデル化します。Tanakaらは実際のクラブとボールの衝突を有限要素モデルで再現し、実験結果と比較してモデルの妥当性を検証しています。こうした検証を通すことで、単なる理想化された衝突計算より現実に近い解析ができます。
ただし、「芯を外した位置を指定できる」ことと「その結果が現実と完全に一致する」ことは別です。ボール内部の材料特性、フェースの厚み分布、溝、ヘッドの弾性、シャフトの影響、実際のフェース姿勢やヘッド速度などを簡略化すると、初速やスピンの絶対値はずれる可能性があります。
実用上は、まず実打やロボット試験で中心打点といくつかのオフセンター打点を測り、その結果を再現できるようモデルを検証します。そのうえで、実験では試しにくい細かな打点位置や重心・慣性モーメントの変更を大量に計算する使い方が向いています。シミュレーションは『芯外しを再現できない』のではなく、どこまで現実の条件を入れて検証したかが精度を左右します。