グリーンの 土壌締固めは、 総孔隙率だけ 見れば 判断できる?
根域・土壌締固め
まず答え
いいえ。締固めでは総孔隙率だけでなく、空気を含む大きな孔隙と水を保持する小さな孔隙の配分、かさ密度、貫入抵抗、透水性なども変わります。総孔隙率だけでは根域の状態を十分に判断できません。
詳しい解説
土壌が締まると、一般には粒子同士の間隔が小さくなり、かさ密度が上がり、孔隙が減る方向へ進みます。ただし、グリーンの根域では「総孔隙率が何%か」だけを見ても、空気と水の動きや根が伸びやすい状態までは分かりません。
Lewisらの2010年研究では、USGA仕様の砂主体グリーンを造成後8年間追跡しました。年数の経過とともに、かさ密度は上昇し、総孔隙率と空気を含む孔隙は低下する一方、毛管孔隙は増加しました。総孔隙の量だけでなく、空気を保持する孔隙と水を保持する孔隙の配分そのものが変化していました。
Murphyらの1993年研究では、締固めたクリーピングベントグラスのグリーンに中空タインとソリッドタインを比較しました。中空タインはソリッドタインより飽和透水係数が49%、空気孔隙率が21%高く、締固め区では更新作業によって5cm深の貫入抵抗が45%低下しました。ただし、その効果は特にソリッドタインでは一時的でした。ここでも、孔隙、透水性、貫入抵抗は別々の指標として測られています。
Atkinsonらの2012年研究でも、コアエアレーション回数を増やすと、2年目にかさ密度が5〜9%、表面硬度が5〜19%低下しましたが、浸透速度の反応は単純に同じ順序にはなりませんでした。締固めの改善を一つの数値だけで表せないことが分かります。
実務では、①かさ密度、②総孔隙率、③空気孔隙と毛管孔隙の配分、④貫入抵抗、⑤透水・浸透性を目的に応じて組み合わせます。総孔隙率が似ていても、空気孔隙が少なく水を抱えやすい根域と、空気が入りやすい根域では機能が違います。締固めは「孔隙が減ったか」だけでなく、「どの孔隙が減り、根と水と空気の動きがどう変わったか」まで見て判断します。