グリーンの 根域は、 総孔隙率だけ 見れば 水はけを 判断できる?
土壌・根域
まず答え
いいえ。総孔隙率は土の中のすき間全体の割合ですが、その内訳が水を保持する毛管孔隙なのか、排水・通気に関わる空気孔隙なのかで機能が変わります。水はけは飽和透水性や浸透速度も合わせて測る必要があります。
詳しい解説
グリーンの根域にある「孔隙」は、水や空気が入るすき間です。総孔隙率はそのすき間を全部合計した割合ですが、同じ総量でも、細かく水を保持する毛管孔隙が多いか、大きく排水・通気に寄与する空気孔隙が多いかで根域の状態は変わります。
Lewisらの2010年の一次研究では、USGA仕様のクリーピングベントグラス・グリーンを最長10年間追跡しました。8年間で毛管孔隙率は32%増え、空気孔隙率は38%減少し、総孔隙率は9%低下しました。同時に現地で測った浸透速度は10年間で約71〜75%低下しました。研究者は、細かい目砂の蓄積や表層有機物の増加が、空気孔隙の減少と浸透性低下に関係した可能性を示しています。
この結果から、総孔隙率だけでは根域の水と空気のバランスを十分に説明できません。USGAも、グリーンの寿命や性能を見る際は、水を保持する孔隙と空気で満たされる孔隙のバランスが重要だと説明しています。総孔隙率が大きくても、その多くが水で満たされやすい細孔なら、降雨や散水後に酸素が不足しやすくなることがあります。
さらに「孔隙率」と「水がどれだけ速く動くか」も同じ指標ではありません。根域の評価では、総孔隙率、空気孔隙率、毛管孔隙率に加え、飽和透水性や現地の浸透速度を測ります。粒径分布、有機物、締固め、層状化によって、孔隙のつながり方と実際の水の動きが変わるためです。
したがって、土壌試験で総孔隙率が基準内だからといって、水はけまで良好とは断定できません。排水・通気を判断するなら、「すき間が何%あるか」だけでなく、「そのすき間が水保持型か空気型か」「水が実際にどの速度で通るか」をセットで確認するのが基本です。